校正の依頼メールで押さえておきたいポイント[例文あり]

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校正の依頼(お願い)メールを送るときのポイント

最近では、原稿や校正ゲラの受け渡しは、オンライン上のサーバーでやり取りすることも多くなっています。連絡もメールだけで完結するということも少なくありません。

校正を依頼するときに、

  • どんな情報が必要なのか?
  • 校正会社(校正者)は何を知りたいのか?

いまいちピンと来ないという方もいるかと思います。

校正を依頼する立場になれば、あれもこれも伝えたいことがたくさんあると思います。情報を詰め込み過ぎてメールを送っても、受け取る側にとってはわかりづらいということもあります。また、肝心な情報が必要のない情報の中に埋もれてしまうことも考えられます。

校正を依頼する/依頼される両方を長年経験してきた立場から、どのように依頼すると相手にとってわかりやすいかをまとめてみました。

校正を依頼するときのポイントとメールの例文を紹介します。

メールで気を付けたい6つのポイント

まず、依頼の段階では校正の概要だけを伝えます。その内容で仕事を引き受けてもらえそうなら、そこから詳細を詰めていくという流れが最善です。

依頼ポイントは次の6つです。

 1. 手配日と納期
 2. ページ数
 3. 原稿量
 4. 文字量
 5. 校正物のジャンル・種類
 6. 作業内容

23の「ページ数」と「原稿量」、45の「文字量」と「校正物のジャンル・種類」はそれぞれセットになります。どちらか一方を伝えても、情報としては薄いことがあります。

以下、各ポイントについて掘り下げて説明していきます。

各ポイント説明

1. 手配日と納期

いつ校正物(原稿・校正ゲラ等)を手配することができ、いつまでに校正を仕上げて欲しいかです。その希望日を伝えます。

時間は一番重要な情報です。常にこちら側の希望日で校正を依頼できるとは限りません。繁忙期などでは断られることもあります。そうなると、段取りを一から組み立て直す必要があります。そのため、日時は最優先で伝えるべき情報になります。

・日時の伝え方

「〇日午前中から、△日午後まで」という表現ではなく、
「〇日11時から、△日15時まで」と記載するようにします。
「午前中」「午後」などの曖昧な表現はなるべく避けるようにします。

2. ページ数

目次・索引などの本文と様式が異なるページがある場合は、本文と分けて伝えます。

Webの校正を依頼する場合は、紙の1ページとWebの1ページでは基準が違ってくるので注意が必要です。Webでは、1ページといっても縦に長いことが多いです。そのため、A4で出力したらおおよそどれぐらいのページ数になるかを記載すると伝わりやすくなります。

3. 原稿量

原稿には、テキスト原稿・コンタクトシート・赤字原稿・別紙原稿など色々なものがあります。たくさん種類があったとしても、依頼の段階ではメインで使用するものだけ伝えれば大丈夫です。すべて細かく伝える必要はありません。

この原稿の量を伝えるのは、校正ゲラの枚数を伝えるぐらい重要です。
原稿量によって、校正にかかる時間も大きく左右されます。

たとえば、
ページ数が10ページで、原稿量が多いものと
ページ数が30ページで、原稿量が少ないものとでは、
校正にかかる時間が同じということもありえます。

ページ数の増加と同様、原稿量の増加にも比例して校正にかかる時間も増えてくるので大切な情報になります。

4. 文字量

文字量は、1000字・2000字など見積もりの段階ではよく聞かれます。重要な要素と思われますが、この情報だけでは一つの目安にしかなりません。

素読み(文章を読んでおかしな箇所がないかの確認作業)が必要な場合には、
文字量よりも文章の内容によって校正にかかる時間が左右されてきます。

そのため、次の項目で説明する「校正物のジャンル・種類」の情報もセットで伝える必要があります。

文字量は各ページによってバラつきがあるのが普通なので、全体を押し並べておおよその数量を伝えるだけで大丈夫です。

5. 校正物のジャンル・種類

校正物のジャンル・種類は、素読みをする場合には非常に重要な情報です。

ジャンル
・文芸
・旅行・地理系
・ビジネス
・歴史もの
・ファッション
・医療/介護
・美術/音楽/エンタメ
・クッキング/レシピ
・スポーツ  etc.

媒体の種類
・カタログ
・パンフレット
・リーフレット
・雑誌
・書籍 etc.

・製品紹介/通販系
・会社案内
・求人情報
・インタビュー記事 etc.

ジャンルや種類によって校正の見るポイントも変わってきます。

たとえば、
会社案内なら企業年表や財務情報などの細かな数値の確認が必要になり、歴史ものなら西暦和暦の対応確認が多く出てきます。旅行系のパンフなら固有の地名や約款が出てくるためその確認が必要になってきます。また、製品紹介や通販系のカタログになると、スペック情報や金額が多く入ってくるので時間もかかります。

校正を受ける側とすれば、ジャンル・種類がわかると校正内容もある程度わかるので事前に知っておきたい情報です。

ジャンル・種類は、一般的な括りに当てはめる必要はありません。文にするほうが伝わりやすい場合は、次のように説明しても大丈夫です

『女性向けの情報誌で、ファッションからインテリア、暮らし、生活に関する情報全般を紹介しているものです』

6. 作業内容

依頼メールの段階では、作業内容の詳細まで記載する必要はありません。次の3つの分類程度がちょうどよいです。

1. 原稿の情報が校正ゲラに適切に収まっているかの確認(引き合わせ校正)
2. 原稿の赤字が正しく修正されているかの確認(赤字の照合)
3. 文章を読んでおかしい箇所がないかの確認(素読み)

・作業内容の伝え方

校正を依頼するからといってわざわざ校正用語を使う必要はありません。
「引き合わせ校正をお願いします」ではなく、「原稿の情報がゲラにちゃんと入っているかどうかの確認をお願いします」と言えば大丈夫です。自分の言葉で伝えたほうが誤解も生じません。

[その他]
校正費用が決まっているのならあらかじめ伝えておいても大丈夫ですが、仕事を受けてもらえるかどうかが先決です。希望の予算内でどこまで作業してもらえるかは、その次にするほうが話の展開は早いです。

校正の依頼メール[例文

【想定】
制作会社が校正会社に依頼するときのメールです。
2~2回お仕事をやり取りしたことがある程度の関係性です。

株式会社○○○
✕✕✕✕様

いつも大変お世話になっております。
株式会社□□□の△△です。

校正を1件お願いしたくご連絡いたしました。
以下に概要をまとめております。
お手数ですがご確認方よろしくお願いいたします。

[校正依頼概要]
医療器具カタログ、約100ページ
・校正期間:〇月20日から25日15時迄
 ※19日に校正に必要な原稿一式をサーバーにUPいたします。
・原稿の種類:
 製品のスペック原稿/テキストデータ/コンタクトシート、赤字原稿等
 ※赤字原稿は、現在クライアントが確認中でまだ手元にない状態です。
  赤字の量は全体を通して少ないと聞いております。
・文字量:
 1ページ1000~1500字程度。
 ただし、器具取り扱い説明の10ページほどは2000字以上になります。
・作業内容:原稿との引き合わせと赤字原稿の確認のみ。素読みはなしです。

ご不明な点がございましたらご連絡ください。

ご多忙の中恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

上の例文の箇条書きパターン

必要最低限の情報だけ箇条書きにして、補足事項は後から電話で伝えるという文面です。

株式会社○○○
✕✕✕✕様

いつも大変お世話になっております。
株式会社□□□の△△です。

校正を1件お願いしたくご連絡いたしました。
以下に概要をまとめております。
お手数ですがご確認方よろしくお願いいたします。

[校正依頼概要]
--------------------------------------------------------
・校正物:医療器具カタログ、約100ページ
・校正期間:〇月20日から25日15時迄

・原稿の種類:引き合わせ用の原稿、赤字原稿等
・文字量:1ページあたり約1000~1500字
・作業内容:原稿との引き合わせと赤字原稿の確認
--------------------------------------------------------

詳細につきましては、後ほどお電話いたします。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

校正の修正依頼メール

メールで校正の修正依頼をする場合は、修正量に応じて対応するのが適切です。

修正箇所が少ない場合

1. 5ページ13行目の「校正校閲」を「校正・校閲」に
2. 10ページの見出し「校正のやり方」を太字に
3. 12ページのイラストを添付のものに差し替え

以上のように、箇条書きで伝えるとわかりやすくなります。曖昧な表現をなくし個数と指示内容を明確に伝えます。

修正箇所が多い場合は、原稿に赤字を書き込みスキャンしてPDFにし、メールに添付して送ることをおすすめします。メールを受け取る側は、添付のPDFを出力してそのまま原稿とすることができるからです。

箇条書きで十数個もの修正依頼をすると、修正/確認する側がメールの指示を読み込みながら、修正/確認していくことになるので、効率が悪いだけでなく間違いが起こる可能性も高くなります。

修正依頼をメールで箇条書きで伝えるか、原稿をPDFにして送るかは修正内容にもよりますが、おおよそ5~7個を基準にしておくとよいと思います。ただ基本的には、修正量が少なくても、ちゃんと赤字を入れた原稿を相手側に送るのが賢明なやり方です。

おわりに

校正の依頼メールを送る際は、6つのポイントを意識して作成してみてください。

依頼メールの段階では概要を伝えるだけで十分です。細かい内容は、依頼を引き受けてもらえることになってからです。また、社内で校正をお願いするなら、メールよりも実際の原稿を見せて説明したほうが話は早いです。

補足:感謝やお礼のメール

校正後に、「ありがとうございました」「助かりました」など、感謝のお言葉やお礼のメールをいただくことがあります。基本はそれだけで十分ですが、もう一歩踏み込んだ言葉を付け加えると次の仕事にも活かせると思います。

  • 何に対して感謝しているか?
  • 具体的に何が助かったのか?

などの視点で考えればわかりやすいと思います。
(※無理にひねり出して付け加える必要はないですが)

たとえば、
1. 文章表現までご指摘いただき~
2. 原稿の不備にまで気付いてくださり~
3. 製品名の間違いをたくさん拾ってもらい~
4. 画像の貼り間違えまで見つけてもらい~ など

さらに、その原因も伝えるとよりわかりやすいと思います。

1. 文章作成が苦手なので、ご指摘いただき助かりました。
2. 原稿を複数の社内担当者で回覧しているため、その際に原稿の一部が抜けてしまったのかもしれません。
3. 製品のリニューアルにより、似たような製品名が多くなってしまい見間違えていました。
4. 文章を差し替えるのに気を取られ、画像の貼り変えを忘れていました。 など

具体的な例をあげておくと、次回校正する側は忘れずにその点を注意して見てくれるはずです。また、業務マニュアルなど作成している校正会社なら、次回の校正に備えて注意点や改善点をマニュアルに追記することもあります。

継続的に仕事をしていくのなら、このような情報もしっかり伝えておくことが大切になってきます。