
括弧の修正・挿入[そのカッコ、和文?欧文?]
括弧でよく使うものには次のようなものがあります。
・パーレン ( )
・かぎ括弧 「 」
・二重かぎ括弧 『 』
・山括弧 〈 〉
・隅付き括弧 【 】 etc.
※ちなみに、パーレンは「丸括弧」とも呼ばれます。
これらの括弧の使用方法に関しては、一般的な共通認識みたいなものはありますが、特に厳密なルールが存在しているわけではありません。会社や媒体ごとに決めていることが多いです。
校正記号表でも、括弧に関しては詳しく説明されていませんので、赤字の入れ方で迷うことも多いと思います。そこで、括弧に関して知っておくべきことと、校正記号の使い方を紹介したいと思います。
1.和文用と欧文用の括弧の区別
括弧には、和文用と欧文用があります。全角・半角とも区別されますが、和文用・欧文用で覚えておく方が整理しやすいです。
▼ 「和文用」と「欧文用」の括弧
・和文用
・欧文用
※フォントは、HG丸ゴM-PRO
和文用と欧文用のパーレンの違いは、文字の左右幅で覚えるのではなく、形状で覚えておきましょう。
ここでは、わかりやすいフォントを使っているので一目瞭然ですが、ほとんど区別がつかないフォントもあります。
[欧文用カッコの特徴]
・弧の字を描くカーブが緩やか
・弧の字を描く部分が太い
・漢字やひらがなに対して位置がやや下がっている
※わずかな違いですが、見るポイントさえ押さえておけば何となく区別はつくようになります。
▼ 和文用のパーレンをツメたもの
・和文用のカッコは、文字との間のアキが大きいため見た目がよくないこともあります。
この場合は、アキをツメて対処します。
【赤字例】
※字間のないベタ組の状態ににする「ベタ」の指示を使います。「ツメ」でも通じます。
【結果】
パーレンの左右幅は違いますが、ともに和文用パーレンです。
全角ドリと半角ドリの違いだけです。
括弧の区別は「全角・半角」といった文字の左右幅ではできないことがあります。そのため「和文用・欧文用」で区別しておくとわかりやすいです。
2.括弧を和文用・欧文用へ修正
▼ 括弧を和文用にする指示
⇒「和文用」もしくは「全角」の指示を使います。
■ 欧文用のパーレンを和文用にする
【例1】
【例2】
▼ 括弧を欧文用にする指示
⇒「欧文」もしくは「オウブン」の指示を使います。
■ 和文用のパーレンを欧文用にする
【例1】
【例2】
ここで「半角」と指示すると、和文用のパーレンを半角ドリにする指示とも誤解される恐れがあります。
※上記の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
3.括弧を修正・挿入
▼ 括弧を修正・挿入する指示
括弧の修正・挿入は、基本文字の赤字のときと同じです。ただ、括弧の赤字を入れるときは、必ず文字で補足するようにします。
・パーレンの受け「 )」は、カタカナの「ノ」、
・山括弧の起こし「〈 」は、ひらがなの「く」、不等号の「<」と見間違える可能性があります。
■ 括弧の修正(パーレンへ訂正する)
■ 括弧の挿入(パーレンを挿入する)
日本語メインの文章なら、基本は和文用の括弧を使用します。
そのため、赤字を入れるときには「和文用」と付ける必要はありません。
ただ、欧文用の括弧を入れたいのであれば、その旨を付け加えないといけません。
▼ 応用編
「パーレン」の文字を「カッコ」に置き換えると簡潔になりわかりやすいです。
また、「丸囲み」でなく「( )」で括れば文字が見やすくなります。
【例】
・(カッコ)を使用した例
・丸囲みのカッコを使用した例
4.括弧でよくある間違い
▼ 和文と欧文の括弧が混在する間違い
この間違いは、非常に多いです。
赤字が入ったことによって不揃いになることもありますが、元から間違っている場合も多いです。そのため、「起こしの括弧」があれば、まずは「受けの括弧」が対応しているか確認することです。
『Word(ワード)』のような短い語だと括弧の対応がわかりやすいですが、
・一つの文が長い
・カッコを多用している
などの文章では見落とす可能性が高くなるので注意が必要です。
・校正記号のまとめ > 使いたい赤字を五十音検索
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