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三点リーダーの意味とは?[意味を理解し正しく使う]
三点リーダーは、約物の一種で点を3つ横に並べた記号になります。
(※約物とは、文字・数字以外の記号・符号の総称。句読点や括弧なども約物になります)
三点リーダーという名前からもわかるように、リーダー罫の種類の一つになります。リーダー罫は「点々」や「点線」などと呼ばれることから、三点リーダーも「点々」や「点線」などと言われます。
表記が「三点リーダー」もしくは「三点リーダ」と音引きの有無でバラつくことがありますが、JIS X 0208では、「三点リーダ」と表記され、語の後ろに音引きはつきません。
この三点リーダーは、一般的な書籍からカタログ、雑誌など多くの媒体で使用されます。小説や漫画の吹き出しなどではよく目にするものです。
適切な使い方を覚えておくときっと役に立ちます。
三点リーダーは、ひらがなで「さんてん」と入力して変換すれば出てきます。また中黒を3回押して変換しても出てきます。
「さんてん」→ 変換 → 「…」
「・・・」 → 変換 → 「…」
三点リーダーの使用方法
三点リーダーは、基本2倍「……」(2つセット)で使用するとされます。ですが、あくまで2つでの使用が望ましいというだけで、全角「…」や3倍「………」での使用が間違いというわけではありません。
使用ルールは、企業や媒体、個人によって違ってきます。どの使用でも問題ありませんが、使用する際は、表記がバラつかないように注意しましょう。一つの文章内に、「…」(全角)、「……」(2倍)、「………」(3倍)が混在していると、読み手がそれらの違いに何らかの意味があるのかと思ってしまいます。
文章の内容理解を阻害する原因になりかねません。特に決まりがないようであれば、2倍「……」の使用が推奨です。また公的な文書やビジネスシーンなどでは、明確な表現が求められるため、基本的に三点リーダーを使用しません。
一方、和文の場合には、三点リーダーの代わりとして、中黒の半角や全角、句点が使用されることもあります。
… | 三点リーダー |
・・・ | 半角中黒が3つ |
・・・ | 全角中黒が3つ |
。。。 | 句点が3つ |
これらは一般的には誤用とされますが、くだけた文章などでは見た目を考慮して意図的に使用されることがあります。使用する場面によっては間違いとも言えません。
三点リーダーの文章中での使用例
三点リーダーの使い方は特に限定されていませんが、文章中では次のような場面で主に使用されます。
1. 会話の間/無言の状態を表す
2. 余韻を残す
3. 文の省略
4. 関連する語や項目をつなぐ など
三点リーダーの主な使用例
1. 会話の間/無言の状態を表す
<使用例>
「なあ、お春どん……」
お春は下を向いたまま、小さく頷いた。
「あんた、お嬢ちゃんにいつ云うたん」
「はい。……今朝でございます」
「何と思うて云うたん」
「……」
2. 文末につけて余韻を残す場合
<使用例1>
四月の中旬に雪子は東京へ立って行った……
<使用例2>
彼はしばらく無言で窓の外を見つめていた……
3. 引用など文を省略する
<使用例>
P.100の3行目で「校正とは……である」と述べている。
省略の使い方はくだけた文で使用する「~(波ダーシ)」と同じ役割です。
<使用例>
この記事のタイトル「三点リーダーの~」は、全部で38文字です。
4. 関連する語や項目をつなげる(単に点線の記号として使用)
<使用例1>
10月 …… 神無月(かんなづき)
11月 …… 霜月(しもつき)
12月 …… 師走(しわす)
<使用例2>
リンゴ …… P.99
レモン …… P.12
ワイン …… P.73
三点リーダーの使用で注意すべきこと
三点リーダーは使用範囲が幅広く応用も利き、使い勝手もいいですが、使用時に注意しておきたいことが2点あります。
1. 三点リーダーは、沈黙や会話の間、省略などを文字で表す代わりとして使用されることがあります。そのため、三点リーダーの使用の意味が読み手にも明確に伝わる(共感できる)場面で使う必要があります。
やみくもに使用すると、読み手に使用意図が理解されず違和感を与えることになります。
イラストで説明すると次のような感じです。
左の犬は、何か考えている様子が窺えます。一方、右の犬は三点リーダーが何を表しているかわかりません。
このイラストのように、文章内で誤って三点リーダーを使用すると読み手に違和感を与えることになります。
2. 次のように三点リーダーを文末に使用して、あえて文の続きを曖昧にさせ、読み手の想像力を搔き立てる使用法があります。
<使用例1>
「あの時から、彼らの関係は……」
<使用例2>
「彼女の性格からして、きっと職場では……」
このような使用は、その後に何が起こるか読み手の想像力にゆだねられます。次に起こる展開に対して、読み手の期待感を高める効果としては大いに役立ちます。
ただ内容を読み手にゆだねる場面が頻繁に続くと、読み手のストレスにつながるおそれがあります。さらに三点リーダーの使い過ぎは、深みのない文章に見え、単調な印象を与えます。
三点リーダーを使用する際は、読み手に不快感を与えないように注意し、適切な場面で適度な使用を心掛けましょう。
三点リーダーのその他の使用例
三点リーダーには、こうすべきという明確な使用ルールは存在しませんが、文章中でよく見かける使用例をいくつかピックアップしてみました。
三点リーダーを適切に使用すれば、文章の表現力を高めることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 文脈から情景やイメージが容易に連想される場合
<使用例1>
「苦手な仕事が続く。昨日は嫌な一日だった。今日も……」
<使用例2>
「毎年夏にはいい出会いがある。そして今年も……」
この例は省略の形に近いですが、単なる省略でなく前の文から判断して、あえて書かなくても続きの文がわかるときに三点リーダーを使用しています。
2. 言葉に詰まる様子を表現する場合
<使用例>
「ええと、その……なんか、こう……」
言葉に詰まる状況を表したいときに三点リーダーを使うことで、より言葉に詰まる様子を表現できます。
3. 相手の様子をうかがう場合
前述の2と似ていますが、相手の反応をうかがう場面でも使えます。
<使用例>
「あのさ……実はね……」
この場合は、言葉に詰まるというよりも、三点リーダーを入れて少し間を置くことで、相手の反応を待ったり話し方に迷ったりする様子を表現しています。
4. 続きがあることを示す場合
<使用例1>
「温泉と言えば、有馬温泉、草津温泉、そして……」
<使用例2>
「彼に伝えたいことがあるんだけど……」
この例では、文末に三点リーダーを付けることで、まだ続きがあることを示しています。伝えたいことが他にもあるときに使用されます。
5. 不満や不安などの感情を表現したい場合
<使用例>
「彼はいったい何を考えているのだろう……」
三点リーダーを付けることで、より感情を深める働きをします。
次のように三点リーダーと疑問符を併用することで、通常の疑問文とはニュアンスを変えることができます。
A「もう帰ってきたのか……?」
この文では、疑問に感じるとともに何か不審に思う感情を持たせることができます。
B「もう帰ってきたのか?」
三点リーダーがない疑問文では、肯定的にも読み取れます。
Aのように三点リーダーを使うことで単なる疑問文でなく、文に何らかの含みを持たせることができます。
6. 会話の中で考えたり悩んだりといった様子を表す場合
<使用例1> 考えている場面
「明日、どこ行く?」
「そうだな……」
<使用例2> 悩んでいる場面
「この中から好きなもの選んで」
「どうしよう……」
7. 音楽の休符的な役割(静寂)を持たせたい場合
<使用例>
「先生が来ました。お静かに……」
三点リーダーが前の文を受けて、静寂の様子を続けるという意味を表しています。
8. 数学などでの使用
数学などでは、省略や語をつなぐ役割として使用されます。
・数列や集合などで途中の項目を省略するときに使用
<使用例1>
「1,2,3,…,10」
・割り算の余りを示すときに使用
<使用例2>
「5÷2=2…1」
おわりに
以上、三点リーダーの意味や使い方を紹介しました。
文中に三点リーダーを使用することで、感情を深めたり、言葉では表しがたい情景を説明したりすることができます。文章の表現力を高める効果があります。一方で、三点リーダーをむやみに使うと逆効果になります。
文と三点リーダーを組み合わせる際は、読み手に共感できる適切な場面での使用を心掛けましょう。