読む人によって意味が変わる⁉日本語の曖昧な表現パターン[同じ文なのに意味が変わる例]

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読む人によって意味が変わる⁉日本語の曖昧な表現パターン[同じ文なのに意味が変わる例]

同じ文章なのに、読む人によって受け取り方が変わってしまう、そんな曖昧な表現があります。普段何気なく使っている日本語には、一つの文が複数の意味に読めてしまう言い回しが少なくありません。自分では正確に書いたつもりでも、「誰が」「何を」「どこまで修飾しているのか」がはっきりしていないと、読み手に違う意味で伝わってしまうことがあります。

こうした曖昧な表現は、ビジネス文書、メール、SNSなど、さまざまな場面で誤解の原因になります。とくに日本語は、語順や読点、助詞の使い方によって印象や意味が変わります。

この記事では、読み手によって解釈がわかれやすい代表的な例文を紹介します。

1.「どの人・物についての説明?」名詞にかかる言葉がわかりにくい表現

人や物の特徴(様子、状態、所有など)が、文中のどの名詞(誰・何、あるいはどこまで)に当てはまるかが複数解釈できるパターンです。

①「赤い帽子の少女と母」

⇒ 赤い帽子をかぶっているのは誰か?

・解釈1 【赤い帽子の少女】と、母(帽子をかぶっているのは少女だけ)
・解釈2 赤い帽子の、【少女と母】(2人とも帽子をかぶっている)

②「眼鏡をかけた兄と弟が来た」

⇒ 眼鏡をかけているのは誰か?

・解釈1 【眼鏡をかけた兄】と、弟が来た(眼鏡をかけているのは兄だけ)
・解釈2 眼鏡をかけた、【兄と弟】が来た(2人とも眼鏡をかけている)

③「背の高い父と息子」

⇒ 背が高いのは誰か?

・解釈1 【背の高い父】と、息子(背が高いのは父だけ)
・解釈2 背の高い、【父と息子】(2人とも背が高い)

④「甘いパンとケーキを買った」

⇒ 甘いのはどちらか?

・解釈1 【甘いパン】と、ケーキを買った(甘いのはパンだけ)
・解釈2 甘い、【パンとケーキ】を買った(パンもケーキも甘い)

⑤「彼の友人の車と自転車」

⇒ 彼の友人の所有物はどちらか?

・解釈1 【彼の友人の車】と、自転車(友人のものは車だけ)
・解釈2 彼の友人の、【車と自転車】(車も自転車も友人のもの)

⑥「目の青い人形を抱く少女」

⇒ 目が青いのは誰(何)か?

・解釈1 【目の青い人形】を抱く少女(人形の目が青い)
・解釈2 目の青い、【人形を抱く少女】(少女の目が青い)

2.「どの行動についての説明?」動作にかかる言葉がわかりにくい表現

時間、場所、状態などの言葉が、文中の「2つの動作」のどちらに結びつくかによって、全体の意味や誰の行動かが変わってしまうパターンです。

①「私は話しながら歩く友人に手を振った」

⇒ 話しているのは誰か?

・解釈1 私は【話しながら】、歩く友人に手を振った(私が話している)
・解釈2 私は、【話しながら歩く友人】に手を振った(友人が話している)

②「先生は笑顔で挨拶する生徒を見つめていた」

⇒ 笑顔なのは誰か?

・解釈1 先生は【笑顔で】、挨拶する生徒を見つめていた(先生が笑顔)
・解釈2 先生は、【笑顔で挨拶する生徒】を見つめていた(生徒が笑顔)

③「泣きながら走る弟を追いかけた」

⇒ 泣いているのは誰か?

・解釈1 【泣きながら】、走る弟を追いかけた(自分が泣いている)
・解釈2 【泣きながら走る弟】を追いかけた(弟が泣いている)

④「朝に届いた荷物を運ぶ父」

⇒「朝」なのは「届いた時間」か「運ぶ時間」か?

・解釈1 【朝に届いた】荷物を運ぶ父(荷物が届いたのが朝)
・解釈2 朝に、【届いた荷物を運ぶ】父(父が荷物を運ぶのが朝)

⑤「東京で買ったカメラを落とした」

⇒ 東京で起きたのは「買った」ことか「落とした」ことか?

・解釈1 【東京で買った】カメラを落とした(カメラを買った場所が東京)
・解釈2 東京で、【買ったカメラを落とした】(カメラを落とした場所が東京)

3.「何と比べているの?」比較や比喩の対象がわかりにくい表現

「〜より」「〜のように」などの基準が、文中のどの部分と対比されているかが曖昧なパターンです。

①「彼は彼女よりも猫を愛している」

⇒ 比較されているのは誰と誰か?

・解釈1 彼は、【彼女よりも猫を】愛している(彼にとって、彼女より猫のほうが大事)
・解釈2 【彼は彼女よりも】、猫を愛している(彼女の猫への愛よりも、彼の猫への愛のほうが大きい)

②「私は彼のように英語を話せない」

⇒ 彼は英語を話せるのか?

・解釈1 私は、【彼のように】英語を話せない(彼は英語を話せるが、私は話せない)
・解釈2 私は【彼のように】、英語を話せない(彼も英語を話せないし、私も話せない)

おわりに

曖昧さは、修飾語がどこまでかかるのか、主語や目的語がどう結びつくのか、何を基準に比較しているのかといった、さまざまな場面で生まれます。こうした意味の揺れは、誤解のもとになりますが、見方を変えれば、日本語ならではの多様さや言葉の面白さでもあります。

そのため、伝えたい内容を正確に届けたいときには、語順を入れ替えたり、助詞や語句を補ったり、必要に応じて言い換えたりすることが大切です。一方で、こうした曖昧さに目を向けることで、日本語の表現がいかに豊かで奥深いかにも気づけます。意味の広がりを楽しみつつ、場面に応じてわかりやすい表現を選ぶことが、誤解の少ない明確な文章につながります。