
「取り急ぎ」はどう使う?いつ使う?|失礼にならない使い方と言い換え例
「取り急ぎ」は、詳しい説明や形式を整えることよりも、相手に必要な情報を早く伝えることを優先する表現です。
資料の受領、障害や予定変更、結果の速報など、連絡の速さを優先すべき場面で使います。ただし、単に文章を短くする目的で使うと、「説明を省略している」「そっけない」と受け取られることがあります。
この記事では、「取り急ぎ」の意味と使い方、使用に適している場面と避けたい場面、丁寧な言い換え例を紹介します。
1.「取り急ぎ」の意味
「取り急ぎ」は、急いで伝える必要がある内容を、まず先に伝える表現です。たとえば、システム障害が発生した場合、原因や復旧時刻が分からなくても、障害が起きている事実は早く知らせる必要があります。
【例】
「本日14時ごろ、社内システムで接続障害が発生しました。原因は調査中です。取り急ぎ、ご報告申し上げます。」
「取り急ぎ」は第一報によく使われますが、必ずしも後日の続報を前提とする表現ではありません。ただし、相手に続報があると思わせる可能性もあるため、その連絡だけで用件が完結する場合は、「取り急ぎ」を使用する必要があるかを検討しましょう。
2.「取り急ぎ」の基本的な使い方
「取り急ぎ」は、主に次のような形で使います。
「取り急ぎ、ご連絡申し上げます。」
「取り急ぎ、ご報告申し上げます。」
「取り急ぎ、お礼申し上げます。」
「取り急ぎ、ご連絡いたします。」
「取り急ぎ、ご報告いたします。」
「取り急ぎ、お礼いたします。」
「取り急ぎ、ご連絡まで」も一般的ですが、「ご連絡申し上げます」などを省略した慣用表現です。社内の同僚や日常的にやり取りしている相手には使えますが、顧客や目上の人には、省略せず「取り急ぎ、ご連絡申し上げます」などと書くほうが丁寧です。
【例 ①】
「会議室を3階の第2会議室に変更しました。取り急ぎ、ご連絡申し上げます。」
「取り急ぎ」は、文末に置くほか、次のように文頭に置くこともできます。冒頭に置くと、その連絡が速報であることを最初に伝えられます。
【例 ②】
「取り急ぎ、会議室変更についてご連絡申し上げます。会議室は3階の第2会議室です。」
3.「取り急ぎ」が適している場面
① 受領を早く知らせるとき
資料などを受け取ったものの、内容の確認に時間がかかる場合に使えます。
【例】
「企画書を確かに受領いたしました。内容を確認のうえ、明日中にご返信いたします。取り急ぎ、ご連絡申し上げます。」
② 障害や予定変更を知らせるとき
障害、遅延、欠席、会議延期など、詳細が決まる前に事実を伝える必要がある場合にも適しています。
【例】
「交通機関の運休に伴い、本日の会議を延期いたします。新しい日程は改めてお知らせいたします。取り急ぎ、ご連絡申し上げます。」
③ 対応状況を知らせるとき
問い合わせへの回答に時間がかかる場合は、確認中であることを先に伝えると、相手の不安を軽減できます。
【例】
「お問い合わせの件は、担当部署で確認中です。明日午前中までに回答いたします。取り急ぎ、ご連絡申し上げます。」
④ 結果を速報するとき
正式な通知や詳細な報告に先立ち、結果だけを早く知らせる場合にも使えます。
【例】
「先ほど申請が承認されました。正式なご案内に先立ち、取り急ぎご報告申し上げます。」
4.「取り急ぎ」が不向きな場面|「取り急ぎ」を使わない
① 急いで知らせる必要がないとき
定例連絡や通常の案内では、「取り急ぎ」を使わず、用件をそのまま伝えるほうが自然です。
【例】
「会議の日程が決まりましたので、ご連絡いたします。」
急ぐ理由がない連絡に「取り急ぎ」を付けると、なぜ説明を省略しているのかが分かりにくくなります。
② 詳細な説明が求められる正式な報告や回答をするとき
「取り急ぎ」は、第一報など、詳細が未確定の段階で送る連絡に適した表現です。経緯、根拠、影響範囲などを含む正式な報告や、詳しい説明を求められている回答には向きません。
【例】
「本件の経緯、影響範囲および今後の対応をご報告いたします。」
情報がそろう前に第一報を送る場合は、現時点で判明している内容と今後の連絡予定を明記します。
③ 重大な謝罪をするとき
事故、損失、納期遅延、情報漏えいなどについて「取り急ぎお詫びまで」と書くと、謝罪を簡単に済ませた印象を与えかねません。
第一報であっても、判明している事実、影響、対応状況、次回の連絡時期を具体的に伝えます。なお、事故や情報漏えいなど重大性の高い案件では、組織の規程や相手との取り決めに従い、電話やメールなど適切な手段で速やかに連絡します。
【例】
「このたびは多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。現在、原因と影響範囲を調査しております。本日○時までに、改めて状況をご報告いたします。」
④ 重要な依頼をするとき
「取り急ぎご対応ください」は、送り手の都合で相手を急かすように聞こえることがあります。急ぎの依頼では、急ぐ理由と期限を具体的に示します。
【例】
「急なお願いで恐縮ですが、会議資料への反映が必要なため、本日○時までにご回答いただけますでしょうか。」
契約、金額、重要な意思決定に関わる依頼では、背景や判断材料も省略しないことが重要です。
⑤ 初対面の相手や重要な取引先に連絡するとき
「取り急ぎ」には、形式や説明を一部省略するニュアンスがあります。初めて連絡する相手や重要な取引先には、省略のない表現を選ぶほうが安全です。
【例】
「まずは受領した旨をご連絡申し上げます。内容を確認のうえ、明日中に改めて回答いたします。」
5.「取り急ぎご連絡まで」は失礼?
「取り急ぎご連絡まで」は誤った表現ではありませんが、「まで」で文を終える省略表現です。社内の同僚や日常的にやり取りする相手には使えても、顧客や目上の人には、ぶっきらぼうに感じられることがあります。
顧客や目上の人には、次のように省略せずに書くと丁寧です。
【例】
「会議室を3階の第2会議室に変更しました。取り急ぎ、ご連絡申し上げます。」
さらに改まった表現にする場合は、「取り急ぎ」を使わず、次のように言い換えられます。
【例】
「まずは会議室変更の旨、ご連絡申し上げます。」
失礼に当たるかどうかは、相手との関係、連絡内容、必要な情報が含まれているかによって判断します。
6.「取り急ぎお礼まで」は失礼?
「取り急ぎお礼まで」は、早く感謝を伝えたい場合に使えます。ただし、この一文だけでは、感謝を簡単に済ませた印象を与えることがあります。何に対するお礼なのか、相手の対応によってどのように助かったのかを具体的に伝えましょう。
【例】
「早速ご対応いただき、ありがとうございます。おかげさまで、予定どおり手続きを進められます。取り急ぎ、お礼申し上げます。」
なお、「取り急ぎ」は必ずしも後日の連絡を前提とする表現ではありません。用件がこの連絡だけで完結している場合は、改めて連絡する必要はありません。
7.「取り急ぎ」を失礼なく使うポイント
「取り急ぎ」を使うときは、現時点で判明している事実を伝えます。続報がある場合は次回の連絡時期を示し、続報が不要な場合は用件が完結することが分かるように書きます。
【続報の予定を伝える例】
「詳細は、明日午前中までに改めてご報告いたします。」
「現在確認中です。本日17時までに進捗をご報告いたします。」
可能であれば「明日午前中」「本日17時まで」など、具体的な時期を示します。相手が次の連絡を待つ目安を持てるため、確認の手間や不安を減らせます。
予告した時期までに情報がそろわない場合も、その時点で「まだ確認中である」旨を連絡するようにします。
8.「取り急ぎ」を丁寧な表現へ言い換え
「取り急ぎ」が軽く聞こえそうな場合は、連絡の目的に合わせて言い換えます。
① 受領を知らせる場合
●「取り急ぎ」を使用
1.「取り急ぎ、受領した旨をご連絡申し上げます。」
2.「確かに受領いたしました。取り急ぎ、ご連絡いたします。」
3.「確かに受領いたしました。取り急ぎ、ご連絡申し上げます。内容を確認のうえ、改めて回答いたします。」
↓
●「取り急ぎ」を使用しない表現
1.「まずは受領のご連絡を申し上げます。」
2.「確かに受領いたしましたので、ご連絡いたします。」
3.「確かに受領いたしました。内容を確認のうえ、改めて回答いたします。」
② 結果や状況を知らせる場合
●「取り急ぎ」を使用
1.「取り急ぎ、結果のみご報告申し上げます。」
2.「正式なご案内に先立ち、取り急ぎ結果をご報告いたします。」
3.「詳細は確認中ですが、取り急ぎ状況を共有いたします。」
4.「取り急ぎ、第一報としてご連絡いたします。」
↓
●「取り急ぎ」を使用しない表現
1.「まずは結果のみご報告申し上げます。」
2.「正式なご案内に先立ち、結果をご報告いたします。」
3.「詳細は確認中ですが、まずは状況を共有いたします。」
4.「緊急性を考慮し、第一報としてご連絡いたします。」
重大な問題では、「第一報として」と明示すると、最終報告ではないことを伝えられます。
③ 感謝を伝える場合
●「取り急ぎ」を使用
1.「取り急ぎ、メールにてお礼申し上げます。」
2.「取り急ぎ、お礼申し上げます。」
3.「取り急ぎ、お礼を申し上げたくご連絡いたしました。」
↓
●「取り急ぎ」を使用しない表現
1.「まずはメールにてお礼申し上げます。」
2.「略儀ながら、メールにてお礼申し上げます。」
3.「まずはお礼を申し上げたく、ご連絡いたしました。」
「略儀ながら」はやや硬い表現のため、日常的な社内メールでは使わないほうが自然な場合があります。
おわりに
「取り急ぎ」は、詳しい説明や形式よりも連絡の速さを優先すべき場面で使う表現です。資料の受領、障害や予定変更、結果の速報などに適しています。一方、急ぐ必要のない連絡、正式な報告、重大な謝罪、重要な依頼には向きません。
使用するときは必要な情報を明記し、続報がある場合は今後の対応や連絡時期も示しましょう。「取り急ぎ」は説明を省くためではなく、相手に必要な情報を早く届けるための表現です。








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