校正のスケジュール作成の基本[基準・校正回数・タイミング]

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校正のスケジュール作成の基本[基準・校正回数・タイミング]

校正のスケジュールを作成する上で、基準となる部分・気を付けておきたい箇所を紹介したいと思います。

スケジュール作成にあたっては、社内で校正を行うのか、社外の校正専門会社に依頼すのか、また、社内の場合なら校正者の人数も重要になってきます。他にも、ページ数、納期、本のジャンルなどにより様々なパターンを想定することができます。

全く同じ内容の本であっても、それらの内の一つが変わるだけでも、スケジュールの組み立てがガラリと変わることもあります。

そのため、不確定要素を取り除いた基本的な内容になります。こういう基準で、こういう箇所に気を付けて、スケジュールを作ればいいのかという視点でご覧ください。

1. スケジュール作成の基準となる項目

スケジュールを考えるときにまず何を基準とするか?
どこを中心にスケジュールを立てていくかを決める必要があります。

1. 次のイラストは、書籍を構成する項目です。
 このような項目から本は成り立っています。

  校正のスケジュール作成
【日本エディタースクール出版部_本の知識を参考に作成】

この項目から、書籍に限らず、雑誌やカタログなどにも汎用性のある項目を選んでスケジュール作成について見ていきたいと思います。

2. 項目をピックアップしたものが次になります。「目次・中扉・本文・索引」の4つです。

  校正のスケジュール作成

3. 上記の4つの項目に「表紙・裏表紙・背表紙」などの表紙周りも加えて、次の5つの項目に絞って考えていきたいと思います。

 校正のスケジュール作成

この5つの項目は、どの印刷物でも見られる基本的なものです。イメージも湧きやすいと思います。

これらの項目の内どれがスケジュールの基本軸になるかは、
当然「本文(ほんもん・ほんぶん)」になります。

他の項目はすべて、本文に付随するものです。一つの本の中で、本文の占める割合いが一番大きくなります。そのため、本文のページ数、内容を第一基準として、スケジュールを組み立てていく必要があります。

そして、本文の次に基準にするものが「索引」になります。

・第一基準が「本文」
・第二基準が「索引」 となります。

4. イメージ的にスケジュールを立てる上で重視する割合は次のようになります。

 校正のスケジュール作成

索引について

索引とは次のようなものです。

校正のスケジュール作成
【出典:日本エディタースクール出版部_本の知識】

索引は、小・中学校の教科書の巻末に載っていたので誰もが見たことがあると思います。

この索引がどうして第二基準になるかは、
本文のページ数に比例して、索引の情報量(ページ数)も増減するからです。

目次も本文に比例して増減しますが、索引とは情報量が桁違いです。

中扉は、本文が各章(各カテゴリー)にわかれる場合、その先頭に付いて章の内容を説明するものです。中扉に何を載せるか次第なので、本文ページに必ずしも連動するとは限りません。情報量が多い場合もあれば、少ない場合もあります。イラストや画像だけなど簡単な要素しか入らないケースもあります。

表紙周りはページ数が固定なので、本文量が増えても表紙の情報量が増えるということはありません。表紙周りは、独立したものと考えておいたほうがいいです。

[索引が第二基準になる理由]

この索引が厄介なのは、一種類とは限らないことです。次のような、50音別に用語だけを抜き出したものは、オーソドックスでよく見られるものです。

校正のスケジュール作成

索引の種類は、カタログ系になると、読者の利便性を考慮して色々な角度から検索できるようにしています。

50音順に加えて、用途別やシリーズ別などの索引があるものもあります。BtoB系の製品カタログなどでは、製品名順、品番順、価格帯などの索引が数種類入ることも珍しくありません。また、索引は巻末だけに掲載されるとは限りません。先頭ページにも載ることがあります。利便性を考えて、先頭・後方の両方に掲載されることもあります。

さらに種類だけでなく検索方法も重要になってきます。

たとえば、三点リーダーを調べるのに、「三点リーダー」でも「リーダー」でも「点線」からでも検索できるようにしている場合です。一つの語句に対して、複数の語句から検索が考えられる場合は、通常の校正よりも時間がかかります。スケジュールを作成する上での大切な要素です。

索引に関しては、種類だけでなく、検索方法も確認しておく必要があります。
場合によっては、本文以上に面倒な作業になることもあります。

2. 校正のスケジュール

前述の5項目に絞って、校正回数が3回あるとしてスケジュールを見ていきたいと思います。

  1. 表紙周り
  2. 目次
  3. 中扉
  4. 本文
  5. 索引

  校正回数 … 3回

スケジュールの概要

校正のスケジュール作成
※日付はダミーです。わかりやすくするため休日は除いています。
※初校・再校は、校正者のする校正のことを指しています。

初校

初校は、本文を中心に動かします。

スケジュール作成の中心は本文となるので、本文の情報が定まらないと作業が進められない、もしくは進められたとしても効率が悪い項目は、次の工程に回すことになります。

中扉は、掲載情報が本文と連動しているなら、になります。
(※中扉に本文の見出しなどが載る場合)

本文の情報と連動しないなら、本文と同時にで進めます。
(※中扉にイラストや画像などの場合)

再校

本文の校正終了後、索引や目次を動かします。要は、本文の内容が定まってから校正したほうが効率のよいページです。

本文と連動するページを、本文の内容が変わる度に確認していては効率が悪くなるばかりです。

急ぎの場合は、索引や目次を初校の後にして、再校で修正があった箇所を追加で校正していくという方法もありですが、あまりいいやり方とは言えません。

表紙

表紙周りに関しては、校正期間を仮置きしています。表紙は「本の顔」にあたる部分なので、都度校正するのがベストです。ページは少ないですが、重要なページになるのでダブルチェックは必須です。

校正のスケジュール表に関しては、次の検索結果から確認できます。
> 校正 スケジュール (※Googleの検索結果に飛びます)

どれも概要だけの紹介ですが、イメージだけでもつかめると思います。

以上は、本の構成内容から見てきましたが、5つの項目以外にもスケジュール作成で気を付けておきたいことがあります。

注意しておきたいのは、次の2点です。

参照ノンブル」と「本文内で連動する箇所

1. 参照ノンブル

参照ノンブルは、飛ばしノンブル・誘導ノンブル・ ページジャンプ、色々な呼び方を耳にしますが、次のようなものです。

校正のスケジュール作成

本文中に、参照ノンブルがあれば、校正者は該当ページに正しく振られているか確認する必要があります。上の例では、「あじろとじ」が、「7ページ」にちゃんと掲載されているかを確認します。これも、本文が定まらないと校正できません。

詳細なページネーションがあるなら、それで確認もできますが、制作途中で他のページに移動したり削除されたりすることがあります。制作初期のページネーションとは違っていることもあるので注意が必要です。

この参照ノンブルで注意すべきは、「量」と「場所」になります。本文中にこの参照ノンブルがどれぐらい出てくるか、どの場所に出てくるかによって大変さが違ってきます。

量が多くても、決まった箇所にしか出現しないなら大して面倒でもありません

たとえば、参照ノンブルが、
ページ下部の注釈文にしか入らないなどの場合です。

一方、量が多くて本文中に点在しているなら大変になってきます。検索は、PDFがあれば容易にできますが、確認は一つ一つしていかないといけません。決まったところにあるわけでないので、視点移動が大変になり時間がかかります。

2. 本文内で連動している箇所

本文内で、情報が連動している箇所です。

たとえば、
前半ページで製品の特徴などを紹介していて、後半ページでその詳細を説明している場合なら、その整合性も確認しないといけません。

単純に本文のページ数だけでなく、どことどこが連動しているかの確認も大切になってきます。連動箇所が多ければ多いほど、確認に時間がかかり、その分スケジュールにも影響してきます。

スケジュール作成の致命的ミス

スケジュールの作成での一番致命的なミスは、祝日の入れ忘れです。作業日だと見込んでいた日が、使えないことになるので、スケジュールを練り直す必要がでてきます。意外とこの手の凡ミスは多いです。

特に、2019年や2021年のように祝日が確定しなかったり移動したりするようなことが、今後もありえるので注意が必要です。

3. 作業分解と組み立て

ここからは、作業単位に絞って見ていきたいと思います。作業の分解と組み立てです。これも、スケジュール作成には欠かせない要素です。

1. 次の段取りは、修正作業(オペレーター)と校正作業(校正者)だけに絞った例です。

校正のスケジュール作成
このような工程表は、1人で修正作業と校正作業をするならありえますが、複数人のオペレーターや校正者がいる場合にはありえません。

なぜなら、修正作業をしている間に、校正者の待ち時間が発生するからです。逆も同様です。
そのため、作業を分解して進めていくことになります。

2. 仮に三分割して、組み立て直していきます。

校正のスケジュール作成

3. 修正側と校正側でアキ時間がなくなるように組み立てていきます。単純に、交互に並べていくと次のようになります。

校正のスケジュール作成

ただ、6日目の「校正2」の作業は、次のように5日目に仕上がります。

校正のスケジュール作成

4. 完全に待ち時間をなくすことは難しいですが、結果的には次のようになります。
校正のスケジュール作成

想定上は、5日で終わることになります。

実際には、一つ本の制作にオペレーターや校正者以外にも多くの業種が絡まるので、このように単純にはいきませんが、作業分解と組み立ての考え方は、スケジュール作成だけでなく、色々な場面で大切になってきます。

ゆとりを持った作業日数を確保することが理想ですが、そうはいかないことも多いです。常に思うような日数での校正は叶わないので、分解する・組み立てるということが必要となってきます。

このような考え方は、どの業界にいてもスケジュールを引くときには大切になってきます。

また、均等に作業を分解することもできません。分解することが常にいいとも限りません。分解することで、かえって効率が悪くなるような場合もあります。作業の見極めが大切になってきます。

作業分解が必要になる場合は、分けていい項目と通しで校正したほうがいい項目を、知っておかないとできません。

POINT

作業分解と組み立ては、作業日数を短縮するために無理やりスケジュールを詰め込むということではなく、仕事の段取りを最適にした結果、人員の空き時間がなくなり日数が短縮されるというのが理想です。

4. スケジュールの注意点

スケジュールは一度作成したら終わりではなく、進捗の確認も必要になってきます。常に予定通りに進むというものではありません。

実際には、ページが没になった、差し替えが発生する、やり直しということでの遅延があります。また、台風や雪の影響で電車が止まり、出社時間が遅れて、作業が遅れるといったことも考えられます。他にも、作業者が体調不良や病気で休むといったことなどもありえます。

スケジュールを遅延させる不確定要素は色々と考えるとキリがありません。

この辺りのことは、些細な点まで考えすぎるとかえってストレスになるだけなので、頭の片隅に入れておく程度で大丈夫です。ただ、万一のときの対策だけは念のために考えておく必要があります。

具体的には次のような手段が考えられます。

  • スケジュールを再調整する(してもらう)
  • 部分的に外部の校正会社に依頼する
  • 作業の一部を次の工程に回す
  • 人員を増やす
  • 残業する

この中で「残業する」というのも使える手段の一つですが、常にこの手段に頼るのは賢明とは言えません。

小さな案件なら力業で何とかなりますが、大きな物件だと小さなひずみが色々な箇所に影響してきます。少しの残業でも、その積み重ねが体調不良を呼び起こすこともあります。

万一に備えて、頼れる校正会社やフリーランスの方を確保しておくと安心材料が増えます。

5. 理想の校正回数・現実的な校正回数

特定の案件に対して、「最適な校正回数って何回だろう?」と疑問に感じた場合、身近にいる校正者や校正会社に相談すれば教えてくれるはずです。

漠然とベストな校正回数を考えた場合、そもそも校正に入れるのは正しく制作されているかなので、修正作業が発生するごとに校正を入れるのが理想です。

そういう視点で考えると、理想的な校正回数は修正作業が発生するごとになります。

でも現実的にはそうもいきません。

一般的には、初校・再校・三校までの3回の認識が強いです。3回の想定で見積りを出すことも多いです。そのため、3回を校正回数の軸としてスケジュールを引き、あとは予備として設けるのが最善だと思います。

ただこの3回は、校正を3回通したら大丈夫ということではなく、3回で仕上げられるように段取りすることが前提です。そのために、依頼する側も、依頼される側も準備しておく(段取りを考えておく)必要があります。

また校正回数を2回とすることも多いです。そのため、3回もしくは2回で仕上げられるように設計しておけば、大抵はうまく行きます。

6. 理想のタイミング・現実的なタイミング

校正のタイミングは、納期がタイトなら、納期から逆算してタイミングを計るしかありません。

印刷物なら、印刷・製本・出荷など色々な工程があり、校正する時間が限られてきます。ピンポイントでこの数日間でやるしかないという場面もあります。

そのときは、タイミングも回数も関係なく、その期間でできるように算段するしかありません。

そのような状況を除けば、理想の校正を入れるタイミングは、情報が定まってからになります。ですが、情報が定まらないことはしばしばあります。

情報が定まらないとは、次のような状態にあるときです。

  • ダミーの箇所が多い(未作成ページが多い)
  • ページが入れ替わる可能性があるかもしれない
  • 文章がリライトされるかも
  • 商品情報が追加されるかも
  • 追加修正が多いかも
  • 撮影画像が間に合っていない
  • イラストが作成中  etc.

以上のようなことは、大なり小なりどうのような現場でも起こりえます。
そこで、校正に入れるタイミングを考える目安として、次の2つが考えられます。

1つめの目安

本文情報の7~8割ぐらいの内容が定まってから校正に入れる。

割合は感覚的な数値になりますが、あまり精度が悪い状態で見切り発車すると、同じ箇所をもう一度見ないといけないなど二度手間になることがあります。また、先走って校正しても、内容が二転三転したときに校正した意味がなくなる場合もあります。

目先の校正だけを見ていると、トータルで見た場合効率が悪いということになります。

かといって、初校を飛ばして再校のタイミングで初校と再校の分を一気にやろうとしても、負担が掛かるだけです。後々の工程も考えて、慎重に考えないとリカバリーがきかないこともあります。

そのため、第一の目安としては、本文情報が7~8割整ってからとなります。

2つめの目安

情報が定まるまでといっても、修正量が多く原稿量がドンドン増えることも考えられます。
原稿の修正履歴が多くなるようなら、校正用の原稿が3つを越えた時点で校正に入れるタイミングとします。

原稿量の増加は、ミスを誘発させる原因になります。

また原稿が多くなると、次のような校正側のデメリットもあります。
・原稿の読み間違えが増える
・読み解くのに時間が掛かる
・全体的に作業の進みが悪くなる
・苦手な人がでてくる
(※原稿とゲラの一対一の校正はできても、複数の原稿となると手間取るということです)

校正のスケジュールの作成のまとめ

1. 基準となるページを考える
 1. 本文
 2. 索引
 3. 参照ノンブル
  本文内で連動する箇所 など

2. 分割と組み立ての視点で考える

3. 校正回数
 3回もしくは2回
  ※この回数でできるように設計する

4. 校正を入れるタイミング
 本文情報が7~8割定まってから
 もしくは、
 原稿の修正履歴が3つを越えたら

以上、基本的な説明になってしまいましたが、考え方としては、その校正物の核となる部分を軸にして、そこから連動する箇所はないか、どこが時間がかかるかを探っていけば、何から優先すべきかが自然とわかってきます。そういう視点で考えていけば、スケジュール作成もラクになってきます。


以下は、本の構成項目についての用語説明になります。
スケジュール作成には、特に必要ありません。

前付(まえづけ)
書籍の本文の前に付けられる。扉・口絵・序文・凡例・目次などの総称。普通は本文と組体裁が異なる。ノンブルは前付から通す場合と、前付と本文と別のノンブルを付ける場合がある。

本文(ほんもん・ほんぶん)
① 書籍の前付・後付を除く主要記事の部分。
② 見出し・リード・注・図表などを除く記事の中身の部分。

後付(あとつけ)
書籍の本文の後に加える付録・付表・付図・索引・あとがき・奥付などの総称。本文と通しノンブルにすることが多い。

【出典:ダヴィッド社『編集校正小辞典』】