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校正・校閲の依頼で失敗しないコツ!校正者とのやり取りをスムーズにする方法
校正を依頼しているクライアントの中で、自分自身も校正者として仕事をした経験がある人はどのくらいいるでしょうか。おそらくかなり少数派だと思われます。
つまり大半のクライアントは、校正者がどのように依頼されると受けやすいと感じるか、逆にどのような依頼だとやりづらく感じるか、あまり知らないまま校正の依頼を出しています。
この記事では、校正者側がやりづらいと感じる依頼のポイントについて解説します。依頼をする際はこうした点を意識すると、校正者とのやり取りがスムーズになるはずです。
1. 案件の基本的な情報が不明
「校正を依頼したいのですが、○月は空いていますか?」とだけ聞かれても、校正者は困ってしまいます。上旬なら空いているが下旬は埋まっている、短いものであれば受けられるかもしれないがボリュームのあるものは難しいなど、その時々で事情が異なり、もっと詳細な情報がなければ判断がつかないからです。
校正者が案件を受けられるかどうか判断するには、以下のような情報が必要です。
・大まかな内容(ジャンルなど)
・ボリューム(ページ数または字数)
・スケジュール(校正期間)
・作業内容(素読み、ファクトチェックなど)
・校正料(文字単価、ページ単価など)
校正依頼時にはまだ確定していない事項もあるかもしれませんが、それであっても決まっている範囲でなるべく詳しく伝えてもらえると助かります。また、詳細な情報があることで受けるかどうかの判断が変わるケースもあるので、依頼側にもメリットがあります。
たとえば、ページ数とスケジュールだけを聞くと「それは時間的に厳しいので受けられない」と断る判断をする案件でも、「イラストや白ページが多いので、実質的なページ数はこの程度になる」という情報もあれば「それなら受けられるかもしれない」と前向きに検討できるなどです。
2. 作業内容が曖昧
校正者に「校正をしてください」と一言依頼すれば、想定通りの校正ゲラが納品されると思っている依頼者もいるかもしれません。
しかし「校正」にはさまざまな作業が含まれるため、それだけでは不十分です。それ以上のすり合わせをせず作業を始めてしまった場合、依頼側のイメージしていた「校正」と、校正者の考える「校正」の作業内容が食い違い、想定と異なる仕上がりになってしまう可能性があります。後から「ここも見てくれると思ったのに」「ここはチェックしなくてよかったのに」などと言われても、校正者としては「それなら初めからそう言ってほしい」としか言えません。
どんな仕事でも同じですが、依頼する際は何をどこまでやってもらいたいのか明確にすることが必要です。まずは自分の中で、求める「校正」の内容を整理しましょう。
・誤字脱字や文法など、日本語的なチェックをしてほしい
・媒体の表記ルールがあるので、それにそろえてほしい
・事実確認をしてほしい(ウェブで調べられる範囲でよい)
・引用部分は出典を渡すので、それと突き合わせてチェックしてほしい
このように要望を明確にし、それをきちんと伝えて依頼すれば、校正ゲラの仕上がりが想定に近いものになるはずです。
3. スケジュールが変更になった際に連絡がない
スケジュールが当初予告されていた日程から変わった際、連絡がないと校正者は非常に困ります。ただ、これについて誤解していただきたくないのは、スケジュールが変わること自体が困るというわけではないことです。
さまざまな事情で予定通り進行しないことがあるのは校正者のほうも理解していますし、ある程度ずれる可能性は織り込み済みです。困るのは、ずれた場合に連絡をもらえないことです。「○日遅れそうです」「予定より早く、○日に渡せそうです」などと知らせてさえもらえれば、校正者側で持っている案件を調整したり、あるいは依頼側と相談して締め切りを延ばしたりと対処ができます。
場合によっては、遅れることは確定しているが何日くらい遅れるかはまだわからない、というようなこともあるでしょう。そうした場合も、遅れる見込みだということだけでも伝えておくとよいです。
最悪なのは、開始予定日になっても音沙汰がなく、校正者側から問い合わせなければならないケースです。世の中のすべての仕事と同様に、校正に関しても「報連相」が重要です。それができていないクライアントは、校正者からの信頼を静かに失っています。
4. 校正料の提示がない
校正の料金には、「相場」と言えるものがありません。校正の専門会社やプロダクション等は、ホームページに料金表を載せているところもありますが、その金額にはかなりの幅があります。また、クライアント側の「校正にいくら出せるか」という予算感もまちまちなので、初めて依頼をしてきたクライアントの場合、どのくらいの金額を想定しているのか校正者側では見当がつきません。
お互い仕事として発注・受注している以上、予算感があまりにもかけ離れていると取引するのは難しいです。作業の詳細などを詰めてから「その金額では受けられません」と破談になってしまうとお互いの無駄になるので、依頼時は早い段階で校正料の目安を提示することをおすすめします。
おわりに
以上、校正者としてやりづらいと感じる依頼のポイントを紹介しました。校正の仕事を依頼する際には、これらのポイントを意識しておくと、校正者も快く仕事を引き受けてくれるはずです。
校正者も人間なので、条件が同等であれば、スムーズに進められるクライアントの案件を優先して受ける傾向があります。この記事で解説した「やりづらくなるポイント」を避け、校正者と良好な関係を築くことで、校正の依頼を受けてもらいやすくなるはずです。