「差し替え」と「差し換え」どっちの表記が正しい?
この記事では、「差し替え」と「差し換え」の意味や違いについて解説しています。
1. 「差し替え」と「差し換え」の違い
結論からいうと「差し替え」と「差し換え」は、同じ意味になります。
ただし、表記は「差し替え」のほうが一般的とされます。
そのため、迷った場合は「差し替え」としておくのが適切です。
▼ 簡単にまとめると次のようになります。
・意味は同じ
・表記は「差し替え」が一般的
■ 具体的に「差し替え」の意味は以下になります。
『とりかえること/他の物にかえる/新しいものと入れかえる etc. 』
■「差し替え(る)」の使用例
- 誌面を差し替える
- イラストを差し替えてほしい
- 書類の一部を差し替えた
- 最新のデータに差し替える
- この部分は、差し替え可能です
- 差し替え用のテキストを作成中です
多くの辞書で、「差し替え=差し換え」、もしくは「差し換えとも表記される」のように記載されています。特に厳密な意味の使い分けが不要という方は、次の[2]の章は読み飛ばしていただいて大丈夫です。
2. 「差し替え」と「差し換え」の厳密な使い分け
「差し替え」と「差し換え」は、微妙な意味の違いにより使い分けが可能なケースもあります。
▼ 厳密な意味の違い
差し替え(る)は、新しく別のものにかえるという意味合いが強くなります。
一方、
差し換え(る)は、「換える」や「交換」の語からも連想されるように、同等の別のものにかえる、同種の別のものにかえるという印象が強くなります。
■ 使い分けのイメージ
「差し替え」は、新しく別のものにするという意味で、
現状よりも、よくなる/いいもの/ブラッシュアップされるイメージがあります。
「差し換え」は、同等の別のものにかえる、同種の別のものにかえるという意味で、
現状維持、もしくは元の適正な状態に戻るイメージがあります。
■ 使い分け例
「このイラストは嫌だから、そっちのイラストに差し替えてほしい」
「この部品、もう使えないから、新しいものと差し換えてほしい」
「差し換える」は、「交換する」や「入れ替える」「置き換える(置換)」などで代用したほうが文がしっくりくることが多いです。
▼ 捉え方によって漢字が変わる!?
「差しかえる」の「かえる」は、捉え方によって使用される漢字が変わります。
【古い企画書を、新しく書き直した企画書に差しかえる】という例でみてみたいと思います。
古い企画書と新しい企画書とで、内容がまったく違う場合。
企画書の内容に焦点をあてたとき、
新しいものに差しかえると捉えることができるので、
「古い企画書を新しい企画書に差し替える」となります。
一方、企画書そのものに焦点をあて、
単に新旧の企画書をとりかえるという意味で捉えるなら、
「古い企画書を新しい企画書に差し換える」となります。
このように、企画書の内容か企画書そのものか、
物事のどこに焦点をあてるかで使う漢字が変わってきます。
おわりに
基本的には「差し替え」の使用で問題ありません。ただ、「差し換え」が使用されていても不自然といえない文も多くあります。
このような表記の仕方で迷うものの対策としては、
・どちらか一方の表記に統一する
・明確に使い分ける
以上の選択がまず思い浮かびますが、あえて「ひらがな表記」にするのも一つの方法です。
読み手のことを考慮して、ひらがな表記にするというのは珍しくありません。使い分けが曖昧なものや、捉え方によって使用する漢字が変わるものに対して、ひらがな表記にするのは適切な判断です。