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よくある文章の問題点と解決策:5つのポイントを押さえて文章力UP[例文解説]
文章は書くことがゴールではなく、読んだ人に内容を理解してもらい、自分の望むアクションを取ってもらうことが本当のゴールといえるでしょう。
しかし残念ながら、「思うように伝わらない」文章を書いてしまっている方が多いことも事実です。
この記事では、よくある文章の問題点とその解決策を紹介します。
「文章を書くことが苦手」「文章がわかりにくいと言われることが多い」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
よくある文章の問題点とは?
たとえばビジネスの場面において、「メールをしても、相手が思うように動いてくれない」「セールスレターで、サービスの魅力がうまく伝わらない」などと悩む場面があると思います。
こういった悩みを抱えている方の文章を見ると
「一読して、何が言いたいかわかりにくい」
という問題を抱えていることが多いです。
そして、この問題はさらに紐解いていくと、
1. 見た目でごちゃごちゃした印象を与えている
2. 主述や、修飾・被修飾の関係がおかしい
3. 文の構造が不明瞭
4. 余計な言葉が多すぎる
5. 結論が最後まで出てこない
などの問題点に大別することができます。これらの問題点を一つずつ解決していくことで文章力UPにつながっていきます。
以下、例文を交えてそれぞれの解決策を詳しく見ていきたいと思います。
問題点1:見た目でごちゃごちゃした印象を与えている
次の文章を見てください。〈元の文章〉と〈修正した文章〉では、内容が全く同じなのに、わかりやすさに大きな差があると思います。
▼元の文章
弊社では社員の成長を支援する為定期的に研修を実施します。今回の研修では人工知能を用いた新技術に関する情報を提供し、社員の業務上の知識と技能を向上させる事を目的と致します。
▼修正した文章
弊社では、社員の成長を支援するため定期的に研修を実施します。今回の研修では「人工知能を用いた新技術」に関する情報を提供し、社員の業務上の知識と技能を向上させることを目的といたします。
ー改善点ー
〈元の文章〉では「為」「事」「致します」などを漢字表記していますが、文脈上、これらは本来ひらがなで表記することが望ましい語です。
一般に、文章中で漢字とひらがなの割合は3:7程度にするとよいと言われることがありますが、そこまでひらがなを増やせなくても、意識的にひらがな表記できるものはひらがな表記にしておくと読みやすさが増します。
なお〈修正した文章〉では、「 」も用いて文章にメリハリをつける工夫もしています。
✔ポイント
→ 見た目のごちゃごちゃした印象をなくす!
・ひらがな表記にできるものは、意識的にひらがなに
・文章にメリハリをつける
問題点2:主述や、修飾・被修飾の関係がおかしい
続いての問題点は、文章中で頻繁に見られるものです。
▼元の文章
大手百貨店が公開した新サービスは、利用者が店舗でスマートフォンに向かって話すだけで、探しているものの売り場を案内してもらうことができます。快適に高齢者や障がい者であっても買い物ができる店舗づくりを目指すサービスです。
▼修正した文章
大手百貨店が公開した新サービスでは、利用者が店舗でスマートフォンに向かって話すだけで、探しているものの売り場を案内してもらうことができます。高齢者や障がい者であっても快適に買い物ができる店舗づくりを目指すサービスです。
ー改善点ー
〈元の文章〉の一文目は、「新サービスは」という主語から始まっているのに、後半は「案内してもらうことができます」と、「利用者」を主語にした受け身の述語になっており、「主述のねじれ」が起こっています。
〈修正した文章〉では、「利用者」を主語にして修正しました。このように二つ以上主語になりうる言葉が出てくる場合や、「する・される」という受け身の関係がある場合に、主述のねじれを起こしやすいので注意しましょう。
また二文目では冒頭の「快適に」という修飾語と、それがかかる「買い物ができる」までの間が遠いために、「快適に」がかかる言葉がどこなのかわかりにくくなっています。修飾語と、それがかかる被修飾語は、〈修正した文章〉のようにできるだけ近づけると読みやすくなります。
✔ポイント
→ 主述、修飾・被修飾の関係を意識する!
・二つ以上主語になりうる言葉が出てくる場合や、受け身の関係がある場合に、主述のねじれを起こしやすいので注意
・修飾語と被修飾語は、できるだけ近づける
問題点3:文の構造が不明瞭
今度は文の構造に関する問題を説明していきます。
▼元の文章
私は長年英語講師としての経験を積み、その傍ら個人事業主としてライター、海外への古着販売、英文翻訳の活動もし、二足のわらじを履く生活を送ってきた。
▼修正した文章
私は英語講師と個人事業主の二足のわらじを履く生活を送っていた。
英語講師としての経験を長年積んできた。一方で、その傍ら個人事業主としてライター、海外への古着販売、英文翻訳の活動にも取り組んできたのである。
ー改善点ー
〈元の文章〉では、後半に「二足のわらじ」とありますが、経験してきた多くの職業が列挙されているために、何と何を指して「二足のわらじ」と言っているのか、文構造が非常にわかりにくくなっています。
ここでは、「英語講師」と「個人事業主」を「二足のわらじ」と言っていることを踏まえ、〈修正した文章〉のように結論を先に書いてしまいましょう。こうすることで、読み手側が文意を解釈する負荷を下げることができます。
また〈修正した文章〉では、長い文章を二つの文に区切り、間を接続詞でつないでいます。このように一文を短くし、接続詞を用いて文同士の関係性を整理すると、読みやすさが格段にアップします。
✔ポイント
→ 文の構造を再確認!
・「これ、それ、あれ」などの指示詞、「2つ、3つ」などの個数がある場合は、それらが何を指しているか明確に
・長い文章は、適度に文を区切りわかりやすく
問題点4:余計な言葉が多すぎる
角が立たないように遠まわしな表現を使うことがあります。それがかえって文章を読みづらくさせていることがあります。
▼元の文章
交渉力というのは、社会人であれば身につけておきたい力であると私は考えます。交渉力があれば、ビジネスのあらゆるシーンにおいて、物事をスムーズに進めることができるということになります。相手との関係を悪化させることなく、円滑に物事を進めていけるよう、交渉力を磨いていくべきではないでしょうか。
▼修正した文章
交渉力は、社会人であれば身につけておきたい力です。交渉力があれば、ビジネスのあらゆるシーンで、物事をスムーズに進めることができます。相手との関係を悪化させることなく、円滑に物事を進めていけるよう、交渉力を磨いていくべきです。
ー改善点ー
まず冒頭で、〈元の文章〉に「~というのは」とありますが、これは回りくどい印象を与える原因になりやすい表現です。意味が変わらないのであれば、「~は」に置き換えてすっきりさせましょう。
また文末表現も要注意です。「~と私は考えます」「~ということになります」などの冗長な文末は避け、はっきりと言い切ってしまったほうが読みやすく、わかりやすい文章になります。「~べきではないでしょうか」など読み手に問いかける表現も、時に回りくどい印象を与えます。「~するべきだ」という結論があるのであれば、読み手に委ねずストレートに書いたほうが良い場合が多いです。
✔ポイント
→ 余計な言葉を削る!
・削除しても文意が変わらない語はないか探す
問題点5:結論が最後まで出てこない
最後の問題点は、読み手のストレスにつながるので注意しましょう。
▼元の文章
日本代表チームは食事会を開くなど、和気あいあいとした様子がSNSでも話題となったが、そうした雰囲気が伸び伸びしたプレーにつながった可能性がある。相手国チームは国を背負う重圧からか、表情が暗く、悲壮感さえ漂っていた。
日本代表チームと相手国チームの雰囲気は対照的だった。
▼修正した文章
日本代表チームと相手国チームの雰囲気は対照的だった。
日本代表チームは食事会を開くなど、和気あいあいとした様子がSNSでも話題となり、そうした雰囲気が伸び伸びしたプレーにつながった可能性がある。一方で、相手国チームは国を背負う重圧からか、表情が暗く、悲壮感さえ漂っていた。
ー改善点ー
〈元の文章〉では、「日本代表チームと相手国チームの雰囲気は対照的だった」という結論が最後に書かれています。
こうした構成の場合、読み手は冒頭から「何の話をしているのだろう」と読みながら考え続けることになるうえ、結論がどこに書かれているかわからないので、文章を読み飛ばすこともできません。この程度の長さであればさほど大きなストレスにはならないかもしれませんが、文章が長くなればなるほど、読み手に負荷がかかります。
一方で〈修正した文章〉では結論が初めにあるために、後に続く内容が結論についての詳細な説明であることも理解しやすくなっています。
✔ポイント
→ 結論は先に!
・結論を先に述べ、その理由、具体例へと展開する
※PREP法(プレップ法)の活用
Point(結論)→ Reason(理由)→ Example(具体例)→ Point(結論)
おわりに
以上、よくある文章の問題点と、その解決策を紹介しました。
文章を書く際は、次の5つの状況に陥っていないか意識しましょう。
1. 見た目でごちゃごちゃした印象を与えている
2. 主述や、修飾・被修飾の関係がおかしい
3. 文の構造が不明瞭
4. 余計な言葉が多すぎる
5. 結論が最後まで出てこない
文章力は、やみくもに書いているだけでは上達しません。改善点を見つけ、意識しながら書くことで、自然とよい文章が書けるようになってきます。
この記事で紹介した5つのポイントを意識しながら、ご自身の文章を「伝わる」そして「相手を動かす」文章に進化させていきましょう。