「染みる」「沁みる」「浸みる」の違いは?「しみる」の使い分けと例文

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「染みる」「沁みる」「浸みる」の違いは?「しみる」の使い分けと例文

「しみる」という語にはさまざまな漢字が当てられます。この記事では、その中で比較的よく使われる「染みる」「沁みる」「浸みる」という漢字について、使い分けやニュアンスの違いを説明します。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

『明鏡国語辞典 第二版』(大修館書店)
・『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)
・『漢字の使い分けときあかし辞典』(円満字二郎、研究社)

迷ったら「染みる」が正解

結論から言うと、「しみる」を漢字表記する場合、基本的に「染みる」を使えば間違いになることはありません。

「しみる」の語には、主に以下の意味があります。

① 液体やにおい、味などが移る
 【例】雨が靴の中までしみる。服にタバコのにおいがしみる

② 刺激が突き抜けるように体や心に入ってくる
 【例】寒さが身にしみる。人の優しさが心にしみる

③ 好ましくない影響を受け、その傾向を持つようになる
 【例】悪習にしみる

『明鏡国語辞典 第三版』(大修館書店)では、これらの意味を表す漢字として「今はすべて【】が一般的」とされています。

ただし、の意味では「沁みる」が好まれるとの記載もあります。『漢字の使い分けときあかし辞典』(円満字二郎、研究社)でも「沁」の字について、「『心』を含むところから、“深く感じる”という意味で用いられることが多い」と説明されています。

また同書には、「《染》には“望ましくない性質を帯びる”というイメージもあるので、特に“よいことを深く感じる”場合には、《沁》を書く方が雰囲気が出る」という記述もあります。上で列挙した「しみる」の意味のうち、も「染みる」と表記できることを考えると、「“望ましくない性質を帯びる”というイメージ」について納得しやすいでしょう。

一方「浸みる」については、漢字に「さんずい」が含まれていることや「浸水」という熟語からも想像できるように、「液体がしみ込んでくる」場合に好まれます。上の文例の中では、「雨が靴の中までしみる」は「浸みる」と表記することで、水が入ってくるというニュアンスを強調することができます。

おわりに

以上、「染みる」「沁みる」「浸みる」の使い分けについて解説しました。

原則としては「染みる」を使い、特に表現したいニュアンスがある場合は「沁みる」「浸みる」を使うこともできると考えると判断しやすいです。

なお、媒体や想定される読者層によっては、常用漢字かどうかも考慮するとよいでしょう。「染みる」は常用漢字ですが、「沁みる」は表外字(常用漢字表にない漢字)、「浸みる」は表外音訓(常用漢字表にない音訓)です。『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)では「沁みる」「浸みる」は使わず、「染みる」にすると定められています。