
随筆とは?意味・由来やエッセイとの違い|日本三大随筆も紹介
「随筆」と聞くと、古文で習った『枕草子』や『徒然草』を思い浮かべる人が多いかもしれません。また、身近なところでは、ブログやSNSでも、日々の気づきをつづった文章がたくさん読まれています。
この記事では、随筆の意味や由来、ほかの文章との違い、代表的な作品をわかりやすく紹介します。
1. 随筆は「筆に随って(ふでにしたがって)」書く文章
随筆とは、見聞きしたことや体験、心に浮かんだ思いなどを、決まった形式にとらわれずに書いた文章です。「随」には「したがう」という意味があり、「筆の向くままに書く」というのが言葉のもとの意味です。
とはいえ、自由に書けるといっても、出来事を並べるだけでは随筆らしくなりません。出来事を通して何を感じ、何を考えたのか。そこににじみ出る書き手の人柄や視点こそが、随筆の読みどころです。
「随筆」という言葉は、中国・南宋(1127〜1279年)の学者による『容斎随筆(ようさいずいひつ)』の書名にも見られます。日本では、室町時代の『東斎随筆(とうさいずいひつ)』が、書名に「随筆」を使った早い例とされます。
後で紹介する『枕草子』は平安時代(794~1185年(または1192年))の作品です。書かれた当時はまだ「随筆」という呼び名がなく、のちの時代になって随筆と呼ばれるようになりました。
2. エッセイ・日記・小説との違い
<エッセイとの違い>
エッセイの語源は、「試み」を意味するフランス語の「essai」です。16世紀フランスの思想家モンテーニュが、この語を書名にした『エセー』を著しました。そこから、自由な形式で考えをつづる文章を指す言葉として広まりました。日本語では随筆とほぼ同じ意味で使われ、はっきりした線引きはありません。
古典の話では「随筆」、雑誌やウェブ記事では「エッセイ」がよく使われます。ただし、英語の「essay」は、学校で書く小論文を指すこともあります。そのため、エッセイと随筆がまったく同じ意味というわけではありません。
<日記との違い>
日記は、出来事を日付に沿って記録することが中心の文章です。一方、随筆は時間の順に書く必要がありません。
たとえば、「駅までの道に桜が咲いていた」だけなら事実の記録です。ここに「毎年通る道なのに、今年は初めて桜に気づいた。いつも急いでばかりいたのかもしれない」と続けると、随筆らしい文章になります。
<小説との違い>
小説は、作者の想像によって物語を作り上げる文章(フィクション)です。一方、随筆は、書き手が実際に経験したことや考えたことをもとに書く文章です。
もちろん随筆でも、読みやすくするために出来事の順序を入れ替えたり、細かい部分を省いたりすることはあります。ただ、随筆は事実として読まれることが前提なので、実際にはなかった出来事は加えないのが基本です。
3. 日本三大随筆
日本の古典の中でも特に有名な次の三作品は、「日本三大随筆」と呼ばれています。
『枕草子』(清少納言、平安時代中期)は、「春はあけぼの」の書き出しで知られています。四季の美しさや宮廷での出来事を、鋭い感性で切り取った作品です。「うつくしきもの」「にくきもの」のように、「〜もの」という形で物事を並べていく章段が多いのも、この作品の大きな特徴です。
『方丈記』(鴨長明、鎌倉時代初期)は、「ゆく河の流れは絶えずして」で始まります。大火や飢饉、大地震などを通して、この世のものはすべて移り変わり、いつまでも同じではないという「無常」を描いています。書名は、作者が晩年に暮らした一丈四方(約3メートル四方)の小さな庵に由来します。
『徒然草』(兼好法師、鎌倉時代末期)は、「つれづれなるままに」で始まります。序段には「心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば」とあります。心に浮かぶことを思いつくままに書きつけたというこの言葉は、「筆に随う」という随筆の意味そのものといえます。本文では、人の振る舞いや美意識、季節の移ろいなど、幅広い題材を短い章段でつづっています。
三作品は、書かれた時代も題材も語り口もそれぞれ異なります。読み比べてみると、書き手ごとの違いがはっきりと見えてきます。
おわりに
随筆は、決まった型がないからこそ、書き手の視点がそのまま魅力になる文章です。
同じ景色を見ても、気づくことは人によって違います。その違いに触れられることこそ、随筆を読む楽しさといえます。特別な肩書や専門知識がなくても、自分なりの視点があれば誰でも書けるのも随筆のよいところです。日々の小さな気づきを書き留めてみれば、立派な随筆になるかもしれません。









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