あおり校正の仕方と効果[間違いを見つける校正者の技]
校正技術の一つである「あおり校正」の仕方を紹介したいと思います。とりあえず次の動画を見てみてください。
この作業は、紙媒体に携わる校正者なら誰でも知っている基本的な技術です。校正者でなくても実践している方はいます。アナログで単純なやり方ですが、抜群の効果を発揮します。
原稿と校正紙の2枚を重ね合わせて、一方の紙を素早くめくることで間違いをあぶり出していきます。人の目の残像効果を利用した巧みなテクニックです。
このときに紙のめくれる音が “パタパタ” とします。なので “パタパタ” などとも呼ばれます。
現在では、PDFの差分チェックでも同じようなことができますが、まだまだ校正作業には欠かせない効果的な作業の一つです。
1. 間違いをあぶり出して見つける
たとえば次のような間違い探しをするとき、通常左右の絵を交互に見比べながら間違いを探していくと思います。
ですが、あおり校正では2つの絵を重ね合わせて間違いを探していきます。
▼ 次のようなイメージで間違いがあぶり出されて見えます。
■ 答え(5か所)
2. あおり校正の仕方
次の間違い探しを使って実際にやり方を説明していきます。
▼ ポイントは3つだけです
1. 基準点の設定
2つの紙を重ね合わせるときに基準とする部分です。
特に場所に決まりはないですが、「左上」や「右上」などがわかりやすいです。
※校正紙ではトンボを基準点とします。
2. ブロックにわけて見る
※4分割でなくても、6分割でも8分割でも大丈夫です。
3. 俯瞰して見る
実際の校正作業でもそうですが、あおり校正では一文字一文字細かい点まで見ていきません。やや俯瞰して見るのがポイントです。俯瞰して見ることで間違いに気付きやすくなります。
▼ あおり校正の手順
1. 基準点を元に2枚の紙を重ね合わせます。
2. 紙がずれないように手でしっかり押さえます。
3. 上の紙を素早くめくります。
4. 手の動きを色々と変えながら、誌面をまんべんなく見ます。
※1.2倍速です
▼ 部分的な確認
1. 雲と風車の羽の色が違います。
2. 羊のツノとうさぎの向きが違います。
※下部分のパタパタは、持ち手の位置を変えるとやりやすいです。
3. 動画だとわかりづらいかもしれませんが、鳥(手前の黄色の一羽)の向きが違っています。
4. 全体をおあり校正で見たときのイメージです。
■ 答え(5か所)
おわりに
あおり校正は、紙媒体に携わる校正者の確立された技術の一つです。簡単ですが、間違いを見つける効果的な方法です。
やったことがないという方は是非一度試してみて効果を実感してみてください。