校正記号のイキとママ

イキの正しい使い方(≒モトイキ・ママイキ)

イキ」は、修正指示を取り消したいときに使用する校正記号です。原文を生かすという意味になります。また、原文をそのまま(原文ママ)にするということから「ママ」も同じ意味としてよく使用されます。

イキの派生したものに「モトイキ」や「ママイキ」がありますが、意味はイキと同じです。
ですが、正式には「イキ」になります。

正式と書きましたが、あくまでJISの校正記号表を基準にしただけですので、自社やクライアントが「モトイキ」「ママイキ」を使用しているのであれば、わざわざ変える必要もないです。

ただ、校正記号の簡潔明瞭という意図を汲み取るなら「イキ」を推奨します。

※「ママ」も簡潔でわかりやすいです。特に校正記号表にこだわらない環境であれば「ママ」を使用するのもよいと思います。

イキの使用方法

イキを使用するときの2つのルール

(1)イキ」は、原稿やゲラに元から入っている文字を生かしたい場合にのみ使用できる。自分が書いた赤字に対して「イキ」は使用不可

(2)イキ」は、生かしたい文字のすぐ近くに入れる

「イキ」は、校正記号の中でもっとも誤使用が多いものになるので注意しましょう。
※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。

【使用例】


次の赤字を取りやめたいとき校正記号のトル


(1)まず、入れた赤字に対して二重線などで目立つように消し線を入れます。

校正記号のイキ

(2)次に、生かしたい元の文章の近くに「イキ」と入れます。

・ここでは「をよく知らない幸子」を生かしたいので、この文のすぐ傍に「イキ」と入れます。

校正記号のイキ

以上が、正しい「イキ」の使い方です。

イキの誤使用の例

【間違い例】

入れた赤字の近くに「イキ」と入れる


「イキ」を入れる場所は、生かしたい文字のすぐ近くです。自分の書いた赤字に対してではありません。また、自分が書いた赤字を生かすために「イキ」を使用することはできません。

場合によっては、「トル」の指示を生かしたいと誤解されかねませんので注意が必要です。

イキを取りやめたい

イキとしたけど、やっぱり最初の赤字を採用したいという場合
 ※赤字を再度入れ直す場合も同じです



・基本は、もう一度同じ赤字を入れることです。

ですが、ここにさらに「トル」の赤字を入れると、ごちゃごちゃしてわかりづらくなると思います。
そういう場合は少し工夫しましょう。


(1)ペンの色を変えて指示を入れる

赤字の上からなぞるように太めに入れるのがポイントです。
色を変えることで、「赤字」→「青字」の順番だと時系列が一目でわかり、修正側にも伝わりやすくなります。※青字を補足的に使用することは問題ありません。


[赤字例_1]

校正記号のモトイキ・ママイキ


[赤字例_2]

校正記号のモトイキ・ママイキ


(2)修正液で消す

赤字を修正液で消して入れ直すということもよく見られますが、ペン先の細い修正ペンできれいに消せるのであれば問題ないと思います。

ただし、乾いた修正液の上から赤字は書かないようにしましょう。剥がれる恐れがあるからです。
余白がないなどの理由で、どうしても修正液の上にしか赤字を書けないというのであれば、その上にメンディングテープなどを貼って剥がれないように保護しておきましょう。

※校正記号の例文は、青空文庫:谷崎潤一郎の『細雪』の一文を使用させていただきました。


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