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中黒(中点)の意味/全角・半角中黒の使い方[校正記号の解説]
中黒の意味や使用方法
中黒は、約物の一つで〈区切り記号〉に分類されます。区切り記号には、句読点やコロン、セミコロンなどがあり、それらと同じ分類になります。また中黒は、中点(なかてん)や中ポツともよばれます。
文章内での使い方としては、単語を並列するときや外国の地名や人名の区切り、縦書き時には小数点などとして用いられます。他にも、数学の乗算記号や化学式の結合などにも使用されます。
・単語の並列
・外国の地名や人名の区切り
・小数点(縦書き時)
・乗算記号
・化学式の結合 など
※これらはあくまで一般的な使用法というだけです。横組みの文章では他にも多くの使用方法が見られます。
1. 単語の並列
中黒「・」を使用した場合、読点「、」よりも一つの塊である意味合いが強くなります。そのため並列する語は、同じカテゴリーに属するものが相応しいです。
■ 適切な使用例
・都市名と都市名
東京・大阪
・果物と果物
りんご・みかん
■ 適切でない例
・都市名と果物
東京・みかん
2. 外国人の姓名の区切り
チャーリー・ブラウン
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ
3. 縦書き時の小数点(左が全角·右が半角)
基本は全角ですが半角も許容です。見た目を考慮して、半角が選ばれることも多いです。
4. その他の使用例①(三点リーダーや二点リーダーの代わり)
中黒は、三点リーダーや二点リーダーの代わりに使用されることもあります。誤用というよりも、くだけた文章などでは、見た目を考慮して意図的に使用されていることがあります。
以下は同級同フォントですが、見た目はかなり違ってきます。
1. 三点リーダー
2. 半角中黒で三点リーダーを代用した場合
3. 全角中黒で三点リーダーを代用した場合
・文中での使用を見ると印象がガラリと変わります。
りんごが食べたい ……
りんごが食べたい ・・・
りんごが食べたい ・・・
(※三点リーダーは2つセットで使用するのが正しいとされますが、1つや3つの使用でも間違いではありません)
5. その他の使用例②(ビュレットの代わり)
箇条書きの際の行頭記号に中黒が使用されていることがあります。正式には、箇条書きの行頭は「ビュレット」の記号を使用します。中黒と非常によく似た形状のものです。
ビュレットは環境依存文字であり一般的でないため、中黒で代用されることも多いです。
1. ビュレット
2. 半角中黒
3. 全角中黒
6. 辞書での中黒の定義
記号活字の「・」。縦書きの小数点、同種のものの並列の区切りなどに用いる。中点(なかてん)。
点「・」のこと。天地左右の中央に位置することから。
7. 中黒の全角・半角の入力の仕方
1. 全角中黒の打ち方
全角入力のモードで「め」のキーを入力します。
2. 半角中黒の打ち方
全角入力のモードで「め」のキーを押し「F8」を選択します。
3.「なかぐろ」や「なかてん」と入力して変換しても表示されます。
8. 中黒の校正記号
左が全角中黒、右が半角中黒です。
四角の形状を変えることで、全角と半角の違いを表します。四角は赤字でなく鉛筆書きでも大丈夫です。この中黒の校正記号は、縦書き・横書きともによく使用され、全角・半角どちらの体裁のものもよく見られます。
以降は、この中黒の校正記号を使った赤字の入れ方を紹介したいと思います。
全角中黒の赤字の入れ方
※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
▼ 全角中黒の赤字の入れ方
左:中黒へ訂正 右:中黒の挿入
【結果】
【補足】
・中黒の指示は、句読点と違い直接文に入れることはしません。
半角中黒の赤字の入れ方
▼ 半角中黒の赤字の入れ方
・中黒を囲う四角を細長くし、文字で「二分」と添えます。
左:中黒へ訂正 右:中黒の挿入
・「二分」は「半角」に置き換えても伝わります。
【結果】
中黒の体裁を訂正する
▼ 中黒の体裁を訂正
・全角中黒を半角中黒にしたい場合とその逆です。(全角 ⇔ 半角)
左:半角を全角に 右:全角を半角に
【結果】
【補足1】
・全角を半角にするには、次のように指示することもできます。
【補足2】
・実際の現場では次のような指示も見かけます。
【補足2】の指示でも十分通じますが、文字への訂正指示と間違えられて「全角」や「半角」の文字に修正される可能性も考えられます。そのため「全角ニ(全角に)」や「全角にスル」などで指示しておくほうが適切です。
中黒の赤字の入れ方:応用
中黒は全角半角の体裁、どちらもよく見られます。そのため、赤字を入れるときに少し注意しなければいけない場面が出てきます。
たとえば、半角の中黒が続く文に全角の中黒を入れたいとき。
【A】を【B】のように訂正したい場合です。
【A】
【B】
この場合、通常の全角中黒を入れる校正指示だけだと、修正側が気を利かせて既にある文中の中黒と体裁を合わせて半角の中黒を入れることがあります。
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そのため、このような場合はあえて「全角」と補足するようにして、他の中黒とは体裁が違うということを伝える必要があります。
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中黒だけでなく、記号・符号類は見間違えやすいものがたくさんあります。スラッシュやダーシなどもその一つです。
そのため赤字を入れる際は、常に文字を補足し、赤字を見る側に誤解を与えないようにする必要があります。そうすれば、余計な修正ミスも防ぐことができます。