ダーシ(ダッシュ)の意味と使い方[校正記号]
▼ ダーシ(ダッシュ)の意味と用途
ダーシ(dash)は、活字で長い横棒「―」のことをいいます。ダッシュともよばれ、主に句と句との間に入れて接続するときに使用します。
用途によって、全角ダーシ・二分ダーシ(半角ダーシ)・2倍ダーシを使い分けます。
■全角ダーシ
起点と終点との間を示すとき、重要箇所の強調や説明などに使用
■二分ダーシ
年月・時間・番号・固有名詞の連結
■二倍ダーシ
文字や語句の省略、パーレンと同じように文中に文字や語句をさしはさむとき
※「色空間(カラースペース)とは~」と同じ意味です。
※あくまで一般的な使用方法です。企業や媒体に使用ルールがあれば、そちらが優先されます。
【ダーシ(ダッシュ)の意味は、以下の書籍・辞書を参考にしています】
・三省堂_大辞林 第三版
・ダヴィッド社_編集校正小辞典
・日本エディタースクール出版部_校正技術
▼ ダーシ記号とよく似た記号
■ ダーシ
— | 全角ダーシ(ダーシ) |
– | 二分ダーシ(半角ダーシ) |
2倍ダーシ(2倍角ダーシ) |
■ ダーシとよく似た記号
- | 全角ハイフン |
- | ハイフン |
− | マイナス |
ー | 音引き(伸ばし棒・長音) |
ー | 半角カナの音引き |
一 | 漢数字のいち |
─ | 罫線 |
ダーシとよく似た横線で表すものは、ここにあげたもの以外にもいくつかあります。フォントによっては、ほぼ同じに見えることもあり、ゲラ上では区別が付かないことも多いです。
ダーシや音引き、漢数字のいちは、校正時には頻繁に出てくるものです。
そのため、よく出てくるものを軸に覚えていくのが効率的です。また、似たものが多いので間違いが起こりやすいということを常に頭に入れておく必要があります。
1. ダーシの校正記号
校正記号表では、「—」のことをダーシとよびます。ダッシュとはいいません。一般的な使用ではダーシとダッシュどちらの使用でも大丈夫ですが、校正では名称が2つあると誤った解釈をされる恐れがあるため一つに統一しています。
※文章中の校正記号は『JIS Z 8208:2007(印刷校正記号)』を参考にしています。
▼ ダーシの校正記号
■全角ダーシ ※2パターンあり
1. ダーシを全角を表す四角の記号で囲みます。
2. ダーシの上に四角を入れる指示もあります。
■二分ダーシ(半角ダーシ)※3パターンあり
1. 全角ダーシの横幅を狭めたものを使用します。
2. △で囲んで表すこともできます。
3. 文字で「二分」と補足する指示もあります。
※「二分」は「半角」に置き換えても通じます。
■2倍ダーシ(2倍角ダーシ)
⇒ ダーシの上に全角の四角を2つ入れて指示します。
2. ダーシの赤字の入れ方
▼ ダーシの訂正指示
■全角ダーシに訂正する
⇒ 四角の記号(□)は鉛筆で書くとわかりやすい場合もあります。
■二分ダーシ(半角ダーシ)に訂正する
■2倍ダーシに訂正する
基本はこのような指示になりますが、この横棒の指示だけでは、校正者でない方には「ダーシ」かどうか判断が付かない場合があります。
ただ、校正記号表では「横線の符号=ダーシ」とされているため、ダーシと見間違えそうなものに対してだけ文字を補足するようにしています。
実際に赤字を入れるときは、修正側が他の記号と迷わないように文字も補足して指示します。そうすれば、誤った解釈をされることもなく余計な間違いを防ぐことができます。
■ 全角ダーシ
■ 二分ダーシ(半角ダーシ)
※「二分」は「半角」に置き換えても通じます。
また丸囲みでなくパーレンにしたほうが、文字が見やすいこともあるので適宜使い分けましょう。
▼ ダーシの挿入指示
補足の文字はわかりやすい位置であればどこでも大丈夫です。
※基本は上下のどちらかに決めておき、わかりにくければその都度位置を調整するほうがよいです。
・赤字がごちゃごちゃして見づらくなる場合は、鉛筆書きでも大丈夫です。
3. ダーシ(ダッシュ)と見間違えそうなもの
以下は、校正記号表に掲載されているダーシと混同しそうなものです。
1. マイナス
2. 音引き(おんびき)
3. 漢数字のいち
4. ハイフン
文字で名称を補足していても、漢数字のいちは単に横線で指示するだけでなく、意識してトメの部分を強調するようにします。また、ハイフンなども意識的に短く書くようにします。