オノマトペで文章表現を豊かにする「擬音語」と「擬態語」

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オノマトペで文章表現を豊かにする「擬音語」と「擬態語」

オノマトペとは、ギリシャ語のonomatopoiia(命名する)に由来し、音や声をまねて表わした言葉や、身ぶり・状態の感じを表わして作った言葉のことを言います。

具体的には「がたがた」「ゴツン」「ゆらゆら」「ザワザワ」などです。

日本語には数多くのオノマトペがあり、具体的なイメージを伝える表現方法の一つです。オノマトペを使うことで、その場面の様子や情景、臨場感が伝わりやすくなり、文章の表現力を高めることができます。

日常会話ではもちろん、CM、広告、漫画などでも頻繁に使用されています。

・表現に煮詰まった…
・文章が少し堅い…
・臨場感を出したい…
・もっと伝わりやすくしたい…

などの際には、オノマトペを活用してみてください。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)
・『オノマトペ』(NHKワールド JAPAN)(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/ja/)

1. オノマトペの種類「擬音語」と「擬態語」

オノマトペには、「擬音語(ぎおんご)」と「擬態語(ぎたいご)」の2つがあります。

① 擬音語について

擬音語は、物音や自然の音、生き物の鳴き声などを表す言葉です。

たとえば、
雨の降る音 の「ザーザー」、ドアをノックをする音や咳込む音、キツネの鳴き声などで使われる「コンコン」など、実際に耳に入る音を言語化したものを言います。

擬音語  …  実際に聞こえる音を言葉にしたもの

「ワンとなく犬」

     

「ニャー…と不思議がる猫」

 

「ワン」や「ニャー」は実際に聞こえる音を言語化したものなので擬音語です。

擬音語の例文

ドカーンと大きな爆発音がした。
・雷がゴロゴロ鳴っている。
カシャとカメラのシャッター音がした。

② 擬態語について

擬態語は、音としては聞こえないものの、状態や感情、動作を表す様子を言語化したものを言います。

たとえば、
期待したり興奮したりする様子を表す「ワクワク」、微笑んでいる様子を表す「ニコニコ」など、実際には音として聞こえないけれど、その情景に見合う様子を言葉に表したものを言います。

擬態語  …  実際には聞こえない音を言葉にしたもの

「ムスッとしている犬」

「キュンキュンする猫」

「ムスッ」や「キュンキュン」は、実際に発している音ではなく様子や感情を表しているものなので擬態語です。

擬態語の例文

・舞台に立つ彼女はキラキラ輝いている。
・あの猫の毛は、ふわふわしている。
つるんとした肌。

2. オノマトペの例

日本語には4000以上ものオノマトペがあるとされています。
以下は、使用頻度の高いものの一例です。

擬音語の例

 カチカチ
 ゴクゴク
 ゴツン
 ザーザー
 チリンチリン
 ドキドキ
 トントン
 パタパタ
 バタン
 パチパチ
 バリバリ
 ピンポーン
 ピシッ
 ポン

擬音語は、実際に音として聞こえそれを言葉に置き換えたものです。「バリバリ」は、何か大きなものが剥がれたりモノを齧ったりする音に使用されますが、『バリバリ働く』などと使用する場合は擬態語になります。使用場面によって、擬音語にも擬態語にもなるオノマトペは多く存在します。

また、「バタン」はドアが閉まる音や人が倒れる音、「パチパチ」は火が燃える音や手を叩く音にも使われます。一つのオノマトペが色々な場面にあてはまるケースも多いです。

② 擬態語の例

 あっさり
 イライラ
 ギラギラ
 ガーン
 キョロキョロ
 スベスベ
 ツルツル
 テキパキ
 ドロドロ
 はらはら
 ピカピカ
 ふかふか
 ぶらぶら
 ボロボロ
 もぐもぐ
 もふもふ

擬態語は実際の音として聞こえないもので、感情や状態、様子を言葉に置き換えたものです。「ドロドロ」は粘性の強いものの状態に使用されますが、人間関係が良くない場合にも使用されます。擬音語と同様に、一つのオノマトペが色々な場面で使用されることもあります。

どんなオノマトペがあるかさらに詳しく知りたい方は、NHKワールド JAPANの『オノマトペ』をご覧ください。オノマトペをどういったときに使用するのかわかりやすく分類されています。

3. オノマトペの効果的な使い方

オノマトペを適切に使うことで、感覚や状況、心情が頭に浮かびやすく、文章に情感や臨場感を与えることができます。

ただし、オノマトペは万能ではなく、一般的なカジュアルな文章では最適ですが、硬い文章にはやや不向きな面があります。

表現力を高める

例1 「雨が降り注ぐ中、彼は飛び出した」
     ↓
     「雨がザーザーと降り注ぐ中、彼は飛び出した」

例2 「今日は仕事が忙しい」
     ↓
    「今日は仕事が忙しくてバタバタしている」

例3 「彼は笑って手を振った」
     ↓
    「彼はニコッと笑って手を振った」

キャッチコピーや見出しなどに最適

商品や製品の特徴や効果を、短い言葉で読み手の興味や関心を引くことができます。簡潔にイメージや印象を表現する場面で役立ちます 。広告やポスターなどのコピーや見出しにもよく使用されます。

・新触感!このサクサク感がたまらない
・これさえあれば、お肌もツルツル
・家中が宝石のようにピカピカ
・これを使えば、サクサク仕事ができる
・外はカリカリ、中はふんわり

③ ひらがな・カタカナを使い分けて印象を変える

オノマトペは「ひらがな」と「カタカナ」を使い分けることで、読み手への印象を変えることもできます。見た目的に、ひらがなは柔らかく親しみやすい印象を与えます。カタカナは強調するときに最適です。

ふわふわ  ⇔  フワフワ
さらさら  ⇔  サラサラ
ぽかぽか  ⇔  ポカポカ

④ 清音・濁音の使い分けで印象を変える

清音(濁点や半濁点のない音)と濁音(濁点や半濁点のある音)の使い分けによって、ニュアンスが変わります。清音は、軽やかで優しい音や状態を表し、濁音は、ややかためな印象を持ちます。

サクサク」は硬いものが軽くはじける食感を表し、
ザクザク」はしっかりとした歯ごたえのある食感を表します。

ころころ」は小さいものが転がる様子を伝え、
ごろごろ」は大きいものが転がる様子を伝えます。

どんどん」は、「とんとん」に比べて乱暴・慌てている印象を与えます。

2回繰り返すもの・繰り返さないもの

オノマトペは、2回繰り返す場合と繰り返さない場合で、大きく印象が変わります。

ピカピカ  ⇔  ピカ
ドキドキ  ⇔  ドキ
ドンドン  ⇔  ドン

「ピカピカ」は光が連続して輝いている状態を表します。一方、「ピカ」は一瞬だけ光る状態を表し、「ピカピカ」よりも強い印象を与えます。同様に「ドキドキ」よりも「ドキ」としたほうが、衝撃が強い印象を与えます。

おわりに

      オノマトペは、文章表現を豊かにするための重要な要素の一つです。適切に使うことで、読み手に、より具体的なイメージを伝えることができます。臨場感を高めたい、文章が硬くなるというときは、オノマトペを活用してみましょう。

      オノマトペは日本語の表現力を高める効果がありますが、使いすぎると逆効果です。場合によっては文章が稚拙に見えたり、言葉足らずになったりすることがあります。使用頻度や場面を考えて、適度に使うことを意識して文章全体のバランスを心掛けましょう。