文章が好きな人へ贈るおすすめの本
[講談社文庫]熟練校閲者が教える 間違えやすい日本語実例集
こちらの本、愛嬌のあるウサギ先生(?)が表紙を飾り、画像には映っていませんが、帯はピンク色で手元に置いておくだけでも和む本です。
著者は、講談社校閲部の方々です。
表紙のポップさにつられて一見さらりと読めそうですが、考えさせられることが多く、読んでいる途中に何度も手が止まります。
ピンクの帯には、いきなり次のような問題が3つ記載されています。
以下の文章の誤りを正してください。
Q1 県で一番の名門校に席をおく秀才。
Q2 彼女は過去を精算して、やり直すことにした。
Q3 私は包擁力のある上司になりたい。
※答えは、帯表4にあるので、実際に手に取って答え合わせをしてみてください。
校閲のプロの考えが学べる
▼ おススメの理由
講談社校閲部の方々が書かれていますので、プロの校閲者の視点を学ぶことができます。
また、掲載している用例が、実際の原稿やゲラで目にしたものを加工しているものなので、実践的な学習材料から知識を得ることができます。
価格と内容を考えたら、コスパは非常にいいと思います。
講談社校閲部の方々が書かれているということで、おそらくターゲットは校正・校閲者向けの本なのかもしれませんが、文章に携わるすべての方に、勉強になる要素が詰まっています。
2007年刊行のものを文庫化したものですが、10年以上経った今でも全く通用します。
この本の流れは、実際に起こった間違いを問題文にし、その解説をするといった感じで進んでいきます、問題文は、一行か二行程度で気軽に取り掛かれます。
ですが、解説文は豊富で明解で、非常に詳しく書かれています。内容も、よく耳にする日本語が多く、誰でも疑問に思ったり、陥りやすかったりする実例がたくさん紹介されています。
単純に間違いを解説しているだけでなく、
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・間違いに至る経緯
・なぜこのような間違いになったのか
・この間違いから派生しうる他の間違い
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などなど、様々な視点でプロの校閲者の思考を知ることができます。
さらに、
各章の最後には、座談会形式でのトークがあり、校閲のプロの方々の生の声を知ることができます。
感心させられることが多く、校正・校閲に携わる方なら、きっと頷く場面も多いでしょう。
文章に携わるライターなどの方にも参考になるとものだと思います。
シンプルに読んでも、熟考しながら読んでも楽しめる本です。
「amazonのKindle」だとスマホやPC向けの無料サンプルもあります。
文章問題が2つ見られて解説も読めます。興味のある方は参考にしてみてください。