今ではあまり使わないけれど耳に残る、語感に惹かれる言葉[古いけどカッコいい日本語]

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今ではあまり使わないけれど耳に残る、語感に惹かれる言葉[古いけどカッコいい日本語]

一度は耳にしたことがあるのに、今ではあまり使われなくなった言葉があります。意味はなんとなくわかるものの、日常会話で口にする機会はほとんどありません。それでいて、響きが小気味よく、耳に残るような言葉です。

たとえば、次のようなものです。
・あにはからんや
・しじま
・すげなく
・つまびらかに

こうした言葉は、古典や文学作品、時代劇、評論文などで見かけることがあります。ただ現代では、よりわかりやすい言い方に置き換えられることがほとんどです。

この記事では、現代ではあまり口にしないけれども、なぜか耳に残り、記憶に残るような言葉を取り上げ紹介します。

1. 説明や文章の流れをつくる言葉

まずは、文章の流れを整えたり、説明を少しかたく感じさせたりする言葉です。

こうした言葉には、話のつながりや対比、仮定、強調、補足、意味の広がりなどを表すものが多くあります。評論や演説、ややかたい文章で使われることがありますが、現代の日常会話では、もっとわかりやすい言い方に置き換えられることがほとんどです。

① あにはからんや
② あまつさえ
③ あまねく
④ いみじくも
⑤ いわんや
⑥ さもありなん
⑦ さりとて
⑧ さればこそ
⑨ すべからく
⑩ つとに 
⑪ つまびらかに
⑫ ともすると
⑬ とんと
⑭ なかんずく
⑮ よしんば 

① あにはからんや

「あにはからんや」は、「意外にも」「思いがけず」といった意味です。現代では、会話の中で使うことはほとんどなく、「まさか」「意外にも」と言い換えられることが多いです。

② あまつさえ

「あまつさえ」は、「そのうえ」「さらに悪いことに」という意味です。現代語として意味は通じますが、会話では「そのうえ」「しかも」と言うほうが自然です。

③ あまねく

「あまねく」は、「広く行き渡って」「すみずみまで」という意味です。「世にあまねく知られる」のように使われます。現代でも意味は伝わりますが、会話では「広く知られている」「全体に行き渡っている」と言うほうが自然です。

④ いみじくも

「いみじくも」は、「実にうまく」「適切にも」という意味で使われます。たとえば「いみじくも指摘したように」という表現があります。ただし、日常会話ではほとんど使われません。

⑤ いわんや

「いわんや」は、「まして」「なおさら」という意味です。たとえば「大人でさえ難しい。子どもにはなおさらだ」という内容を、文語的に表す語です。現代ではかなり文語的な表現です。

⑥ さもありなん

「さもありなん」は、「そうであっても不思議ではない」「もっともなことだ」という意味で使われます。相手の行動や物事の結果に対して納得する気持ちを表しますが、現代の会話では「それも当然だ」「そうなるのもわかる」と言うほうが自然です。

⑦ さりとて

「さりとて」は、「そうだからといって」「とはいえ」という意味です。文章では見かけることがありますが、日常会話では「とはいえ」「だからといって」が一般的です。

⑧ さればこそ

「さればこそ」は、「だからこそ」という意味に近い言葉です。意味は理解しやすいものの、現代の話し言葉としてはかなり古風に響きます。

⑨ すべからく

「すべからく」は、主に「すべからく〜べし」の形で使われ、「当然〜すべきである」「ぜひとも〜すべきである」という意味を表します。「すべて」という意味で使われることもありますが、本来の用法とは異なります。そのため、現代では使う機会が少ないだけでなく、誤用にも注意が必要な言葉です。

⑩ つとに

「つとに」は、「早くから」「以前から」という意味です。新聞や評論では見かけますが、話し言葉としてはあまり使われません。

⑪ つまびらかに

「つまびらかに」は、「詳しく」「明らかに」という意味です。「事情をつまびらかにする」のように使われます。ただし、会話では「詳しく説明する」「明らかにする」と言うほうが一般的です。

⑫ ともすると

「ともすると」は、「場合によっては」「放っておくと」「ともすれば」という意味で使われます。「ともすると見落とされがちだ」のように、ある傾向に流れやすいことを表します。意味は現代でも通じますが、日常会話ではやや硬く、文章向きの表現です。

⑬ とんと

「とんと」は、「まったく」「少しも」という意味で使われます。「最近はとんと見かけない」のように、否定表現とともに使われることが多い言葉です。くだけた響きもありますが、現代の日常会話では頻繁に使われる語とは言いにくく、少し古風な印象を与えます。

⑭ なかんずく

「なかんずく」は、「特に」「とりわけ」という意味です。現代では「なかんずく重要なのは」と書けば通じますが、会話では「特に重要なのは」と言うほうが自然です。

⑮ よしんば

「よしんば」は、「たとえ」「仮に」という意味で使われます。ただし、現代の会話では「よしんば失敗しても」と言うより、「たとえ失敗しても」と言うほうが自然です。

2. 気持ちや雰囲気を表す言葉

次に、人の気持ちや態度、その場の様子や空気感を表す言葉です。

こうした言葉は、感情の動きや場面の雰囲気を細かく伝えたいときに使われます。文学作品や表現にこだわった文章では見かけることがありますが、現代の会話では、別のやさしい言い方に置き換えられることが多くなっています。

① あぐねる
② あられもない
③ いぶかる
④ うらぶれて
⑤ かりそめに
⑥ しじま
⑦ すげなく
⑧ そぞろに

① あぐねる

「あぐねる」は、うまくできずに困るという意味です。「考えあぐねる」「探しあぐねる」のように、複合語として残っています。

② あられもない

「あられもない」は、取り乱した様子や、ふさわしくないほど無防備な様子を表す言葉です。「あられもない姿」「あられもなく泣く」のように使われますが、現代の会話ではやや古風で、文章的な響きを持ちます。

③ いぶかる

「いぶかる」は、不審に思う、疑わしく思うという意味です。「相手の態度をいぶかる」のように使えますが、現代の会話では「怪しむ」「不思議に思う」と言うほうが自然です。

④ うらぶれて

「うらぶれて」は、みすぼらしく、寂れた様子を表します。人や町の雰囲気を表すときに使われますが、会話ではあまり口にしません。

⑤ かりそめに

「かりそめに」は、一時的に、軽々しく、という意味を持ちます。「かりそめにも」という形で見かけることがありますが、日常会話ではほとんど使われません。

⑥ しじま

「しじま」は、静まり返った状態、物音のしない静けさを表します。「夜のしじま」のように使われることが多く、日常会話よりも詩的な文章で見かける言葉です。単なる「静けさ」よりも、音が消えた空間の深さや余韻を感じさせます。

⑦ すげなく

「すげなく」は、冷たくそっけない態度を表す言葉です。「すげなく断る」のように使われますが、現代の会話では「冷たく断る」「そっけなく断る」と言うほうが自然です。

⑧ そぞろに

「そぞろに」は、これといった理由もなく、なんとなく心が動く様子を表します。「そぞろに昔を思い出す」のように使われます。現代の会話では「なんとなく」「ふと」と言うほうが自然ですが、文章では心の揺れをやわらかく表す語として働きます。

おわりに

なぜか耳に残っているけれども、今ではあまり使わない言葉があります。

これらの言葉は、日常会話では別の言い方に置き換えられることが多いものの、古典や文学作品、評論文などでは今でも見かけることがあります。

耳に残るのは、意味だけでなく、言葉そのものの語感や響きにどこか格好よさがあるからかもしれません。