「紙面」と「誌面」の意味と使い分け[例文解説]

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「紙面」と「誌面」の意味と使い分け[例文解説]

雑誌や広報誌、パンフレットの校正などの場面で、よく使われる「しめん」。

「紙面」と「誌面」の2つの表記があるため、どちらを使えばよいか迷うことも多いと思います。2つとも使用される場面が似ているので迷うのも当然かもしれません。

この記事では「紙面」と「誌面」の使い分けについて、例文を交えてわかりやすく解説します。

1. 紙面と誌面の使い分け基準

次の例文の中で、「しめん」の漢字表記が適切でないものはどれか考えてみてください。

Q
1. 春は多くの雑誌が、新生活についての特集に誌面を割く。
2. ホームランを打った翌日、その選手の活躍がスポーツ紙の紙面を飾った。
3. 教科書の誌面のレイアウトでは、文字の読みやすさが重要な要素となる。
4. 自治体が発行する広報紙の紙面に、イベント情報を掲載する。

A
1. 春は多くの雑誌が、新生活についての特集に誌面を割く。
2. ホームランを打った翌日、その選手の活躍がスポーツ紙の紙面を飾った。
3. 教科書の誌面のレイアウトでは、文字の読みやすさが重要な要素となる。
4. 自治体が発行する広報紙の紙面に、イベント情報を掲載する。

表記が適切でない例文は3つ目です。以下、詳しく見ていきます。

「紙面」と「誌面」の使い分けについては、
雑誌の場合「誌面」、それ以外の新聞や書籍などの印刷面のことを「紙面」と表記すると覚えておくと便利です。

1つ目の例文は、雑誌について用いられていることから「誌面」が適切です。一方で2つ目は新聞について用いられていることから「紙面」と表記するのが適切です。

3つ目例文は教科書とあるので、雑誌ではない「書籍」であり、「誌面」という表記は誤りとなります。

4つ目はやや特殊な「広報紙」であるため、後に詳述しますが、この例文においては雑誌ではない印刷物として「紙面」を用いて問題ありません。

2. 特殊な場面での「紙面」と「誌面」の使い分け

自治体が発行する「広報紙」は、もともとタブロイド紙(新聞紙の半分のサイズ)で発行されることが多かったことから広報「」と表記し、その印刷面のことは「紙面」と書き表すのが一般的でした。
・広報紙 → 紙面

しかし現在は、雑誌のように綴じられた型のものも多く発行されており、そういったものを広報「」、印刷面のことを「誌面」と表記することも多くなってきたようです。
・広報誌 → 誌面

【参考:公益社団法人日本広報協会「広報紙・誌」の使い分け(広報Q&A)より】

企業等が発行するパンフレットも同様で、一般的には「紙面」の表記を用いますが、雑誌のように綴じられた形式の場合は「誌面」を用いる場合もあります。

カタログの場合は綴じられた形式が一般的であることから「誌面」の表記を用いることが多いようです。(ただし「紙面」でも誤りではありません。)

また、最近では新聞各紙の電子版や、電子書籍など、モニター上で閲覧する発行物も増えてきています。こういったものの場合でも「紙面」「誌面」の使い分けの原則は同じです。

厳密にいえば印刷物ではありませんが、もとが雑誌の場合は、電子版であっても「誌面」、もとが新聞や書籍の場合は「紙面」を慣例的に用います。

なおポスターやチラシなど、紙一枚の印刷物に対しても「紙面」を用います。

3. 紙面と誌面の使い分けの復習問題

ここまでの説明を踏まえて、次の各文の「しめん」は紙面・誌面のいずれの表記が適切か考えてみてください。

Q.
1. 閣僚の辞任のニュースが、新聞しめんを賑わせた。
2. ブランドの新ラインナップが、ファッション誌のしめんに大きく取り上げられた。
3. 広報誌のしめんに、市の職員登用試験の案内を掲載する。
4. 雑誌の電子版のしめんを、タブレット端末で閲覧する。
5. デザイナーとして、電子書籍のしめんレイアウトを担当した。

A.
1. 閣僚の辞任のニュースが、新聞紙面を賑わせた。
2. ブランドの新ラインナップが、ファッション誌の誌面に大きく取り上げられた。
3. 広報誌の誌面に、市の職員登用試験の案内を掲載する。
4. 雑誌の電子版の誌面を、タブレット端末で閲覧する。
5. デザイナーとして、電子書籍の紙面レイアウトを担当した。

1つ目の文は「新聞」とあるので「紙面」、2つ目の文は「ファッション誌(雑誌)」とあるので「誌面」と表記するのが適切です。

3つ目の文の「広報誌」は、形式によって「誌面」「紙面」の二通りの表記がありますが、ここでは「広報」と表記されていることから「雑誌のように綴じられた形式」のものだと推測し「誌面」とするのがよいでしょう。

4つ目の文は「雑誌の電子版」とあり、厳密には印刷物ではありませんが、もとが雑誌であることから「誌面」の表記を慣例的に用います。一方で5つ目の文は「電子書籍」であることから、書籍がもととなっていることを踏まえ「紙面」と表記します。

おわりに

「紙面」と「誌面」の使い分けは、雑誌の場合のみ「誌面」、そのほかの新聞や書籍などの印刷物はすべて「紙面」と覚えておくと迷いません。

電子版の場合も同様に、もとになった印刷物に準じて「誌面」と「紙面」を使い分けます。

広報紙やパンフレットなど特殊なものの場合は、新聞形式のものか、雑誌のように綴じられたものかによって、どちらの表記を用いるか判断しましょう。