順番(並び)を意識して文章を読む[校正・校閲の練習問題]
今回の練習問題は、順番(並び)に注意して間違いを探していくというものです。
手順の説明や時系列を追って解説するという文は多いです。
部分的に読んでおかしく感じなくても、全体を通して読めば間違っているということがあります。
【宝島社 InRed(インレッド)3月号_P.31の一部を改変しての出題になります】
1:練習問題 <問題>
▼ 問題
ショートヘアは乾かし方とスタイリングが重要です!
●水スプレーをして髪を濡らし、コーム
やブラシでとかす。寝ぐせをリセットし、
根元を起こしやすくする。
↓
●ドライするときは、根元中心に乾かし、
トップは垂直に持ち上げながら根元に風
を充てて立ち上げる。
↓
●耳上はふんわり感をつぶさないように
手に余ったものをつける。根元からもみ
込むようになじませる。
↓
●パームやワックスを手になじませ、耳
下からつける。指の腹を使ってタイトに
抑えるようにつける。
2:練習問題 <解答>
▼ 解答
【解答一覧】
❶ 1番目と2番目の画像が逆
❷ 3番目と4番目のコピーが逆
❸ 2番目のコピー
「風を充てて → 風を当てて」
❹ 4番目のコピー
「タイトに抑えるよう → タイトに押さえるよう」
3:練習問題 <解説>
▼ 解説
問題文は、スタイリング手順の説明文になります。このような手順の説明は色々な媒体で見られます。機械系なら機械の操作手順、医療系なら医療器具の取扱い手順などです。
しかも細かい手順になると、似たような画像がたくさん使われます。そのせいで画像の貼り間違えもよく起こります。
校正では画像の細部まで確認する必要があります。文と画像との整合性はもちろん、一連の手順の流れが正しいかも確認していきます。
部分的な確認だけでは、手順が省略されていたり順番が間違っていたりしても、間違いに気づけないことがあります。
1. 1番目と2番目の画像が逆
わかりやすいところでは、手に持っている「コーム」と「ドライヤー」が画像とコピーで対応していません。
2. 3番目と4番目のコピーが逆
「もみ込むようになじませる」や「耳下からつける」から推測できると思います。
▼ 3と4は、基本的な漢字の使い分けの間違いです。
大きな間違いの中に小さな間違いが潜んでいることは多いです。他に気を取られていると、見落とす可能性が高くなります。これは誰にでも当てはまります。そのため、見直し作業が大切になってきます。
3. 充てる → 当てる
「充てる」… 振り分ける → 例:返済に充てる、後任に充てる
「当てる」… 触れさせる/ぶつける胸に手を当てる → 例:風に当てる
4. 抑える → 押さえる
「抑える」… 抑制・抑止 → 例:怒りを抑える
「押さえる」… 物理的におさえる・確保 → 例:ポイントを押さえる
4:練習問題 <解説のポイント>
手順の説明は、まずメイン画像があって、そのサブとして扱われることが多いです。画像のサイズも小さくなりがちです。
実際の現場では、常に校正者が見やすいようなゲラで仕上がってくるということはありません。
制作途中の段階では、画像を粗い状態のままにして進行することがあります。これは、高画質の画像をはめ込むとデータの容量が重くなるからです。制作途中では、容量の小さい粗い画像を入れておいて、最終工程で高画質の画像に差し替えることもあります。
画像が小さく粗い状態のままで校正をしなければいけないこともあります。
校正者なら文字情報には、当然目が行くと思います。画像の細部までは気にしていないという方がいたら、これからは注意して見る必要があります。
こういう視点は画像だけでなく、イラストや表、グラフなど色々な場面で応用が利きます。