校正・校閲・添削の違い[意味と違いをわかりやすく解説]

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校正・校閲・添削の違い[意味と違いをわかりやすく解説]

この記事では、校正と校閲、添削の3つの意味と違いについて、イラストを交えてわかりやすく解説しています。

これら3つは似た部分もありますが、「校正」と他の2つの「校閲と添削」を比べた場合、その違いは明確です。

校正・校閲・添削の違い

ただ校閲と添削は、グレーな部分もあるため明確な線引きができない場合もあります。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

・日本エディタースクール出版部_校正技術
・ベネッセ_表現読解国語辞典
・小学館_デジタル大辞泉
・大修館_明鏡国語辞典
三省堂_新明解国語辞典
・Wikipedia_添削

1. 校正の意味

校正とは

仮に刷った印刷物と原稿とを見比べて、誤植や不備な点を正すこと。

[例文]
 ゲラ刷りの校正をする/校正刷り/再校正

校正は、原稿とゲラ(印刷前の確認用に刷ったもの)と見比べて確認する作業のことです。

次のようなイメージになります。

校正・校閲・添削の違い

校正では、原稿の内容とゲラの内容を見比べて相違点がないかを確認します。原稿の情報が正しくゲラに入っていればOKとなります。

仮に何らかのトラブルにより相違点が出てしまった場合。

校正・校閲・添削の違い

原稿とゲラとで違っている箇所に赤字を入れます。
原稿が正となるため、原稿通りになるようゲラに赤入れを行います。

校正・校閲・添削の違い

このように校正は、原稿を正としてゲラと見比べおかしな点がないかを見つけていく作業です。

「校」の漢字に「くらべる」という意味があることからも、校正は見比べる作業といえます。

2. 校閲の意味

校閲とは

原稿や印刷物を読んで調べ、誤りや不備などを正すこと。

[例文]
 原稿を校閲する/この書籍の校閲をした/校閲部

校閲は、原稿やゲラの内容を理解し掘り下げて、確認していく作業のことです。

次のようなイメージになります。
(※ゲラで校閲を行うこともありますが、ここでは原稿で行っています)

校正が見比べる作業なのに対して、校閲は文章の内容まで踏み込んでおかしな点がないか確認していきます。

さらに校閲では、様々な事実から物事をみる視点が大切になってきます。

「猫」の赤字についても『本当に漢字表記でいいのか?』。過去のドラえもんの作品では「ネコ型ロボット」という表記がいくつか見られます。漢字かカタカナどちらの表記がいいのか指摘するのも校閲の仕事の範疇です。

また、そもそも猫型、犬型ではなくて「大型」サイズのドラえもんが新しく登場するのではないか?という根本から疑う視点も必要です。

このように校閲では、一方向の視点からだけでなく複数の視点から物事をみていく必要があります。たった一つの文でも掘り下げて色々と考えていく作業になります。

以上のことから、

校正は、内容を比べておかしな点を見つける
校閲は、内容を考えておかしな点を見つける

とすることができます。

校正も校閲も、発注者(著者・クライアント)がいて存在する仕事です。

発注者が求める制作物を作りあげていくにあたって、間違いがないか、正しい表現になっているかをサポートする役割を果たします。

仮に、校閲で「この表現のほうが適切では?」と指摘したとしても、最終的な判断は、発注者の意思が尊重されます。

3. 添削の意味

添削とは

他人の文章・作文・答案・詩歌などに対し、語句を書き加えたり削ったりして、よくない部分を直すこと。

[例文]
 生徒の作文を添削する/レポートを添削してもらう/文章の添削/通信添削

添削も校閲と同様に、おかしな点があれば赤入れを行います。その行為から両者の違いで迷うこともあると思います。

添削と校閲は似た部分も多いですが、作業の根底にある考え方が違います。

添削では、添削者の意思もしくは何らかの指針に沿って、添削する対象物をより良いものにしていきます。そして添削される対象者を、より良い方向へと導くものです。

添削には、より良いもの、導くという意味で、先生や上司など自分よりも知識を持った人、立場の上の人が行うのが自然です。この点から、先生が生徒に対して「添削」という言葉がよく使用されます。

添削では、より良いものにするために、

  • この語句を付け加えたほうがいい
  • ここを削れば文の意味が通る
  • こうしたほうがわかりやすい

といった視点で赤入れを行います。

「ここはダメ」「ここはいい」といった採点や批評とは違ってきます。

前述した校閲は、作者の伝えたいことを尊重するのが大前提ですが、添削は赤入れを通して添削される側の成長を促す役割もあります。

添削をイメージすると次のようになります。

校正・校閲・添削の違い

添削の目的は、添削を通して成長を促す。

校正・校閲・添削の違い

校正・校閲・添削の違いのまとめ

校閲と添削の違い

校閲は、より良いものを作るためのサポート的な役割を果たします。
添削は、より良いものを作られるように導く役割を担います。
赤入れという行為は同じでも、この点に大きな違いがあります。

作者の意思を尊重するか、作者の成長を導くかに焦点をあてると、校閲と添削の違いがわかりやすいと思います。

校正・校閲・添削の対象による違い

校正や校閲という言葉は、自分や他人の制作物に対して使用しますが、添削の対象は他人の制作物になります。

校正・校閲 … 他人の文章・自分の文章
添削    … 他人の文章

※ただし「自分で書いた論文を添削した」としても意味は通じます。少し違和感はありますが。

校正・校閲・添削のイメージ

校正・校閲・添削の3つとも、間違いやおかしな点がないか見つけるという作業は同じです。何か問題があれば赤入れをするという行為も共通です。

3つの違いを簡単に表すと次のようになります。

  • 校正は、比べる
  • 校閲は、掘り下げる
  • 添削は、導く

このイメージで意味を肉付けしていくと、3つの言葉の違いがわかりやすくなると思います。