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縦書き数字の表記方法[文章内での書き方]
数字には、年月日や数の幅、小数・分数、助数詞など多くの要素があり、表記のばらつきが起こりやすいです。そのため表記の方針を整理しなければなりませんが、その方針は「縦書き」と「横書き」の場合で異なります。
この記事では、縦書き文章の数字の表記について紹介しています。
※横書きの数字表記の方法については以下の記事をご覧ください
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
・日本エディタースクール出版部
『日本語表記ルールブック』 『原稿編集ルールブック』
▼ 縦書き文章での数字表記は、大きく分けて次の2通りです。
A「原則として漢数字を使用する」
B「原則としてアラビア数字を使用する」
これらのポイントについて整理して表記の方針を立てる必要があります。
A:原則として漢数字を使用する場合
1. 単位語(十・百・千・万・億など)の使用
2. 単位語を使用する場合における例外
3. 年月日などの表記
4. 「ゼロ・レイ」の表記
5. アラビア数字を使用するケース
1. 単位語(十・百・千・万・億など)の使用
漢数字の表記には、単位語を使う方式と使わない方式があります。基本的な方針を決めておきましょう。一般的には、「万・億・兆」などの4桁ごとの単位語のみを使うことが多いです。表記の例は次のようになります。
①「万・億・兆」などの単位語のみを使う
② すべての単位語を使う
③ 単位語を使わず、3桁ごとに区切りを入れる
③のように漢数字の区切りには、通常読点が使われます。この読点は、印刷物では体裁の観点から「二分ドリ、ベタ組」(文字サイズの2分の1の大きさで、字間を空けずに配置)とするのが原則ですが、通常の読点と同じく全角ドリ(文字サイズと同じ大きさ)とすることも許容されています。
ちなみに漢数字の場合の小数点は中黒を使うのが普通です。この中黒についても、体裁は読点と同様、「二分ドリ、ベタ組」が適切です。
なお、分数は縦書きの場合、次のように言葉で表すことが多いです。
2. 単位語を使用する場合における例外
単位語を使用する方針の場合でも、例外的に単位語を入れないものがあります。
具体例としては、西暦の年・電話番号・部屋番号などがあげられます。またパーセントや身長・体重といったデータ的な意味合いの強い数値についても、単位語を省略することがあります。
① 西暦の年
② 電話番号
③ 部屋番号
④ データ的な数値
逆に単位語を使用しない場合であっても、「三百円」「五千人」などのキリのいい数値に限っては単位語をつける方式もあります。
3. 年月日などの表記
3-1. 年の表記
西暦の年については前述した通り、いずれの方式であっても単位語は使わず、次のように数字を並べて表記します。
世紀については、次のいずれの表記も使われます。
ちなみに、この単位語の「十」は「トンボ十(じゅう)」とも呼ばれます。
また、西暦と和暦をかっこに入れて併記する表記もよく使われます。以下のように複数のパターンがあるため、表記がばらつきやすいです。あらかじめ表記方法を決めておく必要があります。
3-2. 月日の表記
月日については、「トンボ十」を入れる方式と数字を並べる方式のいずれも使われます。
4.「ゼロ・レイ」の表記
原則として漢数字を使用する場合、ゼロ・レイの表記には、「ゼロ」「零」「〇(漢数字)」が用いられます。
なお、次の項目の②の例のように、場合によっては「0(アラビア数字)」を使うこともあります。
5. アラビア数字を使用するケース
原則として漢数字を使用する方針でも、一部にアラビア数字を使用することがあります。慣用としてアラビア数字が使われるものや、漢数字と重なって紛らわしいときなどです。
④の「第3四半期」においては、「3」まで漢数字にしてしまうと「第三四半期」となり、漢数字が連続してしまい区切りがわかりにくくなります。そのため、あえてアラビア数字を使用して誤読を防ぐようにします。
B:原則としてアラビア数字を使用する場合
1. 桁数による書き分け
2. 音読み/訓読みによる書き分け
3. 単位語の使用
4. 概数の表記
1. 桁数による書き分け
2桁の数字は縦中横(たてちゅうよこ)、1桁と3桁以上の数字は1桁ごとに縦に並べて表記します。
1. 次のように縦書き文章の一部を横書きにしたい場合。
2. 縦中横にしたい部分を選択します。
【ホーム】タブ → 【段落】から赤枠のアイコンへと進みます。
3. アイコン内一番上の「縦中横」を選択すれば、選択した部分だけが横書き表示になります。
2. 音読み/訓読みによる書き分け
日時や数量、順序などを表す語を音読みする場合は、アラビア数字を使います。
訓読みする場合は、アラビア数字と漢数字の両方の方式があります。方針を決めて表記しましょう。
3. 単位語の使用
1万以上の数値には単位語を使うのが一般的です。そのほか、3桁ごとに位取りを入れる方式もあります。
4. 概数の表記
次のような概数は、原則として単位語を使用します。
※概数(がいすう)… おおよその数
C:漢数字・アラビア数字で共通する
ここまでは、
「A:原則として漢数字を使用する場合」
「B:原則としてアラビア数字を使用する場合」
について、整理すべきポイントを解説しました。
そのほかにも両方の場合に共通するポイントとして、
「数の幅を示す場合」
「熟語・慣用の決まった語」があります。
1. 数の幅を示す場合
数の幅を示すときは、原則として桁の省略はせず、「―(全角ダーシ)」または「~(波形)」でつなぎます。
ただし、西暦で一定の期間を表すときは、下2桁のみを示す方式もあります。千の位や百の位が同じで、読み間違える恐れのない場合に限って可能な表記です。
2. 熟語・慣用の決まった語
熟語や慣用の決まった語は、表記の方針と異なっていても例外としてそのままにします。
おわりに
以上のように、数字に関してはさまざまな要素があり、漫然と表記するとばらつきが生じやすくなります。見やすさ・読みやすさに配慮し、方針を整理して表記するようにしましょう。
数字の表記方法は、『日本語表記ルールブック』『原稿編集ルールブック』で簡潔にまとめられています。数字の表記だけなく、文章表記に関するルールが網羅されているので持っていると役立つ書籍です。
<補足>
文化庁のサイトで公開されている「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」に、少しですが横書き・縦書き数字の表記方法が紹介されています。
「公用文」作成とされていますが、ビジネスや日常で役立つ文章作成に関する表記方法が網羅されています。興味のある方はぜひご覧ください。
【出典】「公用文作成の考え方(文化審議会建議)」[PDF]『I-4 数字の使い方』より