目 次
間違えやすい校正記号:線を使って表す記号・文字
一本線、二本線、三本線など、線を使って表す校正記号や文字をまとめてみました。線で表す記号類は複数あるので、個々で覚えるよりも一括で覚えたほうが効果的です。
※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
1. 一本線 ⇒ イタリック・斜体
一本線は、イタリック(斜体)にする指示です。
■ 一本線の校正記号
■ 文字で「イタ」と指示しても、同じ結果になります。
【補足】
下線を入れる指示は、次のようになります。
これも一本線なので混同しないようにしましょう。
【関連記事】> 校正記号:イタリック(≒斜体)と立体(=ローマン)
2. 一本線の変形 ⇒ 立体
一本線の変形(部首の冠のような形状)は、立体にする指示です。
■ 一本線と似た校正記号
■ 文字で「丸付きの立」と指示しても同じです。(※「ローマン」でも可)
【関連記事】> 校正記号:イタリック(≒斜体)と立体(=ローマン)
3. 波線 ⇒ ボールド(太字)
波線は、ボールド(太字)にする指示です。
■ 波線の校正記号
■ 文字で「ボールド」と指示しても同じです。
【関連記事】> 校正記号:太字(ボールド)にする・太字を普通の文字に戻す
4. 一本線と波線 ⇒ イタリック&ボールド
一本線と波線は、ボールドイタリック(太字の斜体)にする指示です。
■ 一本線と波線の校正記号
■ 文字で「イタボールド」と指示しても同じです。
5. 二重線 ⇒ スモールキャピタル
二重線は、スモールキャピタルにする指示です。
※スモールキャピタルは、小文字の大きさのまま大文字にすることです。
■ 二重線の校正記号
■ 文字で「小キャップ」と指示しても同じです。
【関連記事】> 校正記号:英語の大文字・小文字[小文字を大文字に・大文字を小文字に]
6. 三本線 ⇒ 大文字
三本線は、大文字にする指示です。
■ 三本線の校正記号
■ 文字で「丸付きの大」と指示しても同じです。
【補足1】
小文字にする指示
・小文字にする指示には、下線を使う指示はありません。文字の指示のみです。
【補足2】
組み合わせも可能
・大文字のイタリックにする場合
【関連記事】> 校正記号:英語の大文字・小文字[小文字を大文字に・大文字を小文字に]
7. 点線 ⇒ リーダー
点線は、リーダーのことです。
■ 3つの点線(三点リーダー)
・三点リーダーの記号
■ 2つの点線(二点リーダー)
・二点リーダーの記号
※二点リーダーの指示は、三点リーダーと間違われないように文字で「2点」と添えます。
【補足1】
次のように、全角記号の下に点線を書いて表すこともできます。
・三点リーダーの記号
・二点リーダーの記号
【補足2】
リーダーを2文字分入れたい指示は次のようになります。
・三点の二倍リーダー
・二点の二倍リーダー
【関連記事】> 校正記号:リーダー(三点・二点)の使い方
8. 全角の横線 ⇒ 全角ダーシ(ダッシュ)
全角の横線は、ダーシ(ダッシュ)のことです。
■ 全角ダーシの記号
【補足1】
次のように、全角記号の下にダーシを書いて表すこともできます。
【補足2】
ダーシを2文字分入れたい指示はこのようになります。
・二倍ダーシ
▼ ダーシ(ダッシュ)と混同されやすい記号・文字
・マイナス(全角)
・音引き(「伸ばし棒」「長音」ともよばれます)
・漢数字のいち
【関連記事】> 校正記号:ダーシ(ダッシュ)の使い方
9. 半角の横線 ⇒ 二分ダーシ(半角ダーシ)
半角の横線は、二分ダーシ(半角ダーシ)のことです。
■ 二分ダーシの記号
【補足】
次のように、ダーシの下に文字で「二分」or「半角」と補足しても大丈夫です。
▼ 二分ダーシ(ダッシュ)と混同されやすい記号・文字
・ハイフン
10. 斜線 ⇒ スラッシュ
斜線は、スラッシュのことです。
■ スラッシュの記号
※半角スラッシュの場合は、文字で「二分」or「半角」と補足しておくと、全角スラッシュと混同されることもありません。
【関連記事】> 校正記号:スラッシュ(斜線)の使い方
11. ケイ線(罫線)
ケイ線(罫線)について
表罫(オモテケイ)… 実線の細いもの。
裏罫(ウラケイ)…… 表罫に比べて太いもの。太罫(ふとけい)ともいう。
【出典:三省堂 大辞林 第三版】
■ オモテケイとウラケイの関係は次のようになります。
・赤字の入れ方
(※数値で指示することもできます)
【補足】
実際に校正するにあたっては、「オモテケイ」や「ウラケイ」と指示しなくていい場面も多いです。
赤字の入れ方:例1
・ケイ線の太さを、どこと合わせるのか明確な場合は「ケイの太さ正ス」で通じます。
赤字の入れ方:例2
・ケイ線の種類や太さが複数ある場合は、どこと合わせるのかを鉛筆で補足して指示します。
【関連記事】> 校正記号:罫線(ケイ線)
赤字の入れ方(応用編)
[前述した次の1~6の項目について]
1. 一本線 ⇒ イタリック・斜体
2. 一本線の変形 ⇒ 立体
3. 波線 ⇒ ボールド(太字)
4. 一本線と波線 ⇒ イタリック&ボールド
5. 二重線 ⇒ スモールキャピタル
6. 三本線 ⇒ 大文字
これらの訂正指示を入れる場合、赤字を書き込むスペースがないときや訂正範囲をより明確にしたいときがあります。そのときには赤字の入れ方を少し工夫します。
・基本形(※■■に訂正指示を入れます)
・書くスペースがない場合は、引き出し線を入れて余白に引き出します。
※引き出し線は長くなり過ぎないように注意しましょう。
・文字が小さく、指示範囲が曖昧になりそうな場合は、丸で囲むとわかりやすいです。
・一文字なら丸で囲むほうが簡潔・明瞭です。
おわりに
線を使って表す校正記号は、記号自体が目立たず他の記号と誤解されそうなものが多いです。そのため校正記号単体で指示するのではなく、文字も補足しておくようにしましょう。
校正記号表でも文字で補足することが推奨されています。