「覚める」「醒める」の違いは?「さめる」の使い分けと例文

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「覚める」「醒める」の違いは?「さめる」の使い分けと例文

「覚める」と「醒める」は、どちらも「さめる」と読みます。眠りや酔い、迷いなどから意識がはっきりすることを表す言葉です。基本的には「覚める」を使いますが、正気や冷静さを取り戻すニュアンスを込めたい場面では「醒める」が使われることもあります。

この2つの言葉は、「意味の違い」だけでなく、「基本の書き方」と「あえて選ぶ書き方」を分けて考えると、使い分けがわかりやすくなります。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

『常用漢字表の音訓索引』(文化庁)
『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
『記者ハンドブック 新聞用字用語集』(共同通信社)

『デジタル大辞泉』(小学館)

1. 迷ったら「覚める」を使う

「覚める」は、眠っていた状態から意識が戻るときや、酒の酔いが抜けるとき、迷いや思い込みから抜け出して現実に気づくときなどに使います。日常的な文章から仕事上の文章まで、広く使える基本の書き方です。

「雨の音で目が覚めた」
「深い眠りから覚める」
「時間がたち、ようやく酔いが覚めた」
「先生の忠告で目が覚め、自分の間違いに気づいた」

「覚める」は、睡眠から目覚めるときだけに使う表記ではありません。「酔いが覚める」も自然な書き方です。眠りや酔い、迷いのどれからさめる場合でも、「覚める」のままで大丈夫です。

2.「醒める」は正気に戻るニュアンスを込める表記

「醒める」は、小説や随筆などで、意識がはっきりする様子や、冷静さを取り戻す感覚を印象づけたいときに選ばれることがあります。「醒」の偏は、酒つぼをかたどった「酉」です。「醒」の字には、酒の酔いがさめる意味のほか、眠りや迷いからさめる意味もあります。

【参照】「常用漢字表の音訓索引」(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/kanji/joyokanjisakuin/index.html

酒の酔いから正気に戻るという意味から、「醒める」は、陶酔や幻惑から抜け出して現実を見つめ直す場面でも使われます。

「酔いが醒めるにつれ、昨夜の言動が恥ずかしくなった」
「催眠状態から醒める」
「厳しい現実を知り、甘い夢から醒めた」

ただし、これらは「覚める」と書いても自然です。

「酔いが覚めるにつれ、昨夜の言動が恥ずかしくなった」
「催眠状態から覚める」
「厳しい現実を知り、甘い夢から覚めた」

「睡眠には覚める」「酔いや迷いには醒める」と厳密に使い分ける必要はありません。また、「夢から醒める」は、比喩的な夢だけでなく、睡眠中に見る夢にも使えます。

3. 常用漢字表での「覚」と「醒」の扱い

常用漢字表には、「覚」の読みとして「さめる」が掲載されています。一方、「醒」に掲載されている読みは「セイ」のみです。

【参照】「常用漢字表の音訓索引」(文化庁)

つまり、「醒」自体は常用漢字ですが、「醒める(さめる)」は常用漢字表にない読み方を使った「表外音訓」の表記です。『記者ハンドブック』(共同通信社)でも、「醒める」は使わず、「酔いが覚める」「目が覚める」のように「覚める」に統一しています。

常用漢字表は、一般の社会生活で漢字を使う際の目安であり、文学的な表現まで一律に従うものではありません。そのため、公用文や表記規定のある媒体では「覚める」を基本にし、創作などでは表現に応じて「醒める」を選ぶようにすると、使い分けに迷うこともありません。