以上・以下・未満・超過[意味の違いと絶対に迷わない覚え方]
この記事では、「以上」「以下」「未満」「超過」の意味の違い、簡単で迷わない覚え方を紹介しています。
これらの漢字の意味や使い方で悩むという方は、
「○○以上って、○○は含むの?」
「△△以下って、△△は含むの?」
このパターンがほとんどだと思います。
その場合、
「以上は、こうだ」
「以下は、こうなんだ」
と覚えているとややこしくなるだけです。
この覚え方では「未満」や「超過」とも混同しやすくなってきます。
このような悩みは「以」の漢字の意味さえわかっていればすべて解決します。
「以」の意味は、
ある時・所を起点としてそれより です。
「以」は、ある所を起点とします。
なので、ある所を含んで考えます。
▼「以」は対象とする語句を含みます。
※面倒なら「以」は「含める」とだけ覚えておけば大丈夫です。
この「以」を基準にして、それぞれの意味や覚え方を見ていきたいと思います。
1. 以上の意味
▼ 40点以上の場合
覚え方のポイントは、
「以上だから○○だ」ではなく、「以」を基準にして覚えます。
「以」は含めるもので、それに「上」や「下」の漢字が付いているだけです。
考え方の順序としては、
"「以」がある。だから前の数字を含める。で、後ろに「上」が付いている "
といった感じです。
結果として、
「40点以上」は
「40点を、含めて、上」になります。
■ 次のようになります。
2. 以下の意味
▼ 40点以下の場合
「以下」の場合も「以上」と考え方は同じです。
「以下」で覚えるのではなく、「以」を基準にして考えます。
"「以」がある。だから40点を含める。で、後ろに「下」が付いている "
結果として、
「40点を、含めて、下」になります。
■ 次のようになります。
「以」の漢字の意味さえわかっていれば、以がつく他のものも同様の考えができます。
10時以降なら、「10時を含めてそれから」になります。
「以外」や「以内」は、表現が少し変わってきますが「以」の考え方自体は変わりません。
たとえば、
・A,B,C,D,Eの内、C以外なら、Cを含めてそのほか になります。
A B C D E
・5人いて、3人以内なら、3人を含めてその内側 になります。
1人 2人 3人 4人 5人
3. 以上・以下でよくある間違い
▼ 文章内での間違い
「40点以上は合格。40点以下は再テスト。」
このように文章にすると、ほとんどの人が「40点はどっち?」とおかしなことに気付きます。
仮に、「以上」や「以下」の使い分けが曖昧でも、何か違和感を覚えるので間違いにも気付きやすいです。
文章にすると対応関係が一目瞭然なのでわかりやすいですが、「以上」や「以下」がグラフ内で使用されると間違いに気付きにくくなってきます。
▼ グラフでよく起こる間違い
■ グラフ内で使用される「以上」「以下」~その1~
【出典:厚生労働省ホームページ_平成27年版厚生労働白書-人口減少社会を考える-】
縦棒グラフに「65歳以上人口」、
折れ線グラフに「65歳以上人口割合」とあります。
このようにグラフ内で使用されていることは非常に多いです。
この場合、どのような間違いが起こりやすいか?
▼ 間違い例
▼ 解答 65歳がダブっている
間違いの原因の一つに、文字同士が離れているということが考えられます。
「15~65歳人口」と「65歳以上人口」のそれぞれを単体で見た場合には、どちらもおかしくありません。両者がセットになることで、初めておかしいと気付けます。
一つずつ見た場合には、違和感なくさらっと読み流してしまいます。対になる語がないか周りも注意する必要があります。
文章内だと対応関係がわかりやすいため間違いに気付きやすいですが、グラフではそれが難しくなってきます。
特に何度もグラフに修正を加えていると、矛盾点が出てきておかしくなることがあるので注意が必要です。
■ グラフ内で使用される「以上」「以下」~その2~
【出典:厚生労働省ホームページ_平成28年版厚生労働白書-人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-】
グラフでは、凡例に「以上」「以下」が使われていることも多いです。
(※14歳以下×2か所・65歳以上×2か所)
このような場合も間違いがあっても気付きにくくなります。
▼ 間違い例
▼ 解答 14歳と65歳がダブっている
4. 未満の意味
▼ 未満
「未満」は、漢字の「未」から意味が想像できるのでわかりやすいと思います。
「未満」の意味は、
"ある数に達していないこと。ある数を境に、ある数そのものは含めず、それより少ない数であること"
なので、
「未満」は、対象とする語句を含みません。
「以下」が、含めて下 なのに対し、
「未満」は、含めないで下 です。
■ 次のようになります。
5. 超過の意味
▼ 超過
「未満」の対義語は「超過」になります。
範囲や限度などを示す場合、大抵は「以上・以下・未満」の3つで表すことができるので、聞き慣れない方も多いかもしれません。
「超過」の意味は、
1. 数量や時間が、一定の限度をこえること。
2 あるものをこえて先に出ること。また、他よりまさっていること。
なので、
「超過」は、対象とする語句を含みません。
「以上」が、含めて上 なのに対し、
「超過」は、含めないで上 です。
■ 次のようになります。
以上・以下・未満・超過のまとめ
以上、以下、未満は、非常によく使われます。
意味の違いで迷う場合は、「以」の意味を思い出せば大丈夫です。
「以」は、対象とする語句を含みます。
1. 以の文字があるので、
「以上」は、含めて上
「以下」は、含めて下
2. 以の文字がないので、
「超過」は、含めないで上
「未満」は、含めないで下
3. イラストのまとめ
青は、対象とする語句を含める
赤は、対象とする語句を含めない
「以上」「以下」「未満」の意味は、多くの方が戸惑うものです。
ですが、丸暗記でなく漢字の意味をちゃんと理解して覚えておけば、迷うことはありません。
また文章だけで覚えるのではなく、イラストなどにして意味とセットで理解すると覚えが早いです。分類が必要なものなら色分けしておくとイメージしやすく記憶に定着しやすいです。
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
・小学館_デジタル大辞泉
・三省堂_新明解国語辞典