赤字の取り消し・書き間違いの訂正の仕方
▼ 赤字の取り消し・書き間違いを直すときに使う指示は、2つです。
1. 書き込んだ赤字を部分的に取り消す
⇒ 取り消し線(打ち消し線)を使用する
取り消したい部分を、線で塗り潰さないようにします。修正前後が比較できるように、元の状態を見えるようにしておきます。このことから取り消し線は、見え消し線とも呼ばれます。
2. 書き込んだ赤字をすべて取り消す
⇒ 「イキ」を使用する(※モトイキ、モトママ、ママもイキと同じ意味です)
校正・校閲では、赤字を書き間違えたとき、修正液や修正テープなどを基本使いません。書き間違えた場合は、赤字で指示を入れ直します。
ただ、修正液や修正テープを絶対に使ってはいけないということではないです。各校正現場の判断によって使用することもあります。使う場面によっては、赤字で指示を入れ直すよりも便利なときがあります。
赤字の取り消し・書き間違いは、なるべく赤字で対処して、これ以上赤字を書くとわかりづらくなる場合に修正液や修正テープを使うのがよいと思います。
1. 引出し線の位置を正す
▼ 引出し線を訂正する
1. 書き間違えた引出し線に、二重の取り消し線を引きます。そして、新たに正しい位置を書き加えます。
2. 目立たないようであれば、2か所に取り消し線を入れるなどします。
3. 赤ペンが目立たないようなら、青ペンで書いたほうがわかりやすいときもあります。
【気を付けておきたいところ】
他にも赤字の直し方はありますが、直し方の基準は修正側がわかりやすいものにすることです。第三者目線で見て、一番伝わりやすい指示を選択します。赤字を見る側に、誤解を与えないようにすることが大切です。
上の「1」で例えるなら、取り消し線が小さすぎると、2か所に中黒が挿入される可能性があります。
2. 文字を書き直す
▼ 文字や記号を訂正する
前述の引出し線同様、取り消したい箇所に二重の取り消し線を引き、新たに正しい指示を書き込みます。
【ポイント】
文字数が少ない場合や熟語などは、1文字だけ訂正するよりも、すべて書き直したほうがわかりやすいです。
3. 書いた赤字を取り消す
▼「イキ」と指示する
イキは、書き込んだ赤字をすべて無効にするものです。
【関連記事】> 校正記号:イキ(=ママ)の正しい使い方
▼ 「イキ」を取り消して、もう一度赤字を入れたい場合
基本的に、赤字の書き間違いをした場合は、もう一度赤字を入れ直します。
ですが、赤字がごちゃごちゃしてわかりづらくなることがあります。こういう場合に、修正液や修正テープを使うと便利です。
ただ、青字で入れ直せば、スッキリしてわかりやすいときがあります。
次のように、赤字の「イキ」を青字で消すことで、「赤字⇒青字」という時系列がわかりやすくなります。万一取り消し線がわかりづらくても、どちらが最新の指示か区別がつきます。
【気を付けておきたいところ】
取り消し線は、その赤字を取り消すということなので、
「取り消してどうするか?」の指示を加える必要があります。
- 取り消して、イキにするのか?
- 取り消して、別の指示を入れるのか?
▼ 次のように取り消し線だけの場合
この指示からは、
「イキなのか?」
「次の指示を入れ忘れたのか?」
どちらとも解釈できます。
1. 元の文字を生かしたいなら「イキ」にします。
2. 違う指示に直したいなら、新たに指示を入れます。
4. 修正液や修正テープで注意すること
修正液や修正テープは、役立つ場面も多いですが大きなミスにつながることもあります。
修正液やテープを使った上に直接文字を書く場合です。
少しの力で剥がれるからです。
使う側(校正者)は、どこに使用したかわかっているので自分で剥がすことはないはずです。
ですが、校正ゲラは校正者だけでなく、他の職種の何人もが目を通します。当然、他の人は修正液や修正テープが使われていることを知りません。そのため、校正ゲラを捲ったときや掴んだとき、コピーを取ったときなど、様々な場面で剥がれる可能性があります。
そのため、なるべく修正液や修正テープの上に文字を書くことは避けたほうがよいです。
どうしてもそこにしか書けない場合は、書いた赤字の上からテープを貼って保護しておくことです。テープは、セロハンテープでなく、メンディングテープ(※)のほうが使い勝手がよく便利です。
他の注意点としては、修正液で赤字を消した場合、液が乾くのを待っている間に別の作業を進めてしまい、赤字を入れ忘れることです。このミスは意外と多いので注意しましょう。
※メンディングテープ
・湿気や紫外線に強く、長期的な使用が可能
・貼るとほとんど見えなくなり、コピーをとっても影が出にくい