
責了・校了・入稿/出稿・色校正・中とじ/無線とじ・下版
印刷物に携わる身なら
・知っておきたい
・何となく知っている
・知らなくても支障はないが知っておいて損はない
という用語集になります。
1:責了(=責任校了)と念校
訂正箇所が少ないときなど、印刷所の責任で訂正し次工程に進める場合に使用する用語です。
要は「もう訂正箇所がほとんどないから、後はそっち(印刷所)で責任持って修正しておいてね」ってことです。
この修正結果は、クライアントにも確認してもらうことはありません。
スケジュールが押していて時間がないときなどに責了で行くことはよくあります。また、最終段階の少ない訂正でわざわざ校正紙を出力したり、クライアントに確認する手間を省くことで、時間やコストの削減を図っています。
ただし、勝手に責了判断はできませんので、事前にクライアントに責了で行く確認を取る必要はあります。
※責了後、校了の直前に、念のためにもう一度校正することを「念校」といいます。
2:校了(=校正終了)
すべての修正を確認し終え、何も問題がなく、その状態のまま印刷してもいい状態である場合に使う用語です。
簡単に言えば「もう全部校正し終えてOKだから、これで印刷できるよ」ってことです。
「校了」の言葉を聞くと校正者がホッとする瞬間です。
3:入稿と出稿
入稿(にゅうこう)と出稿(しゅっこう)の使い方は迷うところです。これは迷うのも当然で、原稿に対するそれぞれの立ち位置で同じ言葉でも意味が違ってきます。
■ 基本的な考え方としては以下になります。
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・前工程から原稿が入るのが「入稿」
・次工程に原稿を渡す(出す)のが「出稿」
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「入稿」には、上記の意味ともう一つ、次の工程に原稿を入れるときにも「入稿」と使われることがあります。
※「出稿」は、新聞・雑誌・テレビ・ウェブサイトなどに広告を出す意味としても使用されます。
【出典:小学館_デジタル大辞泉】
▼ 入稿と出稿の違い
・著者・出版社・印刷会社、それぞれの視点で「入稿」と「出稿」の使い方を見ていきたいと思います。
4.色校正(=色校)
文字通り、色の校正です。一般的な校正者はまずすることがない作業です。クライアントや編集者、デザイナーなどが立ち会うことが多い作業です。
実際の印刷を行う前に、事前に印刷物の色の仕上がりを確認することで、色指定した部分が意図した通りに刷られているかを確認します。
通常の校正ゲラとは違い、実際に印刷された状態に近いものなので用紙の種類も違ってきます。
それを見て「ここの色はもっと明るく」とか「肌のくすみトル」などの赤字を入れます。その指示を書き込んだ原稿を色校正、色校正紙などともいいます。
これは、大量に印刷してから、思っていた色と違うという事態になるのを防ぐための工程です。
特に、食品系などのカタログでは、商品画像の色味がおいしそうに仕上がっていないと、売れ行きにも影響してきます。ファッション系の雑誌なんかでもシビアです。洋服もそうでが、モデルの肌の色などにも細かく指示が入ったりします。
ちなみに、通常の校正ゲラでは、色の確認はできません。
「赤を青にスル」などはわかりますが、「鮮やかに」「シャープに」「赤味おさえる」などの指示は、校正ゲラで修正されているように見えたとしても、プリンターやその他の環境の変化で何とでも変わってきます。
原稿に色に関する指示が入っていたら、担当者に校正ゲラでは色の確認はできませんということを伝えましょう。
5:中とじ・無線とじ
校正しているときに、中とじ・無線とじかを意識している人は少ないと思いますが結構重要な知識です。
▼ 中とじと無線とじ
【出典:日本エディタースクール出版部_本の知識】
特に見開き2ページでレイアウトされているような、ファッション誌などでは知っておかないといけません。編集者やデザイナーなら必ず知っていることです。
中とじ、無線とじ以外にも綴じ方は他にもありますが、印刷物に携わる身なら、最低でもこの2つだけでも知っておかないといけないレベルです。
特に、中とじは、ページがノド部分までしっかり開くことができるので、見開き2ページを使ってのレイアウトができるというのが大きなポイントです。
その反面、無線とじは、ノド部分が隠れて見えにくくなるデメリットがあります。無線とじの印刷物としては『少年ジャンプ』『少年マガジン』『りぼん』などを想像してもらえるとわかりやすいと思います。
※中とじ・無線とじに関しては、下記のサイトでわかりやすくイラストを用いてメリット・デメリットが解説されていますので参考にしてみてください。> メリット・デメリットから見る中綴じと無線綴じの選び方
【関連記事】
> ノド(のど)について校正者が知っておきたいこと
6:下版
校了になったデータや製版フィルムを、印刷工程(製版)にまわすことです。印刷の実行段階に移すことです。
おわりに
印刷業界では、デジタル化により無くなった作業や使わなくなった用語などがあります。
「下版」もその言葉を探っていくと、その名残が窺えます。印刷会社に所属している校正者なら、その辺りの知識も豊富かと思います。
それ以外の方々は、いまいち想像できなかったりすると思います。ですが、関東圏にお住いの方なら、印刷現場見学会を開催されている会社もありますので、興味がある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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