横書きの数字表記はどっち? 算用数字・漢数字の使い分け【迷ったときの基本ルール】

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横書きの数字表記はどっち? 算用数字・漢数字の使い分け【迷ったときの基本ルール】

横書きの文章で、「ここは算用数字(1、2、3)? それとも漢数字(一、二、三)?」と一度は考えた経験があるかもしれません。

日本語の横書き文章では、基本的に「算用数字」を使いますが、場合によっては「漢数字」のほうがしっくりくることもあります。この使い分けには、目安となる基本ルールが存在します。

<基本ルール>

その数字を、他の数字に入れ替えても意味が通じるか?

A.「リンゴが3個」→「リンゴが5個」→「リンゴが7個」
 数字部分を他の数字に入れ替えても意味が通じる → 算用数字 が適切

B.「憂」→「憂」→「憂」
 数字部分を他の数字に入れ替えた場合、意味が通じない → 漢数字 が適切

このルールに基づいて、具体的な使い方や例外などわかりやすく解説していきます。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・『公用文作成の考え方』(文化庁)
・『公用文における漢字使用等について(内閣訓令)
・『記者ハンドブック 新聞用字用語集』(共同通信社)
・『日本語の正しい表記と用語の辞典(講談社)
・『新しい国語表記ハンドブック(三省堂)
・『新明解国語辞典』(三省堂)
・『コトバンク』

1. 横書きでは基本的に「算用数字」を使用

A. 数字置き換えられる(算用数字)

横書きでは、数を数えたり量を示したりする客観的な情報には算用数字(1、2、3…)を使うのが基本です。これは、文章中で目立ち、かつ誰が見てもわかりやすく正確な情報を伝えやすいという性質があります。特徴は、前述の通り、数字部分を他の数字に入れ替えても意味が通じる点です。

他の数字に置き換えられる「数」である算用数字を使う場面は色々とあります。

<横書きで算用数字を使用する場面>

数量や順番
10個、3人、500円、80%
5回目、2番目のドア、第3章

日付や時刻
令和5年4月1日、午後3時15分
2025年3月26日

客観的なデータや番号
身長170cm、体重65kg、42番

2. 横書きで「漢数字」を使うとき

B. 数字置き換えられない数字(漢数字)

漢数字は、数字が言葉の一部として定着していて、他の数字に置き換えられない場合に使います。横書きでは、算用数字が基本ですが、漢数字を使ったほうが自然で、意図が正しく伝わる場面があります。

熟語・慣用句ことわざ
「一石二鳥」「七転び八起き」「石の上にも三年」のように、決まり文句の一部になっている数字は漢数字で書きます。

三日坊主、十人十色、安全第一
一長一短、一期一会
四面楚歌、百聞は一見に如かず など

固有名詞や専門用語
地名や人名、歴史上の出来事など、特定の「名前」の一部になっている数字も漢数字で書きます。

地名・建物名:四国、九州、六本木、五重塔
歴史・文化:三種の神器、七福神
商品・作品名:一番搾り、ルパン三世、七人の侍 など

おおよその数を表すとき(概数)
「だいたい〜くらい」という、ざっくりとした数を表現するときにも漢数字がよく使われます。

会場には数十人のファンが集まった。
二、三日中にお返事します。
夜空には幾千もの星が輝いていた。

例外
契約書や賞状、招待状などの文章では、慣例として漢数字を使用することも多いです。

契約書など:金壱百萬円也
賞状や称号:剣道三段、第百回記念大会
招待状などの和暦:令和六年九月吉日

3. 算用数字と漢数字の両方で表記されるケース

以下は例外的に、両方の表記が見られるケースです。これらは、算用数字と漢数字のどちらを使っても間違いではありません。意味の違いで表記を使い分けることで、より正確に意図を伝えられます。

(1)「第一次」と「第1次」

「第一次」と「第1次」、どちらの表記もよく目にしますが、これらにはニュアンスの違いがあります。明確な正解があるわけではありませんが、一般的に次のような考え方で使い分けることができます。

漢数字の「第一次」(固有名詞として捉えるとき)
「第一次」も含めてその出来事を、「一つの名前(固有名詞)」として扱う場合は、漢数字を使います。つまり、その出来事自体を「一つの塊」として捉えて表現したいときに使います。たとえば、「第一次世界大戦」に絞って一つのテーマとして語るときなどです。
【例】第一次世界大戦/第二次ベビーブーム/第三次産業革命

算用数字の「第1次」(順番として捉える)
たとえば、「第1次世界大戦」の場合、「世界大戦」という部分に焦点を当て、その中に、1番目の世界大戦、2番目の世界大戦……と「回数や順番」があることを示す場合は、算用数字を使います。一連のシリーズものの一部として捉える書き方です。
【例】第1次世界大戦/第3次補正予算/第2回会議

「漢数字=固有名詞(ひと塊)」、「算用数字=回数・順番(カウント)」という対比になります。全体に焦点を当てるか、部分(回数・順番)に焦点を当てるかの違いです。

ただし、厳密なルールはないため、文章全体のトーンや好みに合わせてどちらを選んでも問題ありません。

(2)「一歩」と「1歩」

同じ「いっぽ」でも、比喩的な表現か、物理的な歩数かで使い分けます。

漢数字の「一歩」 → 比喩的に「段階」を表す
「成功の第一歩」は「最初の段階」を意味する慣用的表現です。「成功への第二歩」とは言わないように、比喩表現では漢数字が使われやすい傾向にあります。
【例】大人への一歩を踏み出す/問題解決への一歩

算用数字の「1歩」 → 数えられる「歩数」を表す
「リハビリで1歩前に進む」は、物理的な歩数を指します。「2歩、3歩」と数えられるため、算用数字が適切です。
【例】ゴールまであと10歩/もう少し右へ2歩ずれてください

(3)「一部」と「1部」

部」と「1部」も意味によって明確に使い分けられます。

漢数字の「一部」 → 全体の中の「部分」として使う場合
「資料の一部を修正する」は、全体に対する「部分」を意味します。これは数えられないため、漢数字を使用します。
【例】計画の一部/責任の一部を負う/例外が一部あります

・算用数字の「1部」 → 数えられる「部数」
「資料を1部ください」は、印刷された具体的な数を指します。「2部、3部」と数えられるため、算用数字を使います。
【例】報告書を5部印刷する/新聞を10部購入した

(4)「一人前」と「1人前」

人前」と「1人前」は、「概念」か「数量」かで使い分けられます。

・漢数字の「一人前」 → 熟練度や資格などの「概念」
「一人前の職人」は、「独立した、プロの」という意味の言葉です。「二人前の職人」とは一般には言わないため、漢数字を使います。
【例】これで君も一人前/口だけは一人前だ

・算用数字の「1人前」 → 注文するときの「数量」
「天ぷらを1人前ください」は、「1人分の量」という単位です。「2人前、3人前」と数えられるため、算用数字を使います。
【例】コース料理を2人前予約する/刺身盛り合わせ3人前

このように、応用的な場面でも「言葉として定着しているか/一つの塊として捉えるか(漢数字)」、「数として数えられるか(算用数字)」という基本ルールに立ち返ると、適切な使い分けが見えてきます。

おわりに

算用数字は、数字部分を他の数字に置き換えられる、つまり「数として数えられる」場面で使います。具体的には、数量、順番、日付、金額といった客観的なデータや番号を示すときに使用します。

一方、漢数字は、横書きにおいては特定の場面で使う例外と捉えておきましょう。その数字を他の数字に置き換えられない、つまり「言葉の一部として定着している」場合に使います。熟語やことわざ、固有名詞、専門用語などがこれにあたります。

数字の表記には、文脈によってどちらも使えるグレーゾーンがあります。正解を求めるよりも、文章の目的や読者に合わせて、読みやすく一貫性のある表記を心がけることが何よりも大切です。