柱を校正する前に知っておきたいこと[実例で紹介]
1. 柱の意味・位置
▼ 柱の意味・位置
柱とは、ページの版面外の上下の余白に配置される書名・章名・節名などのことを言います。
柱はページの上下の余白部に配置されますが、基本は小口寄りに配置されます。のど寄りに配置されることはありません。
この柱があると、読み手にとっては現在どの章や節を読んでいるのかすぐにわかります。また、ページを検索するときにも柱が目次代わりになり便利です。
柱は見開きの両ページに付くこともあれば、片ページのみに付けられることもあります。
片ページのみに付けられる場合、
・左開きなら右ページ(奇数ページ)、
・右開きなら左ページ(奇数ページ)に付くのが一般的です。
読み手の視線を考慮した位置に置かれます。
■ 左開き
■ 右開き
2. 柱の校正で知っておきたいこと
DTPでは、柱など複数ページにまたがる共通の情報は、1ページずつコピペして作ることは基本ありません。マスターページを1ページ作成し、それを他のページに適用し作成します。
そのため、1ページの柱を確認して大丈夫であれば、他のページの柱も問題ないということになります。
▼ 柱の校正で知っておきたいこと
1.柱と同じ情報が必ずどこかにある
柱に章や節の情報が入る場合、必ずどこかに同じ情報があります。例えば、柱の情報が章名なら、その章の扉などに同じ情報(章名)があります。
2.校正するタイミング
校正するタイミングは、初校の段階ではなく中面の情報が固まった最終の段階になります。全ページを通して一気に確認します。情報が変更されるたびに確認していると効率が悪いからです。
※目次や索引などと同様の扱いです。
3.校正のやり方
柱をマスターページで作成しているなら、各ページの柱を一文字一文字念入りに校正するということはしません。柱の情報の最初の1ページ目は重点的に確認し、あとは同じ情報が続くため、めくり合わせなどで確認します。
3. 柱と連動する箇所
ファッション誌「InRed」の特集ページの柱で見ていきたいと思います。
【出典:宝島社_InRed(インレッド)2021年1月号】
▼ 誌面内の柱が、各ページに連動してくるパターンです。
1.誌面内の柱
↓
2.特集ページの見出し
↓
3.目次ページ
■ 1.誌面内の柱
左ページの上に柱が入っています(赤枠参照)。片ページのみに柱が入るパターンです。誌面が右開きのため見開きの左ページ(奇数ページ)に柱が入ります。
■ 柱部分の拡大
柱には『冬の着ぶくれを回避!スタイルアップが叶う服』と記載されています。この柱には、特集ページの見出しが入っています。
■ 2.特集ページの見出し
「柱」と特集ページの「見出し」が、同じもので連動していることがわかります。そのため、この見出しが修正されれば、柱も変更する必要が出てきます。
さらに、このような大見出しは、目次ページにも掲載されます。
■ 3.目次ページ
■ 目次ページの拡大
前述の「2の見出し」と「目次(赤枠部分)」に同じものがあります。
これらのことから「柱」と「見出し」と「目次」の3つが連動していることがわかります。そのため、3つのうち1つにでも修正指示が入ると、他の2つも修正する必要がでてきます。
【補足】
柱には、章名や節名の情報が省略されて入ることもあります。必ず内容が完全一致するとは限りません。
上のInRedの誌面で見ると、
見出しでは『冬の着ぶくれを回避!スタイルアップが叶う服』と記載されていても、
柱では『特集!スタイルアップが叶う服』と意図的に変えていることがあります。
校正では、意図的に変更しているのか、単なる不揃いなのか判断がつかない場合もあるので注意してください。
4. 校正での柱の見方
柱は単体で成立するものではありません。主とする情報があり、その補助的役割を果たします。
日本エディタースクール出版部の「本の知識」で見ていきたいと思います。この本では、目次と章名と柱が見開き内にすべて収まっているのでわかりやすいです。
■「本の知識」P.2・P.3より
【出典:日本エディタースクール出版部_本の知識】
■ ① が目次、② が章名、③ が柱です。
① ② ③ の3か所ともに『1 本とは何か』が入っています。
校正する場合は、この3点が合っているか確認する必要があります。
■ 3つの内容が異なる場合は、中面の情報である「②の章名」が基準になります。
① の目次も、③ の柱も、中面の情報を検索しやすく(わかりやすく)するために作成されるものです。そのため、② の章名を正として校正して行きます。
おわりに
柱は、書籍・カタログ・雑誌など色々なジャンルの印刷物に入ります。柱を校正するには、まず柱がどこと連動しているかを知っておくことが大事です。
ただ、柱が連動する箇所は、章や見出し、目次だけとは限りません。
「他にも同じ箇所があったような気がするんだけど……」という場合には、PDFで検索するのが便利です。ページ数の多い校正や素読みがメインの校正には、今ではPDFが必須です。人の目で探すよりも圧倒的に時間と精度が違ってきます。