熟字訓とは?「今日」「明日」「明後日」に共通する読み方

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熟字訓とは?「今日」「明日」「明後日」に共通する読み方

「今日」を「きょう」、「昨日」を「きのう」と読むとき、漢字を一字ずつ読むのではなく、複数の漢字を一つのまとまりとして読んでいます。

このような読み方を「熟字訓(じゅくじくん)」といいます。「大人」「梅雨」「土産」など、普段から使っている言葉にも見られるものです。

この記事では、熟字訓の仕組みや身近な例、当て字との違いを分かりやすく紹介します。

1. 熟字訓とは

熟字訓とは、二字以上の漢字からなる語を一つのまとまりとして捉え、その意味に合う日本語の読みを当てたものです。

たとえば、「山道」は「山=やま」「道=みち」と、漢字ごとに読みを分けられます。「安全」も「安=あん」「全=ぜん」と分けられるため、熟字訓ではありません。

一方、「大人」は、「大=おと」「人=な」と読むわけではなく、「大人」というまとまりで「おとな」と読みます。これが熟字訓の特徴です。

「数多」も、「数」を「あま」、「多」を「た」と読んでいるわけではありません。語全体に「あまた」という読みが当てられています。

熟字訓は、一字ずつの音読みや訓読みを組み合わせても、その読みにはなりません。

2. 熟字訓が語全体で読まれる理由

熟字訓では、漢字の組み合わせが表す意味と、それに対応する日本語とが結び付いています。それぞれの漢字の読みではなく、語全体の意味に注目する点にあります。

「大人」という漢字表記は、成長した人を表す「おとな」という日本語に対応しています。

「数多」も、数が多いことを表す「あまた」という日本語に対応しています。
数多の困難を乗り越える。
数多の作品を残す。
数多ある選択肢から選ぶ。
いずれも「数多」を「あまた」と読み、「たくさん」「数が多いこと」を表します。

つまり、一字ずつの読みをつなげたのではなく、語全体が表す意味に合う日本語の読みを当てているのです。

3. 日常で使われる主な熟字訓

熟字訓は、特別な難読漢字だけに見られるものではありません。身近な言葉にも多く使われています。

・今日(きょう)
・昨日(きのう)
・一昨日(おととい)
・明日(あす・あした)
・明後日(あさって)
・一日(ついたち)
・二十日(はつか)
・二十歳(はたち)
・素人(しろうと)
・玄人(くろうと)
・雪崩(なだれ)
・紅葉(もみじ)
・梅雨(つゆ)
・土産(みやげ) など

ただし、同じ漢字でも、読み方によって熟字訓になる場合と、ならない場合があります。

たとえば、
「今日」を「きょう」と読む場合は熟字訓ですが、「こんにち」と読む場合は、「今=こん」「日=にち」という音読みの組み合わせです。

「一日」も、月の第1日という意味で「ついたち」と読む場合は熟字訓です。一方、「一日かかる」のように「いちにち」と読む場合は、「一=いち」「日=にち」という音読みの組み合わせです。

「紅葉」には、「もみじ」と「こうよう」という読み方があります。このうち、「もみじ」は熟字訓です。「こうよう」は、「紅=こう」「葉=よう」という音読みの組み合わせです。

このように、同じ漢字表記でも、読み方によって熟字訓になる場合とならない場合があります。熟字訓かどうかは、漢字表記だけでなく、読み方も含めて判断します。

4. 熟字訓と当て字の違い

熟字訓と混同されやすいものに「当て字」があります。

両者を理解するには、意味に基づいて日本語の読みを当てているのか、漢字の音を借りて表記しているのかに注目すると分かりやすくなります。

熟字訓では、漢字が表す意味と、日本語の意味とが対応しています。

・大人(おとな):成長した人
・数多(あまた):数が多いこと

これに対し、狭い意味での当て字は、漢字本来の意味よりも、主にその音を利用して言葉を表したものです。

・珈琲(コーヒー)
・亜米利加(アメリカ)

たとえば、「亜米利加」は、「アメリカ」という音を漢字で表したものです。それぞれの漢字の意味を組み合わせて、アメリカという国を説明しているわけではありません。

一方、「当て字」を広い意味で使い、漢字の意味に基づいて読みを当てる熟字訓も、その一種に含める場合があります。そのため、熟字訓と当て字を必ず別のものと考えることはできません。

また、「読み方が珍しい」「一字ずつに分けにくい」という理由だけでは、熟字訓と断定できません。言葉によっては由来や分類が複雑なため、判断に迷ったときは国語辞典や漢和辞典で確認すると確実です。

おわりに

熟字訓は、漢字を一字ずつ読むのではなく、語全体が表す意味に合う日本語の読みを当てたものです。「今日」「大人」など、身近な言葉にも数多く使われています。

同じ漢字表記でも、読み方によって熟字訓になる場合と、ならない場合があります。漢字表記だけを見るのではなく、どのように読まれているかを確認することが大切です。