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目 次
絶対に見落としできない数字の校正![数字と見間違えやすい似た文字一覧]
校正・校閲を行う際には、さまざまな箇所に注意を払う必要がありますが、中でも数字は特に慎重な確認を要します。数字のミスは、たった一字の誤りが大きな影響を及ぼすことになり、文章全体の信憑性を失うことにもなりかねません。
このような状況を防ぐためにも、数字がどのような文字と見間違えやすいかを知っておくと役立ちます。
▼ 厄介な数字の間違い
数字の間違いが厄介なのは、数字以外の文字の間違いよりも発見しづらいことです。次のAとBの文で考えてみたいと思います。
A:弊社の昨日の売上高は、120億でした。
B:弊社の来年の売上予想は、100億です。
Aの文は、「昨日」が「昨年」の間違いとわかりますが、Bの文では、実際に正しい数値が「150億」であったとしても、この文を読んだだけでは間違っているかどうかわかりません。
このようなことがあるため数字の確認には細心の注意が必要になってきます。
数字の見間違いが引き起こすトラブル
① 手書きの文字の見間違い
(例)領収書の手書きの数字が乱雑で、「3」と「8」を見間違えられ正しい金額で処理されなかった。
② 桁数の誤り(余分な数字、不足している数字)
(例)本来「利益1,000,000円」と記載すべきところを「利益10,000,000円」と誤り、利益額が大幅に上がり上司をぬか喜びさせてしまった。
③ カンマや小数点の位置の誤り
(例)商品価格を「9.99ドル」と表記すべきところを誤って「999ドル」と入力し、そのまま販売サイトに掲載され商品が全く売れなかった。
④ 番号の間違い(電話番号・郵便番号・品番など)
(例)顧客の電話番号を「080-1234-5678」と記載すべきところを「080-1243-5678」と誤り、クレームがあった。
これらの数字に関する間違いは、個人のミスでは済まされず、関与者に大きな影響を与えます。
以下、数字と見間違えやすい文字について詳しく説明していきます。
1. 数字と数字の見間違い
数字同士の見間違いは、フォントのスタイルやクセのある手書き文字の影響を大きく受けます。
0 ⇄ 6
0 ⇄ 8
0 ⇄ 9
1 ⇄ 7
2 ⇄ 5
2 ⇄ 7
3 ⇄ 5
3 ⇄ 8
5 ⇄ 6
5 ⇄ 8
6 ⇄ 8
7 ⇄ 9
8 ⇄ 9
フォントや手書き文字、さらに斜体などで文字が装飾されている場合、数字の見間違いが起こりやすくなります。
たとえば、丸みのあるフォントでは、円形部分が強調されるため、「0」と「9」が非常によく似て見えることがあります。また、線の細いフォントでは、数字の「1」と「7」の区別がつきにくくなることがあります。さらに、数字の「3」と「5」や「3」と「8」などは、曲線部分のデザインや形状が似ているため見間違いが起こりやすくなります。他にも、印刷がかすれていたり、クセのある手書き文字であったりすると、数字の「5」と「6」を見間違えることがあります。
さまざまな要因によって数字の見間違いが引き起こされることを念頭に置いておく必要があります。
2. 数字とアルファベットの見間違い
「数字」と「アルファベット」の組み合わせは、品番やパスワードなどでよく見られます。(※パスワードでは、見間違えやすい文字はあらかじめ使用できない設定がされていることも多いです)
0 ⇄ O、o (オーの大文字と小文字)
0 ⇄ D
1 ⇄ I (アイの大文字)
1 ⇄ J
1 ⇄ l (Lの小文字)
2 ⇄ Z、z
3 ⇄ B
4 ⇄ A
5 ⇄ S、s
6 ⇄ b (Bの小文字)
6 ⇄ G
8 ⇄ B
9 ⇄ g、q (GとQの小文字)
数字とアルファベットは、特定のフォントや手書き文字において文字の形状が似てくるため、見分けづらいことがあります。縦長のフォントや筆記体、崩した手書きでは、違いがわかりにくくなります。
また、太字や丸みを帯びたフォントでは「0(ぜろ)」と「O(オー)」などがほぼ同じに見え、線の細いフォントでは「1(いち)」や「 l(小文字のエル)」などの区別が難しくなることがあります。
特に手書きや筆記体などで、斜めに書かれるとさらに区別しづらくなります。
3. 数字と記号の見間違い
特定の記号や線は、数字と似ているため誤認されることがあります。斜めのフォントや崩した手書きでは見分けづらいため慎重に確認する必要があります。
0 ⇄ ○ (記号の丸)
1 ⇄ | (縦棒)
1(1の斜体)⇄ / (スラッシュ)
4. 桁数の見間違い
数字の桁数が多くなると、桁の数の見間違いを起こしやすくなります。
100,000円 → 10,000円 (ゼロが一つ少ない)
¥100,000 → ¥1,000,000 (ゼロが一つ多い)
55,500円 → 55,000円 (数値の間違い、55,000)
10千万円 → 100,000,000千万円 (単位を考慮しない間違い)
桁数の多い数字は、端数を切り捨てたり四捨五入したりすることによって、「0」が連続する形になることがよくあります。
桁数の見間違いは、連続した数字を一つの塊として認識してしまうことで起こります。そのため、「0」がいくつ並んでいるのかを数えて個数で確認するようにしましょう。
また、3番目の「55,500円」のようにゼロだけでなく、他の数字も連続した場合には見間違いが起こりやすくなります。「3」と「8」など数字同士の形状が似ているものは、特に注意が必要です。
5. 数字の並び順の見間違い
手作業で数字を入力したり、数字を書き写したりする際に、数字の並び順を見間違えてしまうミスがよくあります。特に急いで作業をしているときには起こりやすいため、数字に関しては常に慎重に確認する習慣をつけておきましょう。
12 ⇄ 21
38 ⇄ 83
968 ⇄ 986
1,523 ⇄ 1,532
15,678 ⇄ 16,578
6. 漢数字と見間違えやすい文字
漢数字の「〇(ぜろ)」と「一(いち)」は、似た文字が多いため特に注意が必要です。「〇(ぜろ)」は丸みを帯びた文字全般と、「一(いち)」は、横線類全般と見間違えられやすいです。
〇(ぜろ)
⇒ 0(算用数字)⇄ O(アルファベット)⇄ ○(記号の丸)
一(いち)
⇒ ―(ダッシュ)⇄ ー(音引き)
二(に)
⇒ ニ(カタカナ)⇄ =(イコール)⇄ Z(アルファベット)
八(はち)
⇒ ハ(カタカナ)
十(じゅう)
⇒ +(プラス)
7. その他:数字に関する間違い
① 計算ミス(合計、差分、割合、前年比や増減率など)
(例)前年の売上「5,000万円」に対して、今年の売上「6,000万円」を「20%増」と記載すべきところを「120%増」としてしまった。
② 小数点のミス
(例)「3.5mg」と記載するべきところを「35mg」とし、小数点が抜けてしまった。
③ 単位変換ミス(kg ⇄ g、km ⇄ mなどの換算ミス)
(例)製品の長さを「1000㎜」と表記すべきところを「10cm」と記載してしまった。
④ 数値情報の不一致(異なる資料で数値が一貫していない)
(例)会社案内パンフレットでは従業員数「350人」と正しく記載されていたが、自社サイトの会社概要では「850人」と誤った情報を掲載し続けていた。
⑤ 通貨の誤り(円・ドルなどのミス)
(例)海外向け製品の価格を「100(円)」と表記すべきところを「100(ドル)」と単位を誤ってしまった。
⑥ 和暦・西暦の誤表記
(例)新商品の発表を「令和7年(2025)」とすべきところを「令和7年(2024)」と間違えてしまった。
⑦ 表記の不統一(和文・欧文、桁区切り有無の違い)
(例)文章内に「10,000円」(和文)と「10,000円」(欧文)が混在していた。他にもカンマの有無(10,000円 or 10000円)のバラつきが多数見つかった。
おわりに
数字の見間違いは、フォントの種類や手書きのクセに大きく影響されます。
フォントによっては、特定の数字が他の文字と似てくることがあります。また手書きの場合、数字の形が崩れやすく他の文字と見間違える可能性が高まります。他にも、小さい文字や線の細い字も判別が難しくなります。さらに、印刷のかすれも数字の判別を難しくする要因の一つです。
数字の確認をする際は、一文字ずつ慎重にチェックする習慣をつけ、判読しづらい数字があった場合は、自己判断せずに第三者の視点で確認してもらうのも有効な方法です。特に、金額や日付などの重要な情報は、ちょっとした見間違いが大きなトラブルにつながるためダブルチェックは必須です。
「漢字」や「ひらがな」は文字の種類が多いため、もし読めない文字があっても『これは何だろう?』と考えたり、文脈から推測したりすることができます。しかし、数字は0から9までの10種類しかないため、たとえ文字がはっきり読めなくても、無意識のうちに似た数字のどれかに当てはめてしまうことがあります。さらに、一度そう見えてしまうと、もう別のものには見えなくなる傾向にあります。
校正の仕事においては、自分が今見ている数字が本当に正しいのか、常に疑う姿勢を持つことも大切です。