「吹き替え」「吹替」「吹替え」の違いは? 送り仮名の正しいルールと使い分け

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「吹き替え」「吹替」「吹替え」の違いは? 送り仮名の正しいルールと使い分け

外国映画やドラマの「ふきかえ」は、「吹き替え」「吹替」「吹替え」と書き方がいくつもあります。「どれが正しいのか」と迷う人も多いと思います。

結論から言うと、3つとも誤りではありません。ただし、基準になる書き方は「吹き替え」です。

この記事では、国の表記の目安をもとに、それぞれの位置づけと場面ごとの使い分けを紹介します。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

内閣告示「送り仮名の付け方」通則6(文化庁)
『デジタル大辞泉』(小学館)
『記者ハンドブック 新聞用字用語集』(共同通信社)
『新明解国語辞典』第八版(三省堂)

1. 3つの表記の位置づけ

送り仮名については、国が示した目安として内閣告示「送り仮名の付け方」があります。この告示に照らすと、3つの書き方は次のように整理できます。

・吹き替え → 本則(標準の書き方)
・吹替   → 許容(認められる省略形)
・吹替え  → 許容(認められる省略形)

どれを使っても間違いにはなりません。ただ、最も標準的なのは「吹き替え」です。

2. なぜ送り仮名を省いてもよいのか

「吹き替え」は、動詞「吹き替える」から生まれた名詞です。このように2つ以上の語が結びついた語を、複合語といいます。

告示では、複合語の送り仮名は、もとになった語をそれぞれ1語で書くときと同じように付けるのが原則とされています。「吹く」と「替える」の送り仮名をそのまま生かすので、「吹き替え」が本則になります。

一方で、読み間違えるおそれがない場合は送り仮名を省いてもよい、という許容も定められています。告示があげる例には、「吹き替え」と同じ仕組みの語もあります。

・乗り換え(乗換え・乗換)
・引き換え(引換え・引換)

これらと同じ考え方で、「吹替え」や「吹替」も認められる書き方になります。

出典:内閣告示「送り仮名の付け方」通則6(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/okurikana/honbun06.html

3. 場面ごとの使い分け

① 新聞や一般の文章では「吹き替え」

新聞社や通信社の表記基準では、「吹き替え」を使うのが一般的です。ニュース記事、解説文、ブログなど、読みやすさと正確さが求められる文章では、この形が基本です。

<例>
・映画を吹き替えで見る
・人気俳優が吹き替えを担当する
・字幕版と吹き替え版を見比べる

② 映画・DVD・配信サービスの表示では「吹替」

パッケージや配信サービスの画面のように短さが求められる場面では、「吹替」が広く使われています。

<例>
・日本語吹替版
・字幕・吹替
・吹替キャスト

作品名や商品名、サービス上の表示を引用するときは、元の表記をそのまま使います。

③ 少し短く書きたい場面では「吹替え」

「吹替え」は、本則の「吹き替え」から「き」だけを省いた許容形です。「吹き替え」より短く書けます。また、最後の「え」が残るので、「吹替」より動詞「吹き替える」から来た言葉だとわかりやすくなります。

「吹き替え」では長く感じるけれど、送り仮名をすべて省くと漢字が続いて読みにくい。そんな場面で選べる書き方です。

<例>
・吹替え版
・吹替え作業
・吹替え収録

おわりに

「吹き替え」「吹替」「吹替え」は、いずれも国の目安で認められた書き方です。本則にあたる最も標準的な形は「吹き替え」で、ほかの2つは送り仮名を省いた許容形です。

一般の文章では「吹き替え」を使うのが無難です。映像作品の表示では「吹替」が広く使われています。

迷ったときは「自分で書く文章は吹き替え、引用は元の表記」と覚えておけば、まず困ることはありません。