「夏季」と「夏期」の違いと使い分け[夏の季節か夏の期間]
「夏季」と「夏期」は、どちらも『夏』の漢字が付き読み方も同じです。意味も似ているため使い分けで迷うことも多いと思います。
この記事では「夏季」と「夏期」それぞれの意味と使い分けのポイントを詳しく紹介しています。使い分けの基準を理解しておくと、次の漢字もどちらが適切かわかります。
「夏季休暇」or「夏期休暇」
「夏季賞与」or「夏期賞与」
1. 夏季の意味と使い方
夏季は、夏の季節をイメージさせる(強調する)ときに使います。夏の季節全体を指す場合や夏の特定の期間、夏に関連するイベントを表現するときに使われることが多いです。
夏の暑い季節だからこそ行われる物事に対しては「夏季」の語を使用します。
たとえば「夏季限定メニュー」なら、「かき氷」「流しそうめん」「冷やし中華」など、夏の暑い季節に涼しさを感じさせる食べものなどに使われます。
他にも『夏』を連想させる言葉は色々とあります。
「海水浴」「ビーチバレー」「花火大会」「ビアガーデン」「お祭り」「浴衣」「プール」「スイカ割り」「風鈴」「夏野菜」「夏の大三角形」「うちわ」「ひまわり」など
このような言葉には「夏季」の言葉を結びつけるのが相応しいです。
・花火大会なら「夏季花火大会」
・浴衣祭りなら「夏季イベント」
他にも、「夏季オリンピック」なら夏の季節をイメージさせる(夏に行うのが相応しい)スポーツ競技が中心に行われます。
同様の考え方で、冬に開催されるオリンピックも『冬』をイメージさせるスポーツが中心に行われるため「冬季」が使用されます。
「夏季休暇」と「夏期休暇」はどっち?
「夏き休暇」は、一般に夏の暑い時期を考慮して取る休みです。夏限定という他の季節では代替できない意味合いが強いので「夏季休暇」とするのが適切です。
ただし夏のイメージが薄らぎ、慣習的に『夏期』も使用されるため、「夏期休暇」と表記しても問題ないことも多いです。
2. 夏期の意味と使い方
夏期は、期間がメインとなる言葉で『夏』は補足的な役割にすぎません。前述した夏季のように『夏』のイメージは関係なく、単に期間を表したいときに使います。
季節を問わず行われるもので、該当期間がたまたま夏であるという場合です。ポイントは、物事を行うにあたって夏でも冬でも季節が関係ないものです。
「夏期講習」を例にあげると、講習がメインで、実施する期間がたまたま夏であるということになります。講習は季節を問わず、春夏秋冬行われます。夏だからこそ講習が行われるというものではありません。
特に夏であることを理由としない物事については「夏期」が適切です。
「夏季賞与」と「夏期賞与」はどっち?
賞与の支給時期は、一般的に企業の決算期にあたります。決算期は企業によって異なるため、『夏』という季節だから賞与が支給されるというわけではありません。決算(半期決算)がたまたま夏の時期にあたるだけです。季節は重要でなく、単に期間を表しているため「夏期賞与」となります。
おわりに
以上、「夏季」と「夏期」の違いと使い分けのポイントを紹介してきました。
簡単にまとめると次のようになります。
・夏季 → 夏の季節をイメージさせる(強調する)物事
・夏期 → 該当期間が夏であるとき(季節に関係なく行われる物事)
この使い分け方は『夏』だけでなく『春』『秋』『冬』などの季節についても同様です。
■ 夏季(夏の季節)
■ 夏期(夏の期間)
このように「夏季」と「夏期」の意味は異なりますが、慣習的にどちらを使用しても問題がないという場面もあります。そのためビジネス文書などで使用する際は、周囲の使用方法に合わせて使い分けしましょう。