校正の未経験者が独学するためのおすすめ本[本の知識]
校正・校閲という仕事は、少しの文房具と自分の頭だけでできるものです。そのため誰にでも簡単にできるように思えます。それゆえに個人の能力が試されるものでもあります。
覚えるべきことはたくさんありますが、漢字の使い分けなどは一生かかっても覚えきれるものではありません。一人前の校正者になるには、適切な知識と経験を効率よく身に付けていく必要があります。
その第一歩として、まず覚えるべきことは何か?
「校正記号?」
「赤字の入れ方?」
「漢字の使い分け?」
色々と疑問に思うかもしれません。
校正者としてまず覚えるべき『共通言語』
まず覚えるべきことは、本に関する知識です。本に関する知識は、校正する媒体や会社が違っても『共通言語』なので覚えておく必要があります。
具体的に言うと、本の名称・種類・大きさ(紙面サイズ)などです。事前にそれらの知識があるだけで、校正・校閲の実務をするときには役立ちます。
何も覚えるために、分厚い本を読んで1から10まで本の知識を頭に入れる必要はありません。
まずは基礎的なことだけ覚えておいて、その他の知識は実務に入ってから身に付けて行ったほうが吸収が早いです。
そこで本の基礎的な知識を学ぶのに最適な本がこちらです。
▼ 本に関心のあるすべての人へ!『本の知識』
校正・編集の学校である日本エディタースクールが発行しているものなので、要点がきれいにまとまっていて、説明もわかりやすいものになっています。
この本の特長は次の点にあります。
- 必要な基礎知識が集約されている
- 手元に置いておくのにちょうどいい大きさ
- コスパがいい(500円+税)
「本の知識」の活用の仕方
▼ 目次
【出典:日本エディタースクール出版部『本の知識』】
■この本は、1~6の章で構成されています。
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1.本とは何か
2.本の種類と大きさ
3.本の各部分の名称
4.本のできるまで
5.雑誌について
6.読書の手に届くまで
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この中の
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2.本の種類と大きさ
3.本の各部分の名称
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は必須の知識といえます。
校正・校閲の仕事で、本の名称・種類・大きさが常に必要かと言えば、そうでないことも多いです。ですが、印刷出版関係に携わる身なら知っておかないといけないこともあります。
覚えると言っても「聞いたらわかる」「見たらわかる」程度で十分です。
▼ 本文中のイラスト例
・ページを構成する部分の名称(P.15)
【出典:日本エディタースクール出版部『本の知識』】
イラストを用いて各部の名称が解説されています。自分が持っている本や雑誌を実際に手に取って、実物で名称を確認しながら学習していくと覚えが早いです。
2と3以外の章は、知っておいて損することはないですが必ず覚えておくというものでもありません。時間の空いたときにでも眺める程度に留めておいて、実際に校正するときに必要であれば熟読しておくとよいと思います。
くれぐれも最初から知識偏重にならないように注意しましょう。