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頻出!校正間違いあるある 14選[間違えを覚えて校正技術を磨く]
校正をしていると色々な間違いを目にすることがあります。普段見る間違いの中でも、よく見る間違いをピックアップしてみました。
校正・校閲の仕事は、自分で間違いを見つける経験を積むことも大切ですが、他の校正者が見つけた間違いを見るのも勉強になります。たくさんの間違いに触れることで、校正技術を磨いていくことができます。
これから校正者を目指す方、校正を始めたばかりの方は、『こんな間違いがあるんだ』と頭の片隅においておけば、いつかどこかできっと役立つはずです。
この記事で紹介しているよく見かける間違いは、書籍のような文章がメインのものもあれば、画像やイラストなど様々な要素がページ内に入っているものもあります。
イメージとしては、ファッション誌や旅行雑誌、カタログなどを想像してもらえるとわかりやすいと思います。
よくある間違い14選
1. レイアウト変更による不具合
入れ替え指示や移動指示により、文章中の「左写真」「下表参照」「右図参照」などと、画像や図表の位置が対応しないことがよくあります。
【例】
・次のようなレイアウトで、入れ替えの赤字が入った場合
⇒ 文と図の位置が逆になるので、右図参照の「右」を「左」に変更しないといけません。
右図参照や下図、左図などは、「図」の文字が付いているので検索しやすいですが、「右のように」や「下のように」となっていると見つけづらくなります。
画像や図表の位置は、デザイン的な都合で変更されることがよくあります。また、文章内で画像や図表の説明がされていることも多いです。
そのためレイアウト変更の指示があった場合は、付近の文章内に「下表参照」「右図参照」などの語がないか注意しておかないといけません。
2. 書式設定が削除される
テキストデータで、上付き・下付き・太字・斜体などの設定がされている場合、DTPでテキストを流し込んだ際に、そのスタイル設定が取れてしまうことがあります。
単位系の間違いは多く、特に「㎡」などが「m2」になっていることは多いです。
【設定が取れてしまう例】
3. 西暦と和暦・日付と曜日の不一致
西暦と和暦・日付と曜日が対応しているかは、校閲で必ず確認する項目です。原稿の赤字の指示が間違っていることもあります。そのため常にカレンダーで確認する必要があります。
■ 西暦と和暦の不一致
【誤】 2000年(平成11年)
この場合は、2つの修正パターンが考えられます。
・西暦を正として、和暦を修正する ⇒ 2000年(平成12年)
・和暦を正として、西暦を修正する ⇒ 1999年(平成11年)
■ 日付と曜日の不一致
【誤】 2000年2月2日(木)
上と同様2つのパターンが考えられます。
・日にちを正として、曜日を修正する ⇒ 2000年2月2日(水)
・曜日を正として、日にちを修正する ⇒ 2000年2月3日(木)
4. 英単語の使い分け・スペルミス
■ 英単語のスペルミス
簡単でよく見慣れた英単語ほどうっかり見落としてしまうことが多いです。『間違うはずがない』という思い込みが、さらに間違いを見つけにくくさせます。英単語は、どんなものでも辞書でスペルを確認するクセを付けておきましょう。
【例】
・カレンダー
calender → calendar
・季節
春 spring
夏 summer
秋 autumn(英)= fall(米)
冬 winter
※「autumn」が「autamn」になっているスぺルミスは圧倒的に多いです。
Wordで文章を作成しているなら、Wordに標準で付いているスペルチェックの機能を使えば、高い確率でスペルミスを見つけることできます。
■ 英単語の使い分け
英単語の使い分けは、スペルが間違っているわけではないので、Wordのスペルチェックでも見つけることができません。校正者の目で見て文脈から判断するしかありません。
【例】
・ファッション誌などでよく見られる単語
単数 | 複数 | 単数所有格 | 複数所有格 |
lady | ladies | lady's | ladies' |
man | men | man's | men's |
woman | women | woman's | women's |
※「ladies'」のアポストロフィーの位置に注意。
レディーズウェアのスペルは「ladies' wear」が正。
・その他
date(日) ⇔ data(データ)
week(週) ⇔ weak(弱い)
wear(衣服) ⇔ ware(製品)
sheet(図面)⇔ seat(座席) etc.
5. 英語の月の短縮
カレンダーの校正などで、英語の月名が省略されて入っていることがあります。
「 Jan. 」「 Feb. 」……は、単語が省略されているので、それを意味するピリオドが必要です。ですが、5月は省略形でないため「 May. 」となることはありません。
カレンダーは、どの媒体でも目にするものなので特に注意が必要です。
月 | 月(英語) | 省略形 |
1月 | January | Jan. |
2月 | February | Feb. |
3月 | March | Mar. |
4月 | April | Apr. |
5月 | May | May(そのまま) |
6月 | June | Jun. or June(そのまま) |
7月 | July | Jul. or July(そのまま) |
8月 | August | Aug. |
9月 | September | Sep. or Sept.(4文字で省略) |
10月 | October | Oct. |
11月 | November | Nov. |
12月 | December | Dec. |
6. 注釈と注番号の対応
「※1、※2、※3」など、誌面内でよく見かける注番号があります。これらは、誌面の下部や表の下などにある注釈と対応しています。
注番号と注釈は離れて配置されていることが多いため、これらの整合性が取れていないことがよくあります。
【例】
削除する行に注番号(※4)が含まれている場合。この場合は、トルだけでは赤字が不足しています。
・正しい赤字例
⇒ 表の下の注釈「※4」も削除する必要があります。
また「※4」が削除されるので、「※5」が繰り上がって「※4」に変更しないといけません。
注釈は文字が小さいため見落とされやすいです。そのままになっていることが多いです。
7. 断ち切り線(仕上がり線)に近い文字
次のように断ち切り線と文字が近すぎると、文字が欠けてしまうことがあります。
【断裁前】ゲラで見た状態
【断裁後】
これは、断裁時に起こるズレからくるものです。断ち切り線からは適度なスペースが必要になります。
校正用のゲラで見るとドブ幅や紙の余白があるので気づきづらいです。文字だけでなく、画像やイラストも欠けてしまう恐れがあるので注意が必要です。
8. 画像とキャプションとの不一致
画像とキャプションが対応していないことはよくあります。どちらかが修正されたことによって、対応しなくなるケースが多いです。
■ 画像内の文字が修正されたが、キャプション内の文字は変更されていない例
【画像修正前】
画像内の文字に対して、次の変更がされた場合
--------------------------------
「PLAN A」⇒「PLAN α」
「PLAN B」⇒「PLAN β」
--------------------------------
【画像修正後】
このように一方が変更されたのに一方がそのままということはよくあります。
その他にも、画像内の商品の色が変更(たとえば商品の色が赤から青)になったのに、キャプションにある「赤色」という文字がそのままになっているというケースもあります。
画像とキャプションのどちらかに変更があった場合は、常に2つセットで確認する必要があります。
9 ~14:その他のよくある間違い
9.日本語版を英語版に変更したが、図やイラスト内に日本語が残っている。
カタログなどでは、多言語(英語、中国語、ドイツ語、フランス語など)翻訳されることが多くあります。
その際、図やイラストなどに日本語が残っていることがあります。校正では、文章ばかりに目が行ってしまいますが、図やイラストも重要な情報です。細部まで確認する必要があります。
10.画像内の人物が付けているIDカードや名札の名前が映っている。車のナンバープレート、家の表札なども注意。
個人を特定しうる情報は、文字をボカすか消すなどの画像加工を施します。そのため画像内の細部にまで目を配る必要があります。
キャラクター商品が映っている場合も画像加工する場合があります。
11.税抜きと税込みの計算が合わない。
手書きの指示の場合は、赤字を信じず電卓で確認しましょう。
【例】
10,000円(10,900円)
※最近は税込表示だけが多くなりましたが、まだまだこの手の間違いはよく見かけるので注意しましょう。
12.金額などの位取りのカンマ( , )がピリオドになっている。あるいは、位置が違う。
位取りカンマの位置が間違っている場合はすぐに気づきますが、ピリオドになってる場合は、気づきづらいので要注意です。
【例】
位取りカンマの位置が違う:100,00円
ピリオドになっている:10.000円
13.「日時」とあるのに日にちしか書かれていない(時間がない)。
【例】開催日時:9月8日
14.文章の一部だけ体裁が違う。
文字の体裁を変更する際に、オペレーターが選択範囲を間違って起こるケースが多いです。特に文頭文末に間違いが集中します。
・例1
⇒ 見出し『東京タワーの名称』の級数を上げたときに、誤ってコピー部分も選択してしまい、コピー文頭の級数も大きくなってしまったケースです。
・例2
⇒ 見出しのフォントを変更しようとして、例1と同様に誤ってコピー部分も選択してしまいおかしくなったケースです。
おわりに
後半は文字系の間違いになっていますが、これらは媒体問わずよくある間違いです。
間違いが起こる頻度は、校正する媒体により違ってきますが、覚えておいて損はない間違いばかりです。参考にしてスキルアップに繋げて行っててください。