校了と責了の違い(印刷用語)[イラストで簡単解説]

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校了と責了の違い(印刷用語)[イラストで簡単解説]

この記事では、校了と責了の意味と違いについてイラストを用いて紹介しています。
要点だけ知りたいという方は、最後の項目[校了と責了のまとめ]をご覧ください。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・編集校正小辞典_ダヴィッド社
・日本エディタースクール出版部_新編 校正技術
・小学館_デジタル大辞泉
・漢字ペディア

校了と責了の意味

校了と責了には、「おわる/おえる」の意味がある「了」の漢字が使われていることから、ともに何か最終の工程で使用される用語だとわかります。

両者はまったく別のことを意味するものではなく、校了に少し工程が増えたのが責了といえます。そのため校了を軸として、両者の違いを覚えればスムーズに理解することができます。

校了の意味

校了とは、校正終了の略になります。

校正が完了したことをいいます。校了の段階では、すべての修正指示を確認し終え、何も問題がなくそのまま印刷してもよい状態となります。

校了になった時点では、発注者も印刷前の最終確認し終え、これで大丈夫という状態です。

責了の意味

責了とは、責任校了の略になります。

印刷所の責任で訂正し校正を終了することです。責了は、スケジュールが押していて時間に余裕がないとき、訂正箇所が少ないとき、発注者が内容を確認するまでもない訂正などの場合に行うことがよくあります。最終段階の少ない訂正で校正紙を出力・確認する手間を省くことで、時間やコストを抑えることができます。

責了の段階では、発注者はこれぐらいの訂正だったらもうこっちで確認しなくても大丈夫だから、あとはそちらでお任せしますという状態です。

校了は、校正終了で、
責了は、校正終了に「責任」が加わっただけです。

両者の関係性は次のようになります。

責了と校了の違い

このように校了があって、そこに「責任」を帯びたのが責了になります。2つを同時に覚えるよりも、まずは校了を理解してから、次に責了を理解すれば両者の使い方で迷うことはありません。

この校了と責了はどのような場面で使用するかは、印刷所に回す前段階で使います。

責了と校了の違い

修正がなしであれば「校了」となり、
修正がありであれば「責了」となり印刷工程へと進みます。

・修正箇所をすべて直してから次工程へ進むか?
・一部の修正箇所を次工程で直してもらうか?

ここが校了と責了の大きな違いです。

以降は、それぞれについてより詳しくみていきたいと思います。

校了(校正終了)

校了について

校了は、校正が完了したことをいい何も直す箇所がない状態です。そのまま印刷しても大丈夫ということになります。

「校了しました」や「校了です」と言われた場合、校正がすべて完了しました、もう何も修正箇所がないことを表しています。

校了となった校正刷りには、先頭ページに「校了」の印が押されます。校了のゴム印が用意されていることが多いですが、手書きで指示されることもあります。

  ← 校了印

校了印が押された校正刷りは、校了紙と呼ばれます。

そして印刷工程へと回されます。

このように校了は、校正が完了した=何も問題のない状態のことをいいます。

問題がなくなるまでチェックを繰り返してから、印刷工程へと回すのが理想ですが、そうはいかない場合もあります。

そのときに「責了」が選択されます。

責了(責任校了)

責了について

時間に余裕がない、急ぎの仕事、訂正箇所が少ない、発注者が内容を確認するまでもない修正などの場合には、責了で進めます。責了にすることで、校正刷りの出力・確認などの回数を抑えることができ、それらに掛かる時間や費用も削減することができます。

「あとは責了で進めてよろしいですか?」と言われた場合、「もう修正箇所が少ないので、あとはこちらで責任を持ってやっておきます」と言われたのと同じ意味になります。

責了にする/しないの最終ジャッジには、当然ながら発注者の確認が必要です。制作サイドで勝手に責了で進めることはありません。

責了で進める際に、どれぐらいの赤字量なら次工程に持ち越していいのかについて特に決まりはありません。

修正量が少なければ少ないほどいいわけですが、仮に赤字が一つであっても誌面の内容に大きく影響するものであれば、責了にするわけにはいきません。一方、赤字が多少あっても単純な訂正なら責了とすることもあります。

修正箇所が残っている以外は校了と同じです。責了となる校正刷りには「責了」のゴム印が押されます。手書きで指示される場合もあります。

← 責了印

責了印が押された校正刷りは、責了紙と呼ばれます。

そして印刷所へと回されます。

この責了紙の赤字の修正は印刷所でやってもらいます。そこで、責了(修正あり)から校了(修正なし)の状態へとなります。

 

校了にはこの過程がありません。責了のみの工程です。

全体の工程を見た場合に、責了のままずっと進んで行くわけではありません。責了は、修正箇所のある状態(=間違い箇所のある状態)なので、そのまま印刷されることはありません。

【誤】 責了と校了の違い

最終的には、すべて校了となって印刷されます。

【正】 責了と校了の違い

補足

責任校了には、「責任」という語がつくので何か堅いイメージを持つかもしれません。ですが、この場合に使う「責任」は、「何かあってもそっちの責任ですからね」というような押し付けるものではなく「責任をもってしっかりやります」というニュアンスのものです。

校了と責了のまとめ

以下は、校了と責了の意味とイラストをまとめたものです。

校了(校正終了)

校了とは、校正が完了したことをいいます。校了の段階では、すべての修正指示を確認し終え、何も問題がなくそのまま印刷してもよい状態となります。

校了の流れ

印刷所を含めた、校了の一連の流れは次のようになります。

責了(責任校了)

責了とは、訂正箇所が少ないときなど、印刷所の責任で訂正し校正を終了することです。最終段階の少ない訂正で校正紙を出力・確認する手間を省くことで、時間やコストを抑えることができます。

責了の流れ

印刷所を含めた、責了の一連の流れは次のようになります。