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校正のやり取りをする前にやっておく準備[原稿やゲラ・資料の履歴管理]
原稿や校正ゲラは、自分一人が見るものでなく、色々な人の目に触れながら順々に経由されていくものです。
そのため、原稿整理や原稿管理する側は、自分だけでなく他の誰が見ても「これが原稿」「それがゲラ」と一目でわかるように整理しておく必要があります。
また、複数の原稿や資料があるときは、どれが最新でどれが大元の原稿なのかも、明確にしておく必要があります。
原稿の先頭ページに、日付と作業段階(初校・再校・三校など)を記入したり、目立つように大きな付箋を貼ったりして区別している人も多いと思います。
この記事では、誰でも直感的にわかるように色で分類する履歴管理の方法を紹介しています。
原稿や校正ゲラをバラす危険
原稿や校正ゲラは、束ごとにクリップ留めされた状態で管理されていることが多いと思います。ただ、作業時には、束ごとにまとめられた状態にあるわけではありません。
原稿やゲラをバラして分けることは多いです。
たとえば、次のような場面です。
・校正をするとき
・原稿の一部をコピーやスキャンするとき
・任意のページをピックアップして見比べるとき
・オペレーターが手分けして作業するとき
などなど、色々な状況で原稿やゲラはバラされることがあります。
そのせいで、作業を終えていざ原稿やゲラをまとめるときなって起こることがあります。
「あれ? 原稿が一枚足りない……」
「これとこれ、どっちが原稿でどっちがゲラだったかな……」
「違う束の原稿が、間違ってこっちの束に入っていた……」
このようなことは、どんなに気を付けていても人が作業する以上必ず起きます。原稿や校正ゲラをバラした場合は、混在するものだと思って管理するのが賢明です。
そもそもなぜ原稿が複数あるのか?
資料などの別紙が複数あるのはよくあることですが、「原稿が多いってどういうこと?」って思う人もいるかもしれません。
本来なら、次のように原稿が発生するごとに校正をするのがベストなやり方です。
1原稿が発生 → 1校正 → 2原稿が発生 → 2校正 → 3原稿が発生 → 3校正
このように原稿が発生するごとに校正していけば、その都度原稿が消化されていくので、複数原稿が発生するということはありません。管理も簡単です。
ただ予算や納期の関係で校正を何回もかけられないこともあり、校正作業を後回しにすることがあります。
後回しにしたからといって、見るべき原稿が減るわけでもありません。
1原稿が発生 → 2原稿が発生 → 1と2を校正(※) → 3原稿が発生 → 3校正
※この場合、2回分の原稿を1回の校正で確認します。
場合によっては、最終段階で校正を一回だけかけるというケースもあります。
1原稿が発生 → 2原稿が発生 → 3原稿が発生 → 1~3を校正
※この場合、最終の工程ですべての原稿を校正します。
一目見てわかるように色で分類する
原稿が複数ある場合は、それぞれが入り交じらないように工夫する必要があります。
単に『注意しましょう』というだけではミスを防ぐのは難しいです。人が作業する以上、ケアレスミスは必ず起こります。そのため、頭で考えるよりも直感的に判断できるようにしておきます。
そこで、原稿やゲラに色を付けて分類します。
実際に校正をするとき、確認した箇所がわかるようにダーマトや色鉛筆を使い分けてチェックする人も多いと思います。ここでは、それを管理に応用しているだけです。
色で分類しておくと、誰が見ても一目で直感的にわかるのでケアレスミスを防ぐ効果は大きいです。
履歴管理では、
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1回目の校正ゲラは、緑色
2回目の校正ゲラは、黄色
3回目の校正ゲラは、赤色
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などと、あらかじめルール決めをしておけば、色を見ただけでどの作業段階のものかがわかります。これにより管理も容易になってきます。
色分け用のマーカーを準備
▼ マーカーはこれぐらいあれば十分です。
数本マーカーが必要なのは、複数の原稿を区別するためだけでなく、各工程の校正ゲラも区別するためです。
マーカーで管理するためのルール決め
以下の例は、校正の回数が3回(初校・再校・三校)で、原稿が複数ある場合の例です。
1回目の校正
▼ 1回目
■ 原稿が4つあるとした場合
・原稿と校正ゲラの右下に、次のマーカーを付けて色分けします。
原稿① → 白(マーカーなし)
原稿② → 茶
原稿③ → 紫
原稿④ → 紺
校正ゲラ(1回目)→ 緑
■ 実際にマーカーで色分けしたもの
・原稿①~④
・校正ゲラ(1回目)
2回目の校正
▼ 2回目
■ 原稿が2つあるとした場合
原稿① → 白(マーカーなし)
原稿② → 茶
校正ゲラ(2回目)→ 黄
■ 実際にマーカーで色分けしたもの
・原稿①~②
・校正ゲラ(2回目)
3回目の校正
▼ 3回目
■ 原稿を1つとした場合
原稿① → 白(マーカーなし)
校正ゲラ(3回目)→ ピンク
■ 実際にマーカーで色分けしたもの
・原稿①
・校正ゲラ(3回目)
以上のようにマーカーを付けて分類していきます。
ポイントは、工程ごとで使うマーカーの色を決めておくことです。
色分けのルール
▼ 原稿
前述した例では、原稿に付けるマーカーは古い順から次のように決めています。
1回目の原稿を重ねたものです。
前から見ても横から見ても、一目でわかります。
▼ ゲラ
校正ゲラへのマーカーは次のように決めています。
校正ゲラだけを重ねたものです。
どの工程の校正ゲラかが瞬時にわかります。万一のクレームの際も履歴を遡るのが容易です。
色の組み合わせと意味付け
校正ゲラを「緑 → 黄 → ピンク」の順番にしているのは意味があります。
これは、信号機の色に合わせています。意味も信号機の色と同じ意味合いを持たせています。
・校正ゲラに緑のマーカーが付いていると、1回目の校正だとわかるので、あと2回校正するタイミングがあるとわかります。そのため、全体を通して校正したほうが効率のよい箇所は、後回しにするという判断ができます。
・校正ゲラにピンクのマーカーが付いているなら、3回目(最後)の校正とわかるので、「ダミーの箇所が残っていないか?」「やり残した作業がないか?」など再確認する必要があります。
また、原稿が足りない場合も申し送りで対処するのではなく、最後の校正なのでちゃんと原稿を手配してもらう必要があります。
単に色で分類するということだけでなく、その色に意味を持たせておくと注意喚起にもなり効果的です。
マーカーの付け方
原稿や校正ゲラのページ数が増えると、マーカーの色付けだけでも面倒だと思われるかもしれません。ですが、100ページぐらいだと約1分ぐらいで付けられます。
どんなに時間がないといっても、それぐらいの時間は捻出できると思います。管理のしやすさを考えれば、たったの数分だけです。
マーカーの付け方には少しコツがあります。一方の手でページをめくりながら、もう一方の手でマーカーを付けていきます。※指サックをしないと難しいです。
▼ 動画
おわりに
色での分類や注意喚起を促すことは、普段から意識せずとも誰もがやっていることです。社内資料を読んでいたり勉強していたりするときに、ポイントだと思うところに目立つ色でチェックを入れるのもその例です。
昔から段取り八分といわれるように、最初の工程で時間を惜しまずに少しでも手を加えておけば、後々の負荷を軽減させることができます。
ここでは、原稿や校正ゲラの色の管理を紹介しましたが、ケアレスミスが起きやすい場面では「次は気を付けよう」「注意しましょう」の精神論でなく、物理的な対策をするのが有効です。