「〜たり〜たり」「〜やら〜やら」同じ形を繰り返す日本語表現の解説

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「〜たり〜たり」「〜やら〜やら」同じ形を繰り返す日本語表現の解説

日本語には、同じ形を前後で繰り返して使う表現があります。代表的なのは、次のような形です。

・読んだり、書いたりする。
・雨やらやらで大変だった。
・行くにしろ行かないにしろ、連絡は必要だ。

このような表現は、2つ以上の要素を並べたり、対比したり、例示したりするときに使われます。共通しているのは、前後で同じ形式を繰り返すという点です。

そのため、1つめの形が出てくれば、自ずと後ろにも同じ形が来ると予測できます。これは、日本語の「公式」のようなものです。形を知っておくと、間違いにも気づきやすくなり、自然な表現かどうかを判断しやすくなります。

1.「〜たり〜たり」:動作や状態を例として並べる

〜たり〜たり」は、複数の動作や状態を例として並べる表現です。

<例文>

・休日は本を読んだり、映画を見たりします。
・最近は暑かったり寒かったりして、服装に迷います。

「〜たり〜たり」は、すべての行動や状態を列挙するのではなく、代表的な例をあげるときに使います。

<注意点>

文章中では「〜たり」を2つ以上並べて使うのが基本です。
休日は本を読んだり、映画を観たりします。

一方、整った文章では「〜たり」が1回だけだと整中途半端に感じることがあります。
休日は本を読んだりします。

ただ、口語表現としては、「休みの日は、家で本を読んだりしています」のように、他にも行動があることを含ませて、1回だけ使われることがあります。

2.「〜とか〜とか」:口語的に例をあげる

〜とか〜とか」は、複数の例を柔らかくあげる口語的な表現です。会話では自然ですが、ビジネス文書や説明文では「〜や〜「〜など」に言い換えるのが適切です。

<例文>

・映画とか音楽とかが好きです。
・東京とか横浜とかで探しています。

ビジネス文書での使用】

価格とか品質とかを確認します。
  ↓

価格品質を確認します。
価格、品質などを確認します。

3.「〜か〜か」:二者択一を表す

〜か〜か」は、2つの選択肢を並べて、どちらかを選ぶ・判断する表現です。

<例文>

・行く行かない、早めに決めてください。
・成功する失敗するは、まだわかりません。

「〜か〜か」は、選択肢が対立している場合によく使われます。

<注意点>

「〜か」は単独でも使えますが、その場合は二者択一ではなく、疑問・自問・推量など、別の意味になることがあります。

・行くか。
⇒「さて、行こうか」など、文脈によって意味が変わります。

・行くかもしれない。
⇒ 推量を表します。この場合の「か」は、「かもしれない」という表現の一部です。

二者択一を表したい場合は、基本的に「AかBか」の形にします。

4.「〜やら〜やら」:雑多なものを並べる

〜やら〜やら」は、複数のものごとを雑多に並べ、整理しきれない感じや感情が入り混じった感じを表す表現です。

<例文>

・雨やらやらで、外に出るのが大変だった。
・嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑な気持ちです。

「~や〜」との違い】

・書類荷物があります。
・書類やら荷物やらで、机の上がいっぱいです。

「書類や荷物」は中立的な列挙です。一方、「書類やら荷物やら」は、物が多くて雑然としている印象が強くなります。

5.「〜にしろ〜にしろ」「〜にせよ〜にせよ」「〜であれ〜であれ」:条件が違っても同じ結論を表す

〜にしろ〜にしろ」「〜にせよ〜にせよ」「〜であれ〜であれ」は、複数の条件をあげたうえで、「どの場合でも結論は変わらない」ことを表します。

<例文>

・行くにしろ行かないにしろ、連絡は必要です。
・成功するにせよ失敗するにせよ、経験は残ります。
・初心者であれ経験者であれ、基本は大切です。

それぞれの文体には、次のような違いがあります。

「〜にしろ〜にしろ」
⇒ 少し硬い/説明文・ビジネス文書でも使いやすい

「〜にせよ〜にせよ」
⇒ 硬い/論説文・文章語向き

「〜であれ〜であれ」
⇒ 非常に硬い/規程文・論説文向き

日常会話では、次のように言い換えると自然です。

・行くにしろ行かないにしろ
⇒ 行っても行かなくても

・成功するにせよ失敗するにせよ
⇒ 成功しても失敗しても

・初心者であれ経験者であれ
⇒ 初心者でも経験者でも

6.「〜なり〜なり」:選択肢を例示する

〜なり〜なり」は、複数の選択肢を例としてあげ、その中のいずれか、またはそれに準じる方法を選べばよいことを表します。少し硬めですが、実務的な文章でも使えます。

<例文>

・電話なりメールなりでご連絡ください。
・メモを取るなり録音するなりして、内容を残してください。

<注意点>

命令や助言の文で使うと、少しきつい言い方に聞こえることがあります。

・自分で調べるなり、人に聞くなりしてください。

文脈によっては突き放した印象になるため、丁寧にしたい場合は「〜か〜」の形などに言い換えると、柔らかい響きになります。

【丁寧な表現へ言い換え】

・ご自身でご確認いただく、担当者へお問い合わせください。
・ご不明な点は、資料をご確認いただく、担当者へお問い合わせください。

7.「〜だの〜だの」:否定的・うんざりした列をあげる

〜だの〜だの」は、複数の発言や物事を並べる表現です。多くの場合、話し手の不満、呆れ、うんざりした気持ちを含みます。

<例文>

・忙しいだの疲れただの、言い訳ばかりしている。
・高いだの遠いだの、文句ばかり言っている。

「〜だの〜だの」は、相手の発言や状況を突き放して見る響きがあるため、丁寧な文章では避けたほうが無難です。

丁寧な表現へ言い換え】

・高いだの遠いだの、文句が多い。
  ↓
・価格距離について、さまざまな意見が出ています。
・価格距離に関するご意見が寄せられています。

8.「〜といい〜といい」:複数の要素を取り上げて評価する

〜といい〜といい」は、2つ以上の要素を取り上げて、全体として評価する表現です。良い評価にも悪い評価にも使えます。

良い評価での使用例

・デザインといい機能といい、よくできています。
・構成といい表現といい、読みやすい文章です。

悪い評価での使用例

・態度といい言葉遣いといい、問題があります。
・対応の遅さといい説明不足といい、改善が必要です。

「〜といい〜といい」は、個別の要素を評価しながら、全体の印象をまとめる表現です。

おわりに

同じ形を繰り返して使う表現は、要素の列挙、選択、対比、評価などをわかりやすく示せる便利な表現です。基本的に前後の形をそろえるのが自然です。

また、表現によって文体や響きが異なります。「〜とか〜とか」は口語的、「〜にせよ〜にせよ」や「〜であれ〜であれ」は硬め、「〜だの〜だの」は否定的な印象を含みやすい表現です。

文章で使うときは、前後の形をそろえ、場面に合った表現を選ぶことが大切です。