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ゴールデンウイークの名称はいつ広まった?『大型連休』との使い分け
この記事では、ゴールデンウイークについて、その名前の意味や由来、大型連休との違いについて紹介しています。ゴールデンウイークという言葉がなぜ使われるようになったのか、興味のある方はぜひご覧ください。
[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]
・『新明解国語辞典』(三省堂)
・『デジタル大辞泉』(小学館)
・『精選版 日本国語大辞典』(小学館)
・『ブリタニカ国際大百科事典』(ブリタニカ・ジャパン)
・『NHK放送文化研究所』(https://www.nhk.or.jp/bunken/)
1. ゴールデンウイークについて
● ゴールデンウイークの意味は
→ ゴールデンウイークとは、4月末から5月初めにかけての休日の多い週のことを言います。
「ゴールデン(golden)」には、『価値が高い、豪華な』という意味があり、それが「週」を表す『ウイーク(week)』と結びつき「ゴールデンウイーク(goldenweek)」となった和製英語です。「ゴールデンタイム(goldentime)」になぞらえてできた言葉です。
● いつから使用されるようになったか
→ 1950年代初頭からです。
● どこから広まったか
→ 元来は映画業界で使用されていた用語です。それが一般にも浸透するようになりました。
● 日本語に直すと
→「黄金週間」となります。「GW」と簡略化されて表記されることも多いです。
● 表記について
ゴールデンウイーク ○
ゴールデンウィーク △
多くの辞典で、「イ」は通常の大きさで表記されています。小文字の「ィ」が誤りとは言えませんが、特にこだわりがないようであれば、「ゴールデンウイーク」と表記しておくのが望ましいです。
2.「ゴールデンウイーク」と「大型連休」の違い
前述したように「ゴールデンウイーク」は、4月末から5月初めにかけての休日の多い週を指す言葉です。そのため、4月末から5月初め以外の長期休暇にはこの名称を使いません。
一方、「大型連休」は、特定の期間を限定せず、長期的な休暇全般を指します。たとえば、年末年始やお盆休みなども大型連休に含まれます。必ずしも祝日を含む必要はなく、企業や学校のスケジュール次第では大型連休が発生することもあります。
このように大型連休は幅広い意味で使用されますが、ゴールデンウイークは特定の期間のみに使用されます。
▼ 2つの関係性は次のようになります。
大型連休という大きなくくりの中に、ゴールデンウイークが存在します。ゴールデンウイークは、お盆休みなどのように大型連休の一つということです。
3. ゴールデンウイークが長期の連休になる理由
ゴールデンウイークが長期の連休となる理由に、「国民の祝日」と「振替休日」の仕組みが大きく関係しています。
現在では、年間16日の「国民の祝日」がありますが、ゴールデンウイークの期間には次の4日の祝日が集中します。
・4月29日(昭和の日) 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。
・5月 3日(憲法記念日)日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。
・5月 4日(みどりの日)自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。
・5月 5日(こどもの日)こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。
これらの祝日に日曜日が重なる場合、その次の平日が「振替休日」となります。これがゴールデンウイークの休日をさらに増やす要因となっています。祝日のいずれかに日曜日が重なるか否かで、ゴールデンウイークの休日の多さが変わってきます。
4. ゴールデンウイークの由来
「ゴールデンウイーク」は映画業界から生まれた言葉ですが、その経緯は以下のようになります。
1948年に「国民の祝日に関する法律」が施行され、現在にも続く祝日が生まれました。これにより、4月末から5月初めの複数の祝日を中心にした大型連休の基盤が形成されました。
1950年代になり、映画会社が、この大型連休に上映した映画が非常に好調だったことから、映画業界ではこの大型連休の期間を「ゴールデンタイム(ラジオ放送で聴取率が高い時間帯)」になぞらえて、「ゴールデンウイーク」と名付け、宣伝活動を行ったことが始まりです。
この名称はその後、映画業界だけでなくメディアをはじめ多くの分野へ波及し一般にも定着するようになり今日に至ります。
当時のゴールデンタイムは、ラジオ放送での聴取率が高い時間帯を指しています。「ゴールデンウイーク」の言葉が生まれた1950年代初頭には、まだテレビ放送が実施されていませんでした。1953年になって初のテレビ本放送が始まり、テレビが一般家庭に急速に普及したのが1950年代後半です。現在の「ゴールデンタイム」と、当時の「ゴールデンタイム」とは意味する背景が異なります。
5. NHK(放送)での「ゴールデンウイーク」の使用基準
NHK(放送)では、基本は「大型連休」を使うようです。これは様々な場面を想定し、視聴者に配慮した結果のようです。決して「ゴールデンウイーク」を使わないということではありません。
以下、『NHK放送文化研究所』より一部抜粋
「ゴールデンウイーク」は、昭和27~28(1952~53)年ごろから一般にも使われるようになったようです。しかし、1970年代の「石油ショック」以降、「のんきに何日も休んではいられないのに、なにがゴールデンウイークだ」といった電話が放送局に何本もかかってくるなど抵抗感を示す人が目立ってきました。また、「外来語・カタカナ語はできるだけ避けたい」「長すぎて表記の際に困る」など、放送の制作現場の声もありました。そのうえ、週休2日制の定着で前後の土曜・日曜を加えると10日ぐらいになることもあり、ウイーク(週間)も的確な表現ではなくなってきました。このため、放送では原則として「ゴールデンウイーク」は使わず、「大型連休」を使っています。
【出典:NHK文研_放送現場の疑問・視聴者の疑問より】
またNHKに限らず、政府機関や自治体の広報、資料でも「大型連休」という表現を使います。
おわりに
「ゴールデンウイーク」の名称は、現在では広く浸透し、『ゴールデンウイーク=大型連休』のイメージも強いです。そのため厳密さを求めないような場面であれば、特に使い分けを意識せず状況や相手によって臨機応変に使用するとよいでしょう。