校正でミスをしたときに責任が重いのは?[URLとメールアドレス]
次の項目は、雑誌やカタログなどでよく見られる企業情報です。
メールの署名欄なら、これらに加えて部署名や役職、氏名が入ってきます。
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株式会社 校正視点
〒123-4567 東京都新宿区〇〇〇-1-2-3
https://kousei.club
Mail:kousei@shiten.com
Tel:03-3333-〇〇〇〇
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この情報のすべてが重要項目でどれも間違えれば致命的なものです。
今回は、この中でも「URL(ホームページアドレス)」と「メールアドレス」の2つに絞って、間違えたときの責任の重さを考えていきたいと思います。
間違っていた場合、どちらがより致命的か?
もちろん、どちらも間違えないことが前提ですが、大きなクレームになる可能性があるのは……
1. URL(ホームページアドレス)
URLは、クライアントから支給される原稿をもとに作成することがあります。また、実際にその企業のWebサイトを開いてアドレスをコピーして作ることや、頻度は少ないですが手入力で作成することもあります。
URLを構成するアルファベットの中には、企業名などが英語で表記されていることも多いです。今ご覧になっているこのサイトのURLもそのようになっています。
アドレスは「https://kousei.club」で、
「kousei」の部分が「校正」を表しています。
ヘボン式で表記するなら「u」を入れず「kosei」となりますが、諸事情で「kousei」と表記しています。ただ、「kosei」でも「kousei」でも、どちらの表記もよく見られるものです。特に違和感を抱く方も少ないと思います。
日本語表記をラテン文字表記に転写する際の規則、いわゆるローマ字の複数ある表記法のうち、日本国内および国外で最も広く利用されている方式である。
【出典:Wikipedia_ヘボン式ローマ字】
アルファベット読みになると、2通りの表記がある(「ち」なら『chi』と『ti』など)ため、手入力で作成する際には入力ミスがよく起こります。また誤ってハイフンが入る場合もあります(原因は後述)。
ですが、間違ったままのURLが記載されていても誰にも気づかれずスルーされていることが意外とあります。
恐らくその原因はURLを直接入力することが少ないせいだと思います。
ご自身の体験に置き換えてみてください。
雑誌やカタログを見ていて、もっと詳しく知りたいと思った企業や店舗を検索をするとき、たとえURLが記載されていても、googleやyahooで「企業名」や「店名」を入力して検索することが多いと思います。
グルメ雑誌なら『店名』と『地域』で検索すれば、大抵は上位に出てきます。
また、URLの近くには「QRコード」があることも多いです。スマホだと、QRコードを読み込めば簡単にサイトにたどり着けます。
このような理由で、URLが記載されていてもわざわざ直接入力する人はほぼいないです。
そのためURLに間違いがあっても気づかれないことがあります。
URLにハイフンが入る間違い
英語には、単語をハイフンで繋ぐ複合語があります。
たとえば、
editor-in-chief(編集主任) のようなものです。
別の単語の意味を同時に修飾する複数の単語のかたまり
【出典:Wikipedia_ハイフン】
複合語自体は問題ありませんが、「複合語のハイフン」と「自動ハイフネーションのハイフン」が混同されるケースがあります。
自動ハイフネーションは、Wordのような文章ソフトに備わっている機能です。
これは、行末にくる単語が長すぎて区切りが悪くなる場合に、一つの単語を分割して、その間をハイフンでつなぐというものです。
たとえば、
atmosphere という単語が行末にきて、行末が揃わなくなった場合。
■ 行末が揃わず見栄えが悪い
■ ハイフネーション処理で調整
見栄えがよくなるように自動でハイフンが入り改行されます。
(※手動で調整もできます)
このハイフンの意味は、「この単語は次の行にも続きますよ」というものです。複合語のハイフンとは意味が違います。
ここで注意しておきたいのは、行末にホームページアドレスがきた場合です。
https://kousei.club を自動ハイフネーション処理すれば次のようになります。
このときのハイフンを、複合語のハイフンと誤解し見落すケースがあります。当然、ハイフンが入った状態ではサイトにつながりません。
このような場合は、自動ハイフネーションでなく任意設定にしてハイフンを入れないようにします。校正者なら、赤字で「トルツメ」の指示を入れないといけません。
校正時の注意点としては、英単語がハイフネーション処理されて入っていたら、それがURLやメールアドレスの一部でないかをまず確認することです。
2. メールアドレス
メールアドレスもURLと同様に、作成する際はクライアントから支給される原稿(名刺など)を使うのが基本です。
企業代表のメールアドレスなら、その企業のサイトを開いて、企業概要のページからメールアドレスをコピーして作成することもあります。
前述したように、URLの場合は直接入力する人が少ないので、仮に間違っていたとしても気づかれないことが多いです。
一方、メールアドレスは直接入力することが多いので、間違っていた場合にはクレームに直結します。
メールアドレスの一部には、氏名が使われていたり意味を成す単語が使用されていたりすることが多いです。そのためうっかり読み流してしまい見落とすケースがあります。
たとえば、次のような間違いです。
■ 英単語 正:□□□company @gggmail.com
誤:□□□campany @gggmail.com
■ 氏名 正:tokyotaro @gggmail.com
誤:tokyotarou @gggmail.com
一文字でも間違っていれば相手にメールが届きません。
届かないのは、まだ不幸中の幸いです。
エラーで返ってくるので間違いに気づきます。
最悪なのは、間違ったアドレスで誰かに届いてしまった場合です。間違って送ってしまった相手に重要な情報や個人情報を知られる可能性があります。
間違って送った相手が親切な方なら間違いを指摘してくれる可能性もありますが、そうでない場合は、ずっとメールの返信を待ち続けるということになります。
メールアドレスの間違いは、最悪の場合を想定すれば謝罪だけでは済まされません。
おわりに
URLとメールアドレスを間違えたとき、大きな損害をもたらす恐れのあるものはメールアドレスです。
両方のクレームになる可能性は違いますが、両方とも重要項目です。ダブルチェックは必須です。特にメールアドレスは、何重にも校正をかけておくと安心です。