目 次
画像とコピーやキャプションの整合性[校正・校閲の確認ポイント]
今回の練習問題は、画像を中心に間違いを見つけていくものです。
練習問題は、ファッション誌「InRed」からの出題ですが、文章と画像やイラストが対応しているかの確認はどんな媒体でも起こる作業です。
校正・校閲の練習問題
※問題は、【A】【B】【C】と3つにわかれていますが、同一誌面で掲載されているものと考えてください。
1. 問題【A】
コットン混リネンのジャッケトとパンツを合わせたセットアップスタイル。風合いのあるベージュなら固苦しい印象にならず女らしさも保てる。
2. 問題【B】
陽射しが心地いい休日はトップスもきれいなピンク色が気分。くたり感のあるデニムと斜めがけバッグで軽快に歩ける。
3. 問題【C】
丹精な白シャツで勉強モードに。とろみスカートなら座ってもシワにならず安心。肩に掛けたニットはアクセント兼、空調たいさくになるv
校正・校閲の練習問題 解答&解説
1. 問題【A】の解答&解説
コットン混リネンのジャッケトとパンツを合わせたセットアップスタイル。風合いのあるベージュなら固苦しい印象にならず女らしさも保てる。
①解答
1. 3/3|Mon.| → 解説へ
2. ジャッケト → ジャケット
3. 固苦しい → 堅苦しい
②解説
1.3/3|Mon.|
ここの間違いは、
「3/2|Mon.|と日付だけに赤字を入れた人」と
「3/3|Tue.|と 曜日だけに赤字を入れた人」との2パターンにわかれるかもしれません。
日付だけに赤字を入れた人は、
仮に【B】の問題が「3/3」なら、【A】の「3/3」とダブるので、「3/2」とするのも考えられます。ですが、Bの問題は「3/7」なので「3/2」が正しいと言える根拠がありません。
一方、曜日だけに赤字を入れた場合、【B】の3/7|Sat.|や【C】の3/12|Thu.|と対応しなくなります。
この問題の情報だけでは、日付と曜日のどっちが正しいかは判断できません。そのため、どちらかに赤字を入れるのではなく、ここでは「日付と曜日が対応していない」という旨の赤字を入れるのが適切です。
このような日付と曜日が対応していない間違いはよくあります。校正では、基本中の基本といえる間違いです。一見、曜日が間違っているように思えますが、必ずしもそうとは言い切れないので注意しましょう。
2.ジャッケト → ジャケット
カタカナ表記になると見落としやすくなるので注意が必要です。小さな文字は特に見落としやすいです。
3.固苦しい → 堅苦しい
『固い/堅い/硬い』の使い分けは、業界問わず用いられるので覚えておきましょう。
2. 問題【B】の解答&解説
陽射しが心地いい休日はトップスもきれいなピンク色が気分。くたり感のあるデニムと斜めがけバッグで軽快に歩ける。
①解答
ピンク or オレンジニット → 解説へ
②解説
ピンク or オレンジニット
縦書きの見出しが「オレンジニット」となっているので、コピーの「ピンク色」を「オレンジ色」に変更だと判断するのは危険です。『本当に見出しのほうが正しいのか?』と考える必要があります。見出しが間違っていて、本当は見出しを「ピンクニット」にするという可能性もあります。
また、画像がオレンジに見えるからといって、オレンジだと判断するのも危険です。通常の普通紙に印刷された校正ゲラでは、画像の色味まではわかりません。
特に今回のような「淡いオレンジ」や「薄いピンク」、他にも「ブラック」と「ダークネイビー」、「ホワイト」と「ベージュ」などもゲラでは非常にわかりづらい色です。
色に関しては、自分のゲラでそう見えたからといって、それが正しいとは限りません。
プリンターの設定、部屋の明かり、その他様々な要因で微妙に色の見え方は変化してきます。そのために、色校正といわれる色だけを確認する別工程があります。
※この問題もPCやスマホで見ていると思います。それらでも同様に色の見え方は微妙に違ってきます。
この問題の画像を見て「オレンジ」とも「薄いピンク」とも言い切れません。そのため「見出しの『オレンジニット』とコピーの『ピンク色』が不一致である」という旨の赤字を入れるのが適切です。
3. 問題【C】の解答&解説
丹精な白シャツで勉強モードに。とろみスカートなら座ってもシワにならず安心。肩に掛けたニットはアクセント兼、空調たいさくになるv。
①解答
1. 丹精 → 端正
2. 肩に掛けた → 画像と不一致
3. たいさく → 対策(漢字にする)
4. v → トル
5. 句点抜け → 句点入れる
②解説
1.丹精 → 端正
「丹精」… 真心を込めて行う
「端正」…(行い・姿勢が)正しく整う
2.肩に掛けた → 画像と不一致
腰に巻いているものを、肩に掛けたと明らかに違っています。ここから推測できることは、他に肩に掛けた画像のカットを撮影していて、それ用のコピーを間違って貼ってしまったという可能性があります。もしくは、画像が差し替わって、コピーと対応しなくなったなども考えられます。
4.v → トル
『なぜ v が入ってきたの?』と思えますが、これはオペレーターがコピペしようとした際の操作ミスで入った文字です。
制作環境がMacなら、コピペするのは【コマンド+c 】→【コマンド+v 】です。【コマンド+v 】を押すときにコマンドキーを押しきれなくて「 v 」が残ったと推測できます。
3・4・5
最後に間違いが集中しています。実際の制作現場でも修正の終わりが近づくにつれ、制作側の集中力が切れるのか、終わりが見え気が緩むのか、ミスが目立ちます。
校正作業でも時間とともに集中力が落ちてきますが、それは制作側も同様です。そのため終わりに近づくにつれ、さらに集中力を高めないといけません。
校正には間違いを見つけるという能力だけでなく、集中力の持続も大切になってきます。
【出典:問題A・B・C_InRed_3月号(宝島社)P.53の一部改変】