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「変わる」「代わる」「替わる」の違いと使い分けポイントの解説
「かわる」と読む漢字は、「変わる」を始めとして複数あるため、使い分けに迷うことも多いと思われます。この記事では、その中でもよく使われる「変わる」「代わる」「替わる」について、用例を示しながら使い分けを解説します。
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
・『明鏡国語辞典 第三版』(大修館書店)
・『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)
・『漢字の使い分けときあかし辞典』(研究社)
・『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)
「変わる」「代わる」「替わる」の使い分けポイント
漢字の使い分けを考えるときは、その字を含む熟語をイメージすると判断しやすくなります。
<変わる>
「変わる」は「変化」という熟語から想像できるように、「状態が前と違ったものになる」場合に使われます。たとえば、「信号が青から赤に変わる」「知らせを聞いて顔色が変わる」といった例があります。
<代わる>
「代わる」は「代理」という熟語をイメージするとわかりやすいでしょう。「あるものの役割を他のものがする」ことを表し、「上司に代わって出席する」「石油に代わるエネルギー資源」のように使います。
<替わる>
「替わる」の字を含む熟語としては「交替」があります。「今年から担当者が替わった」「世代が替わる」のように、「あるものが取りかえられて別のものになる」ことを表します。
ただし、「交替」という語は「交代」とも表記されるように、「替わる」と「代わる」のいずれも使用可能なケースが多くあります。『明鏡国語辞典 第三版』(大修館書店)では「【替】は別の(新しい)ものになる、(中略)【代】は別のもので代用される、の意で使うが、実際には併用されることも多い」とされています。
<使い分けのポイントは熟語をイメージ>
・変わる → 変化
・代わる → 代理
・替わる → 交替
「変わる」「代わる」「替わる」の例文
以上の説明を踏まえて、次の文中の「かわる」は「変わる」「代わる」「替わる」のどの漢字を使うのが適切か考えてみてください。適切な表記が複数ある場合もあります。
問題
Q
1. 父にかわってご挨拶します。
2. あの人の食の好みはかわっている。
3. 担当者に電話をかわってください。
解答&解説
■ 解答
<問題1>
Q 父にかわってご挨拶します。
A 父に代わってご挨拶します。
<問題2>
Q あの人の食の好みはかわっている。
A あの人の食の好みは変わっている。
<問題3>
Q 担当者に電話をかわってください。
A 担当者に電話を替わってください。
or
A 担当者に電話を代わってください。
■ 解説
1つ目の文は、「父の代理としてご挨拶します」と言い換えることができるので、「代わる」が適切です。
2つ目の文のように「普通と違っている」という意味合いの場合は「変わる」を使います。「風変わり」という表現を考えるとイメージしやすいでしょう。
3つ目の「かわる」は「担当者に交替(交代)する」ことを表しているので、「替わる」または「代わる」と表記します。
おわりに
以上、「変わる」「代わる」「替わる」の使い分けについて解説しました。
記事内でも触れたように、特に「代わる」と「替わる」はどちらも使用できるケースがあり、表記に迷う場面も多く出てくると思われます。どうしても判断がつかない場合は、ひらがなで書くことも選択肢に入れるとよいでしょう。『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)でも、「使い分けに迷う場合は平仮名書き」と注記されています。