新聞社の校正の流れってどうなっているの?基本的な流れを紹介

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新聞社の校正の流れってどうなっているの?基本的な流れを紹介

一口に校正者といっても、媒体や会社が変われば、校正者の有り方も変わってきます。それぞれの役割や対応領域、作業内容が違ってくることも珍しくありません。

この記事では、校正者が携わる媒体の中でもよく知られている新聞社での校正を中心とした流れを紹介していきたいと思います。

 1. 新聞ができるまでの全体的な流れ
 2. 新聞社の校正の具体的な流れ
 3. 校正時に意識するポイントの例

1. 新聞ができるまでの全体的な流れ

まずは、新聞そのものができるまでの全体的な流れについて紹介していきます。

おおよその流れは次のようになります。

   1. 記者が取材した内容を記事にまとめる
   2. 編集者が記事の内容を確認する
   3. 校正担当者が誤字脱字などを確認する
   4. レイアウト担当者が紙面を作る
   5. 校閲担当者が最終確認する

校正と校閲

校正と校閲の作業がわかれていますが、文章の確認項目は多岐にわたるので役割や作業内容を明確化し、特定の部分に集中することで品質を上げることができます。また各段階で異なる観点からのチェックを行うことで、品質、正確性、わかりやすさを高めることができます。

より具体的な流れ

前述の通り、まずは記者が取材現場に行き、取材した内容の記事を執筆します。この段階でも、記者によって記事の内容や書き方について基本的な校正作業が行われます。

書き上がった記事は、編集者によってチェックされ、修正すべき内容が原稿に指示されます。ここでは、正確な内容になっているか、わかりやすい表現になっているかなどがチェックされます。

続いて、編集者の書いた指示通りに修正されているかを校正者が確認します。

校正での確認が一通り終えた後は、原稿をレイアウト担当者に引き継ぎ、本格的に紙面を作っていきます。紙面のレイアウト担当者に移行します。紙面に掲載する記事や写真の配置、見出しやキャプション、フォントやサイズの設定などを行います。紙面全体のバランスを整え、読みやすい紙面構成に仕上げていきます。

それと同時に、校閲担当者が記事の内容を最終確認していきます。

記事、紙面ともに問題がなければ降ろして印刷し、家庭などに配達されてようやく読者が新聞を読むことができるという流れになっています。

編集者=デスク

職場によっては、編集者は、デスクとも呼ばれることがあります。デスクとは記者の書いた記事の内容をチェックして表現を変えたり、加筆したり、削ったりして最適な形に記事を仕上げる責任者のことです。取材現場に行かず、デスク(机)で仕事をすることから「デスク」と呼ばれるようになったと言われています。

2. 新聞社の校正の具体的な流れ

以下、新聞記事の校正をメインに流れとポイントを解説していきます。

新聞作りで大切なのは「正確でわかりやすい」ことです。多くの人の目に触れる情報を扱うため、校正担当者はより良い記事に整えていく役割を担っています。

具体的には次の流れで校正を進めていきます。

 ① 文章の誤りのチェック
 ② マニュアルに沿った表記に統一
 ③ 校正支援での最終確認

① 文章の誤りのチェック

編集者から原稿を受け取り、記事を読むところから校正者の仕事が始まります。ベテランの編集者がチェックしたものでも安心はできません。

記事を読むときは、初めて自分が読むつもりで一から正しいかどうかを確認します。

新聞は「中学生が読んで分かる文章」を基準に作っているため、中学生で理解できるかどうかを念頭に置いて校正にあたります。

編集者によって書き込まれた指示がちゃんと反映されているかの確認はもちろん、誤字脱字、文の削り過ぎ、入力ミスなどもチェックします。また不適切な表現があれば正しい日本語表記になるよう指摘します。

修正指示以外にも、記事に関する資料がついていれば内容が一致しているかなども確認する項目になります。

正しい言葉になっているかだけでなく、読みやすさも重要な校正ポイントです。修正された箇所の前後の文も含めて読み、意味が通りやすくなっているかもみていきます。

ほかにも記事内容で気づいた点、たとえば、東京マラソンに参加した人数が記事と資料で一致しない場合、どちらが正しいのかを編集者を通じて記者に確認します。

ちなみに、近年では紙の新聞だけでなくWeb上で閲覧できるオンライン版も増えています。

オンライン記事も紙の記事と同様に校正の対象となります。基本的な校正方法は紙と変わりませんが、オンライン記事の場合は、紙と違ってWeb画面上でのレイアウト崩れ、文字が正しく組まれているか、リンクがあれば正しいページにリンクされているかといったWeb特有のチェック項目が増えてきます。

② マニュアルに沿った表記に統一する

新聞社では、新聞社独自で決めた用字用語集や記者ハンドブックなどを活用して、決められた表記に統一していきます。(記者ハンドブックは、共同通信社が発行している「新聞用字用語集」)

漢字またはひらがなで表記する日本語、間違えやすい表現、数字について(アラビア数字と漢数字の使い分け)、反対に使ってはいけない表現など、用語集で決められている基準に沿って整えていきます。

ただ紙面の情報すべてを用語集の表記に統一するということでもありません。固有名詞などはそのままの表記で記事にすることもあります。

また時代によって新しい語が生まれ、使用されなくなる言葉もあります。表記に関しても、時代に応じて変わるもの/許容とされるものも少なくありません。それに伴いマニュアルも更新されていくので、マニュアル通りにやれば安心というわけでなく、自らの知識を広げ、言葉の扱いに敏感になっていく感覚も大事です。

③ 校正支援ツールで最終確認をする

編集者の書いた指示の確認、修正が一通り終わったら、最後に校正支援ツールにかけます。

校正支援は新聞社独自で作成されるものもあれば、市販のものもあります。新聞は古くから歴史があるのでアナログなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、デジタル系の技術が意外にもずっと前から役立てられています。                                                                                                                    

AIが急成長する現在でも校正作業を完全に自動化することは難しいですが、特定の誤りなら人の目と同等レベルの精度で発見できます。

たとえば、旧字が使われていないか、同じ記号が2つ入っていないか(読点の連続、句点の連続など)、英数字の全角半角、前後の括弧の対応などの基本的なチェックを校正支援にかけて探し出します。

記事確認の最終工程として記事全体をチェックする校閲担当者がいますが、「校閲がいるから間違えても大丈夫」という考えではなく、一つでも多く事前に間違いを潰しておくことで後工程の負荷を軽減させるという考えが大切になってきます。

他者に依存せず自立した心で、問題なく記事を仕上げるという気持ちです。

3. 校正時に意識するポイントの例

一口に校正と言っても、実際にはどんな点に気をつければいいのか、基本的な項目を一部ご紹介します。

 ① 氏名
 ② 敬称
 ③ 数字
 ④ 二重表現

① 氏名

漢字は原則として「現代仮名遣い」を使う決まりになっています。一般の方の氏名は旧字から現代仮名遣いに直しますが、会社の社長など偉い方の氏名に旧字が入っている場合は旧字のままで表記します。

その理由はこだわりがあり、直さずそのまま載せてほしいと望む人もいるためです。

たとえば「岩﨑」という氏名の方の場合、本来なら「岩崎」に直さなければいけませんが、状況に応じてそのまま掲載します。

② 敬称

記事に登場する人の学年や職業によって敬称や表記が変わります。

学校に関する敬称で統一された表記は、未就学児は「ちゃん」、小学生男児なら「君」、小学生は「児童」で大学生は「学生」などです。

年齢に応じた敬称を使うことで、違和感のない記事に仕上げることができます。

③ 数字

数字が指す意味によってアラビア数字と漢数字を使い分けて表記します。

アラビア数字は時間、年齢、高さなど数字が増えるもの、漢数字は他の言葉に置き換えられないもののときに用います。

漢数字を活用する際の例としては、「一日も早く会いたい」「二度と繰り返さない」など、他の表現では難しいときに漢数字で表します。

④ 二重表現

「似たような表現が連続している」という意味で、特定の表現が出てきたらどちらかを削ります。

たとえば「各地域ごとに」という一文が出てきたとします。一見問題なさそうですが「各」は「各々」、「ごと」は「そのたびに」という意味を持ち似たような表現に当たるため、片方だけにする必要があります。この場合は「各」を削って「地域ごとに」とすれば他の言葉を変えずに済みます。

ちなみに、二重表現でよく知られているものに「過半数を超える」という表現がありますが、文章に携わる職に就いている方の間では知られすぎていて、このような間違いはほぼ見られません。

おわりに

以上、新聞社で校正の流れについて解説してきました。細部までは紹介しきれませんでしたが、大まかなイメージはつかんでもらえたかと思います。

新聞は多くの人の目に触れる情報を扱います。一度発行すれば、Webのようにすぐに訂正することもできないため、間違った情報が形としてずっと残り広く浸透してしまう恐れがあります。

そのため技術だけでなく心構えも大切になってきます。

新聞社における校正の基本的な心構えは次のようになります。

・常に読者を意識し「正確でわかりやすい」記事を心掛ける
・他の職種と連携しつつも、自立した心で責任をもって問題ない記事に仕上げる

このような心構えで新聞の品質が保たれているわけです。