校正ゲラを見たときに最初に確認するポイント[全体から部分へ]
ゲラを手にして、何気に誌面を眺めたときに起こる何となくの違和感。
注意していなくても、ふと何かに気づいてしまうという経験を誰もが一度はしたことがあると思います。
原稿やゲラを見た瞬間に『何かおかしい……』と眉をひそめた、という違和感です。
まず違和感が起こり、よく見てみたらやっぱり違うという具合です。
おそらく、この違和感は、校正・校閲以外の職種、編集、デザイナー、オペレーターにも共通するかもしれません。もしくは、それぞれの職種で独自の視点で起こる違和感があるのかもしれません。
「全体」から「部分」へと確認していく
この違和感は、普段からゲラを俯瞰する意識を持っていると自然と培われていくものです。
見方としては、確認範囲を「全体」から「部分」に狭めていくといった感じです。
たとえば次のようなゲラを手に取った場合。
まずはページ周りから見ていきます。
[チェックポイント]
❶ 色アミの塗り足し部分が適切か。
❷ ~ ❺ 誌面の周りを見て適切な余白が確保されているか。余計なものが入り込んでいないか。
次にブロック単位(ここでは段落単位)で見ていきます。
[チェックポイント]
❶ ~ ❹
・各段落のアキは均等か。
・行頭・行末は揃っているか。
・行間は均等か。
このように誌面を俯瞰し全体から部分へと視野を絞っていきます。
1.ページ周り
↓
2.段落単位
↓
3.文単位
と視線を移動させて確認していきます。
1. 余白・アキ
余白は、適切な距離感と言いかえたほうがいいかもしれません。この余白がちゃんと確保されていない場合、不自然に感じます。
・ページ周りの余白
通常の印刷物は、ページ周りに余白を持たせています。この余白が多くても少なくても読みづらくなります。
仮に規定書でアキの幅が決まっているなら、物差しやゲージで確認する必要があります。
ただ、デザインとして意図的に文字を誌面いっぱいに大きくし、あえて誌面内に収まらせないようにすることでインパクトや迫力を狙っていることがあります。絶対に余白がないとダメというわけでもありません。
・キャプションと画像とのアキ
画像などにつくキャプション(図版部分に付け加えられた説明文)のアキが不揃いなこともあります。追加指示で新しく要素が入ってきたときに、既存のものと不揃いになるケースが多いです。
画像とキャプションが離れすぎていると、文字が誌面上に浮いているように感じるので、すぐにおかしなことに気づきます。
・行間・文字間のアキ
行間や文字間の詰まり過ぎ・開きすぎなどもすぐにわかります。
これらは、可読性を考慮して設定されているため「見づらい = 読みづらい」につながるので、大切な確認ポイントです。
2. 書体・級数
書体・級数の違いは、目が慣れてきたら一目見て違いがわかります。書体が変わるだけでも、誌面のイメージがガラッと変ってきます。真っ先に違和感を覚える人も多いかもしれません。
校正物に規定書がある場合は、誌面で使用する書体や級数などはあらかじめ決められています。そのため、すぐに違いに気づくことも多いです。
ただ、雑誌やカタログなどは、読者を飽きさせないように数年ごとにフォーマットをリニューアルしていくものです。リニューアルの際、目が慣れないうちは間違いにも気づきにくいので注意が必要です。
3. 段落の一字下げ、末揃え
俯瞰する意識を持っていると、段落の文頭が一字下げになっていないのもすぐに気づけます。文末が揃っていないのも同様です。このような間違いは、文章を読みながら探していくよりも、先に確認しておいたほうが効率的です。
1. 一字下げ
2. 一字下げでない
3. 文末が揃っている
4. 文末が揃っていない
最近では、一字下げにしていない段落も多く見られます。一字下げはあくまで形式的なものなので、一字げになっていなくても間違いというわけではありません。
また、文末が揃っていないものでも、文の区切りのいい位置で改行し意図的に文末を揃えていない場合があります。
一方、文末が揃っておらず文の区切りも悪いものは、意図的でない(間違っている)可能性があります。校正としては、指摘しておいたほうがいい箇所です。
※文末に関して、Web媒体などはこの限りではありません。Web校正をメインにやられている方は、文末が不揃いであっても、特に違和感が起きることもないはずです。
体裁の間違いを潰してから、素読みへ
ゲラを手にしたときにわかる間違いは、レイアウトや体裁的なものが多いです。まずは、そのようなわかりやすい間違いを潰しておくと、素読み作業に集中できます。
素読みしている際に文章以外の間違いが目に入ると、集中力を削がれてしまうからです。
校正・校閲業務は、切り分けできない連続した作業のように思えますが、作業ごとに区切れる部分もあります。間違いを一気に見つけるよりも、部分単位で潰していくほうが効果的な場面も多いです。
まずは誌面を俯瞰し、全体から部分へと確認範囲を絞りながらおかしな箇所がないか確認していくことです。