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全角・半角をアケル指示はどれを使う?[スペース・空白・アキ]
※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
1:スペース・空白・アキ
スペース、空白、アキ。
どれも同じことを指していて、よく使われるものです。
これらの指示があると、全角空けるもしくは他とのバランスを見て空けることが多いと思います。
『この中でどれが一番、指示を入れるのに適切か?』
意味はどれも通じるので、その点では問題ないと思います。ですが、簡潔明瞭に伝えるという校正記号の成り立ちからすれば「アキ」が一番適切です。
校正記号表でも「アキ」の指示が多く使用されていますので、校正記号を知っている人にとっては馴染み深いものです。おまけに、スペースや空白よりも画数が少なく簡潔です。
「スペース」・「空白」・「アキ」の指示は、
「アキ」に統一しておく方がよいでしょう。
だからといって、関与者で「スペース」や「空白」が使用され、それが浸透しているのならわざわざ変える必要もありません。
校正記号は何よりも伝わることが大切です。簡潔であっても、相手に誤解を与えたり意味が伝わらなければ何の意味もありません。
一つの現場で、
・編集者は、スペース
・進行管理は、空白
・校正者は、アキ
と指示を入れているのが一番ダメな例です。
関与者では、必ず校正記号を統一しましょう。
2:全角アキの校正記号
▼ 全角をアケル指示
・全角を表す記号の四角(□)を入れる。もしくは、「全角」の赤字を入れます。
※「スペースを入れる」「空白を入れる」「1マス空ける」「1字あける」などもこの指示で大丈夫です。
3:二分アキ(半角アキ)の校正記号
▼ 半角をアケル指示
・「二分」の赤字を入れます。読みは「にぶん」もしくは「にぶ」になります。
※「半角スペースを入れる」「二分アキ」「半角空ける」などもこの指示で大丈夫です。
(二分と言われるのは、半角は全角の二分の一だからです。二分は、全角の50%。四分は全角の25%の幅になります)
ただ、実際は「二分」の代わりに「半角」を使用しても伝わります。
▼ たまに、半角の指示を三角マーク(△)で代用しているのを見かけます。
たとえば、スラッシュの半角・全角を指示で入れる校正記号は下のようになります。半角・全角の区別は、四角の大きさを変えて表わします。左が半角、右が全角です。
ここで、より明確に半角・全角の区別がつくように半角の上に「△」を入れる場合があります。
この「△」の指示は、校正記号表に載っていません。校正記号表で「△」は「複数箇所を同一文字に直す指示」として用いられます。
ですが、半角の指示を入れるときに「△」を付けることは珍しいともいえません。
由来は定かではありませんが、半角ダーシを入れる記号で△が使われているので、そこから派生したのかもしれません。もしかしたら、何らかの業界では有名な記号ということもありえます。
ただ、この半角を「△」で表す指示は、
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・人によっては伝わらないことがある
・記号が小さいので見落とす可能性がある
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この2つの理由で使用することは避けた方がいいでしょう。
半角を「△」で代用することがあるということだけ覚えておけば大丈夫です。
4:全角・半角アキの指示は誰にも伝わるように
校正記号は誰が見ても伝わることが大切です。さらに簡潔明瞭であることが望ましいです。
ですが、紙媒体の知識がないクライアント・他業種のクライアント・若手の制作者など、校正記号を知らない方と仕事をすることも多くあると思います。
また、関与者で使っている校正記号にバラつきがある場合は、校正記号を入れるのにも工夫が必要です。
たとえば、
▼ 全角をアケル指示なら「全角アキ二」と指示を入れる方がいいでしょう。
本来、「〇〇アキニ」の指示は、現状空いているスペースを調整するときに使用します。たとえば、半角アキを全角アキに調整する場合などに使います。しかし、下の例でも十分伝わります。
【関連記事】≫ 全角・半角スペースを入れるのポイント解説
「なぜか?」
全角の「□」だと、漢字のくち(口)やカタカナのろ(ロ)と混同する恐れがあるからです。
そのため「全角アキニ」と指示を入れた方が、校正記号がわからない人にも親切です。誰にでも明確に指示内容が伝わります。
▼ 半角をアケル指示なら「半角アキニ」と指示するのがいいでしょう。
出版・印刷業界にいる人なら「二分」でも通じますが、その他の業界の人にとって「二分」は一般的な知識とはいえません。
伝わることを大切にするなら「二分」よりも圧倒的に「半角アキニ」の方が伝わります。コミュニケーションの在り方としては、この方が適切で相応しいものです。
5:相手に伝わる校正記号を心掛ける
第三者に簡潔明瞭に指示を伝えるために生まれたのが校正記号です。ですが、起こった間違いのすべてを校正記号に置き換えて指示を入れることは不可能です。
そのため、校正記号の一定のルールは守りつつも、より相手に伝わる工夫が必要になってきます。
相手に伝わらない恐れのある校正記号には、文字を補足したり図を書き入れたりして、臨機応変に対応していく必要があります。
校正の仕事の幅も、紙、Web、動画さらに色々な領域に広がりつつあります。自分の業界の知識を押し付けるのではなく、相手に合わせることも今後は必要なスキルになってきます。
・校正記号のまとめ ≫ 使いたい赤字を五十音検索
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