校正の流れ:初校→再校→三校→最終(校了と責了)の解説

information

初校→再校→三校 ⇒ 最終(校了or 責了)→下版[校正の流れ

印刷での校正の流れの説明になります。初校から校正作業が完了するまでを紹介しています。

この記事内で出てくる用語

  • 初稿
  • 初校(1校)
  • 再校(2校)
  • 三校(3校)
  • 校正刷り(ゲラ刷り)
  • 戻し
  • 内校
  • 校了(校正終了)
  • 責了(責任校了)
  • 下版

校正の流れと用語の定義

校正・校閲のワークフローをはじめとして、初校・再校・三校など出版印刷業界で使われる用語は、企業や職種、個人でかなりのバラつきがあります。

辞書や書籍、各企業のHPによっても定義はゆれています。

そのため、辞書やネットでは概要を掴む程度にしておき、流れや用語の定義はご自身の置かれた環境に沿った使用方法で覚えるのが最適です。

ここで紹介する例は一般的というより、こういう例もあるという感じでご覧ください。

辞書によっては、次のように校正の流れが簡潔でわかりやすく説明されています。

『…これを初校という。第1回目の校正,すなわち初校がすむと,その校正刷りには〈要再校〉と記して印刷所に返され,第2回目を再校,第3回目を三校と呼び,必要に応じて回数が重ねられる。かくて校正が完了した場合,これを校了といい,校了にするにあたり,とくに一部分に残存する訂正個所を念のために見る校正を念校,印刷所に差換えの責任を負わせて校了にするものを責任校了,略して責了と呼ぶ。…』

【出典:株式会社 平凡社 世界大百科事典「校正」より抜粋】

[文章中の出版印刷用語の定義は以下の辞書を参考にしています] 
  ・大辞林 第三版,三省堂

  ・精選版 日本国語大辞典,小学館
  ・世界大百科事典 第2版,平凡社

校正の流れと用語の解説

用語解説の基準

「発注者」と「受注者」にわけて、校正の流れを説明していきます。

わかりやすくするために、
「発注者」を「クライアント」
「受注者」を「制作会社」に置き換えます。

また、「初校」「再校」「三校」は、専門の校正者がする校正を指しています。
-----------------------------------------------
・初校(1校)… 校正者がする一回目の校正
・再校(2校)… 同二回目の校正
・三校(3校)… 同三回目の校正
-----------------------------------------------
※一般的には三校までになります。三校以降は、四校・五校と呼ばれます。

具体的な流れ

以下の例は、クライアントから支給される初稿(最初の原稿)をもとに、制作会社が制作を進めていく流れになります。

初稿

初稿(最初の原稿)は、テキストデータ・画像データなど制作物を作るにあたっての素材です。データとは限らず手書きの原稿などもあります。

1. 初校

1-1  制作会社側

クライアントから初稿を受け取る
 
初稿をもとに制作
 
制作し終えたものを校正用に出力
(※このときの最初の校正刷り(ゲラ刷り)を「初校」と呼ぶ場合もあります)
 
初校:校正者による1回目の校正
 
校正で出た赤字を修正 ※疑問は提出時にクライアントに判断をあおぐ
 
内校(内校正の略:うちこう、ないこうとも呼ぶ)
※クライアントに提出前の校正(編集者や進行管理がすることが多い)
 
クライアントに提出

1-2  クライアン

制作会社から送れてきた最初の校正刷り(ゲラ刷り)の内容確認を行い赤入れする。
(※このクライアント側の校正を「初校」と呼ぶこともあります)
 
赤入れした校正紙を制作会社に送る

2. 再校

2-1  制作会社側(※ここからは、基本的に上と同じ流れです)

クライアントが赤入れした校正紙を受け取る
※このクライアントから戻された校正紙を「初校戻し」と呼びます。
 
初校戻しの赤字を修正
 
修正し終えたものを校正用に出力。
(※この2回目の校正刷り(ゲラ刷り)を「再校」と呼ぶ場合もあります)
 
再校:校正者による2回目の校正
 
校正で出た赤字を修正
 
内 校
 
クライアントに提出

2-2  クライアント側

制作会社から送れてきた2回目の校正刷り(ゲラ刷り)の内容確認を行い赤入れする。
(※ここを「再校」と呼ぶこともあります)
 
赤入れした校正紙を制作会社に送る

3. 三校

3-1  制作会社側

クライアントが赤入れした校正紙を受け取る
※このクライアントから戻された校正紙を「再校戻し」と呼びます。
 
再校戻しの赤字を修正
 
修正し終えたものを校正用に出力。
(※この3回目の校正刷り(ゲラ刷り)を「三校」と呼ぶ場合もあります)
 
三校:校正者による3回目の校正
   :
   :

あとは、この流れの繰り返しです。
状況によって、四校・五校へと進みます。

要校正とは?

要校正は、次工程の校正を要求するときに使う用語です。「要再校」「要三校」「要念校」などとして使います。ただ、一回目の校正は必ずするという前提なので「要初校」とは言いません。

4. 校了 or 責了

以降の流れは、「校了(こうりょう)」と「責了(せきりょう)」に分岐します。
校了と責了の違いは次のようになります。

校了 … 校正終了の略

校正が完了したときに使う用語です。校了の段階では、すべての修正指示を確認し終え、何も問題がなくそのまま印刷してもいい状態になります。

責了 … 責任校了の略

訂正箇所が少ないときなど、印刷所の責任で訂正し校正を終了することです。
責了は、スケジュールが押していて時間がないときに行うことがよくあります。最終段階の少ない訂正で校正紙を出力・確認する手間を省くことで、時間やコストを削減できます。

「校了」もしくは「責了」により、校正者の作業は完了です。

校了と責了の違い

校了は、修正箇所のない100点の状態で次工程へ進めるのに対し、
責了は、少し修正箇所がある98点の状態で次工程へ進めるといった違いにあります。

次のようなイメージです。

責了と校了の違い

どの程度の修正量を残して責任校了とするかに決まりはありませんが、当然少ないほうが望ましいです。

5. 下版

校正が完了したデータや製版フィルムを、印刷工程(製版)にまわすことです。
印刷の実行段階に移すことになります。

初校とはどの段階のことをいうか?

制作全体のスケジュールを引く場合は、発注者側の初回の校正を初校とするのがわかりやすいです。

前述のフローでいうと次の箇所(赤枠)になります。

おわりに

各所での用語は置かれている環境によって違った解釈をされることがあります。これに関しては、何が正しくて何が間違いとも言えないので、ご自身の置かれた環境に合わせるしかありません。

前述した流れは基本的なものです。実際には、追加訂正ややり直し、原稿の遅延などや、中には校了後の追加訂正というおかしなケースもあり、一つの流れにうまく乗ることはなかなか難しいものです。