
「注意する」と「留意する」の違い|意味・使い分け・言い換えを解説
「注意する」と「留意する」は、どちらも特定の事柄に意識を向け、気をつけることを表す言葉です。
一般に「注意する」は、危険や失敗などを防ぐために意識を向けることを表します。一方、「留意する」は、重要な事情を心に留め、判断や行動に反映することを表します。
この記事では、「注意する」と「留意する」の意味や違い、使い方、言い換え表現を紹介します。
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
『デジタル大辞泉』(小学館)
『広辞苑』(岩波書店)
『新明解国語辞典』(三省堂)
『コトバンク』「注意」「留意」
『公用文作成の考え方』(文化庁)
『記者ハンドブック―新聞用字用語集』(共同通信社)
1.「注意する」の意味と使い方
「注意する」とは、見落としや事故、失敗などが起こらないよう、特定の対象に意識を向けて気をつけることです。
危険やミスを避ける意味では、次のように使います。
・メールの送信先を間違えないよう注意してください。
・個人情報の取り扱いには十分注意する必要があります。
・雨天時の運転には注意してください。
これらの例では、「誤送信」「情報漏えい」「交通事故」などを防ぐことに重点があります。
また、「注意する」には、相手の好ましくない言動を指摘し、改善を求める意味もあります。
・上司が担当者に不適切な言動を改めるよう注意しました。
・遅刻を繰り返す部下に注意しました。
この「問題点を指摘して改善を求める」という意味は、「留意する」にはありません。
2.「留意する」の意味と使い方
「留意する」とは、重要な事柄を心に留め、判断や行動の際に意識することです。事情や条件を踏まえて対応することに重点があります。
たとえば、「利用者の年齢に留意して資料を作成する」は、利用者の年齢を踏まえ、文字の大きさや表現を調整することを意味します。
・相手の気持ちに留意して話してください。
・個人情報の取り扱いに留意してください。
・健康に留意して生活してください。
「留意する」は、健康や安全などに気をつける場合にも使えるため、必ずしも「考慮する」と同じ意味になるわけではありません。ただし、重要な事柄を心に留め、判断や行動に反映するというニュアンスを含みやすい言葉です。
また、「留意する」はやや改まった表現で、ビジネス文書や行政文書、報告書などで使われます。日常会話では、「気をつける」「心に留めておく」「その点を踏まえる」などと言い換えると自然です。
3.「注意する」と「留意する」の違い
「注意する」と「留意する」の主な違いは、意識を向ける目的にあります。
・注意する → 問題が起こらないように気をつける
・留意する → 重要な事情を忘れず、対応に反映する
▼ 次の例文を比べると、違いが分かりやすくなります。
A:誤字に注意して文章を確認してください。
B:読みやすさに留意して文章を直してください。
Aは、誤字を見落とさないよう、その有無に意識を向けることを求めています。
Bは、読みやすさを重要な観点として意識し、文章の修正に反映することを求めています。
このように、「注意する」は見落としや失敗を防ぐことに、「留意する」は事情や条件を踏まえて対応することに重点があります。
ただし、両者の意味は重なるため、どちらも使える場合があります。
たとえば、
「表記の統一に注意する」は、表記の不統一が生じないよう気をつけることを表します。
「表記の統一に留意する」は、表記上のルールを念頭に置き、文章の作成や修正に反映することを表します。
また、
「安全に注意する」は、危険を避けるよう直接的に呼びかける表現です。
「安全に留意する」は、安全を重要な条件として念頭に置くよう求める、やや改まった表現です。
両者を使い分ける際は、危険や失敗の防止と、事情や条件の考慮のどちらに重点を置くかで判断するとよいでしょう。
4.「注意する」と「留意する」の言い換え表現
①「注意する」の言い換え
・危険や失敗を避ける意味の「注意する」は、「気をつける」「用心する」「警戒する」「慎重に扱う」などに言い換えられます。
「情報漏えいに注意する」は、「情報が漏れないよう慎重に取り扱う」と言い換えられます。
・相手の言動を改めさせる意味では、「指摘する」「忠告する」「改善を求める」などが適しています。
「担当者に注意した」は、「担当者に問題点を指摘した」「担当者に改善を求めた」と言い換えられます。
②「留意する」の言い換え
・「留意する」は、文脈に応じて「気をつける」「心に留める」「念頭に置く」「考慮する」「踏まえる」などに言い換えられます。
「健康に留意する」は、「健康に気をつける」と言い換えられます。
「利用者の年齢層に留意する」は、「利用者の年齢層を考慮する」と言い換えられます。
「心に留める」「念頭に置く」は、ある事柄を意識しておくことに重点があります。判断や対応に反映することを明確にしたい場合は、「考慮する」「踏まえる」が適しています。
おわりに
「注意する」は、見落としや事故、失敗などを防ぐために気をつけることを表します。また、相手の問題点を指摘し、改善を求める意味でも使われます。
「留意する」は、重要な事情や条件を心に留め、判断や行動に反映することを表す、やや改まった表現です。
両者の意味は一部重なりますが、問題を防ぐことに重点を置くなら「注意する」、重要な事情を踏まえて対応することに重点を置くなら「留意する」が適しています。










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