文章の質を高める3つのステップ[例文で学ぶ文章の書き方解説]

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文章の質を高める3つのステップ[例文で学ぶ文章の書き方解説]

「文章を書くのは苦手だ」「文章がもっとうまく書けるようになりたい」と思っても、具体的にどうしたらよいのか分からず悩んでいる人が多いのではないでしょうか。この記事では、文章の質を上げるために、すぐに意識できる3ステップを紹介します。

初心者・未経験者ライターや、新社会人、学生の方には特におすすめの内容となっています。ぜひ文章スキルの向上に役立ててください。

文章の「質」とは何か

文章における「質」とは何か、様々な考え方がありますが、この記事では「読み手に依存しない、文章そのものの読みやすさ・理解しやすさ」の程度のことをいいます。つまり質の高い文章とは、「読み手に依存せず、誰にでも理解してもらうことができる文章」だということです。

文章を書く目的は、伝えたいことを読み手に伝達し、自分の望むアクションを取ってもらうことです。そう考えると、どんなに有意義なノウハウや価値ある情報を盛り込んだとしても、(内容の質を高めたとしても)読み手にその内容が伝わらなければ意味がありません。

同様に難しい語彙や、格調高いレトリック(修辞)を駆使した文章も、「読み手に依存しない、文章そのものの読みやすさ・理解しやすさ」の点では大いに問題があると言わざるを得ません。

これから紹介する3ステップは、文章の「質」を高め、「誰にでも理解してもらうことができる文章」が書けるようになるための手順となっています。ぜひ身につけて、文章スキルを磨いていきましょう。

文章の「質」を高める3ステップ

文章の質を高めるために、文章を書く際の準備・執筆・校正の各段階において、それぞれ意識するべきポイントがあります。

これを「文章の『質』を高める3ステップ」として紹介します。

・ステップ1
 
準備段階:内容・情報を整理する

・ステップ2
 
執筆段階:表現を推敲する

・ステップ3
 
校正段階:正確性を高める

この3ステップを意識しながら文章を書くことで、より質の高い文章を書けるようになります。これから、それぞれのステップについて詳しく解説します。

ステップ1 準備段階:内容・情報を整理する

文章を書く場面で、特に準備することなくいきなり書き始め、書き進めながら内容を考えていく人がいますが、文章の質を高めるためには「事前準備」が何より重要です。文章を書く場面では、何かしら伝えたい内容や情報があるはずです。

まずは「何を伝えたいのか」を整理し、どういう順番で情報を出していけば、一番読み手が理解しやすいのかを考えるプロセスが必要です。

① キーメッセージを整理する

文章を圧倒的に伝わりやすくするには、何より「結論を初めに」述べることが有効です。「これから伝えようとしていることは、一言で言えば何か」を考え、実際に一言で言い表してみることをおすすめします。伝えたいことを一言で表した文を「キーメッセージ」といいます。

もし相手に何かしらの行動を求める文章なのであれば、「相手に何をしてほしいのか」まで含めたメッセージにすることが重要です。

たとえば「新人研修の案内文」を例にすると、キーメッセージは次のようになるでしょう。

:4月10日に新入社員を対象とした研修を開催する。
:4月10日に新入社員を対象とした研修を実施するので、全員参加してほしい。
の例では「研修に参加してほしい」と相手に求める行動までを明確にしています。

② 項目を立てる

キーメッセージが決まったら、どういった情報・内容を、どんな順番で伝えていけばよいのかを検討します。相手が実際に行動を起こすうえで必要な情報や判断材料を洗い出し、書き出しましょう。

 A. 研修日時
 B. 研修内容の概要
 C. 持ち物
 D. 問い合わせ先
 E. 実施場所
 F. 事前準備物

③ 項目を取捨選択し、順番を決める

必要な情報や判断材料を洗い出せたら、それらすべてが本当に伝える必要のあることなのかを今一度検討します。情報量が多くなればなるほど、読み手が混乱する可能性が高まるため、無駄な情報は思い切って省きましょう。

必要な情報に絞ることができたら、今度は伝える順番の検討です。

同じような内容はまとめ、時系列順・内容の関連度順など、読み手が理解しやすい順番に並び替えます。これで、文章を書き出す前の準備は完了です。

 A. 研修日時
 B. 研修内容の概要
 C. 持ち物
 D. 問い合わせ先
 E. 実施場所
 F. 事前準備物
 ↓
 A. 研修日時
 E. 実施場所
 B. 研修内容の概要
 C/F. 持ち物/事前準備物
 D. 問い合わせ先

※「日時・場所」は研修に参加するうえで必須の情報なのでまとめて上位にし、「持ち物と事前準備物」は、研修までに用意するものという点では同じなので一項目にまとめました。

ステップ2 執筆段階:表現を推敲する

相手に確実に伝えるべき結論と、そのために添える情報・内容が精査できたら、いよいよ文章を書き始めましょう。伝えるべき内容がストレートに読み手に届くように、余計な言葉、曖昧な表現を省いて書くことを心掛けていきます。

① 余計な言葉を削る

「~というのは」「~ということになります」「~といえるのではないでしょうか」など、削っても意味の変わらない表現は、徹底的に削る意識を持つとよいです。こういった冗長な表現を多用すると、肝心の伝えたい内容がぼやけてしまいがちです。

■本研修の目的というのは、新入社員の自社サービスに関する知識の向上ということになります
  ↓
■本研修の目的は、新入社員の自社サービスに関する知識の向上です。

② 曖昧な表現を避ける

また、抽象的な言葉を多用したり、「~みたいな」「~など」に代表される曖昧な表現を含めて書いたりするのも、伝えたい内容がぼやける原因になります。自信のなさからこうした表現を無意識に使ってしまうこともあるので注意しましょう。

■研修内では、ワークなどを通して自社サービスについて考えていきます。
  ↓
■研修内では、競合分析ワークやロールプレイングを通して、自社サービスの市場の中での位置づけや、顧客に与える価値について考えていきます。

※元の文は短いですが、結局何を学べる研修なのかが伝わってきません。具体的に書くことで多少長くはなりましたが、研修で学ぶことが明確になり、受講生の興味を引くことができる文になりました。

ステップ3 校正段階:正確性を高める

一通り文章を書くことができたら、最後に改めて文章の校正を行います。校正段階では誤字・脱字、文法の誤りがないかを確認するのはもちろんのこと、表記のゆれがないか、体裁面の不備はないかなどを慎重に見直していきます。

校正用語では「素読み」といいますが、文章を初めて読む人の視点に立ち、誤りを発見・訂正して、文章の質を高めましょう。細かいミスで損をするのは大変もったいないことです。
素読みをするときの基本ポイント[文章校正の基礎]

校正をする際のコツは、一度にすべての誤りを見つけようとするのではなく、「誤字・脱字だけ」「表記ゆれだけ」というように、要素ごとに確認をしていくことです。

〈チェックポイントの例〉
 • 誤字・脱字がないか
 • 文法の誤り(主述のねじれ、反復の「~り」「~たり」の単独使用など)がないか
 • 表記のゆれがないか
 • 記載内容の誤り(日時、住所など)がないか
 • 体裁面の不備(数字の全角/半角、見出しと本文の対応など)がないか

校正の具体的なやり方は、下記の記事も参考にしてください。

総括:新人研修の案内文

以下は、前述のステップ1~3を踏まえた例文になります。文章作成の参考にしてみてください。


【件名:新人研修のご案内】

新人研修対象の皆様

お疲れ様です。人事部の〇〇です。

4月14日(金)13:00より新人社員向けの研修を実施いたします。4月入社の新卒社員は全員参加となりますので、予定のご調整をお願いいたします。

この研修の目的は、自社をより深く理解し、自社サービスの特徴や魅力を自分の言葉で説明する力を身につけることです。

研修内では、自社のビジョンやミッション、ビジネスモデルなどの基礎知識をはじめ、競合分析ワークやロールプレイングを通して、自社サービスの市場の中での位置づけや、顧客に与える価値について幅広く考えていきます。

研修の詳細は以下の通りです。

日時:4月14日(金) 13:00〜17:00
場所:本社5階 会議室B
内容:自社のビジネスモデルや製品・サービスの紹介(13:00〜14:00)
   顧客に与える価値(14:15〜15:15)
   競合分析ワーク(15:30〜16:00)
   ロールプレイング(16:00〜16:45)
   まとめと質疑応答(16:45〜17:00)
持ち物:筆記用具、ノートパソコンまたはタブレット(競合分析ワークやロールプレイングで使用します)
問い合わせ先:人事部〇〇(内線番号〇〇)

何かご不明な点がございましたら、人事部〇〇までお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。


おわりに

以上、文章を書くプロセスにそって、文章の質を高める3つのステップを紹介しました。

相手の理解・共感を得て、思い通りに動いてもらえる文章が書けることは大きな武器になります。この記事の内容を参考に、ぜひ文章のスキルアップを目指してみてください。