「寂しい」と「淋しい」の違いは?「さびしい」の使い分けと例文

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「寂しい」と「淋しい」の違いは?「さびしい」の使い分けと例文

「一人でさびしい」「人通りが少なくてさびしい」。この「さびしい」には、「寂しい」や「淋しい」という表記があります。基本的には「寂しい」を使いますが、文章に情感を込めたい場面では「淋しい」が使われることもあります。

この2つの言葉は、「意味の違い」だけでなく、「基本の書き方」と「あえて選ぶ書き方」を分けて考えると、使い分けがわかりやすくなります。

[記事作成にあたっては、以下の書籍・辞書・サイトを参考にしています]

『新明解国語辞典』(三省堂)
『常用漢字表の音訓索引』(文化庁)
『記者ハンドブック 新聞用字用語集』(共同通信社)

『デジタル大辞泉』(小学館)

1. 迷ったら「寂しい」を使う

「寂しい」は、一緒にいたい人や大切なものがなく心が満たされないとき、人けや活気がなくひっそりとしているとき、数や量が少なく物足りないときなどに使います。日常的な文章から仕事上の文章まで、広く使える基本の書き方です。

『新明解国語辞典』第八版(三省堂)では、次のように説明されています。

① 自分と心の通いあうものが無くて、満足出来ない(心細さを感じる)状態だ。
 「一人暮らしの寂しい生活」
② 身近に人の気配を感じさせものが無く、社会(の煩わしさ)から隔絶されたような状態だ。  
 「寂しい山道」
③ あればいいと思うものが無くて、満ち足りなく感じる様子だ。
 「ふところが寂しい〔=持ち金が少ない〕/口が寂しい〔=何か口に入れたい〕」

<例文>
「友人が遠くへ引っ越して寂しい」
「誰にも会えず、寂しい夜を過ごした」
「店が閉まり、駅前が寂しくなった」
「参加者が少なく、寂しい集まりになった」
「今月は懐が寂しい」

「寂しい」は、周囲の様子や物足りなさだけでなく、自分の心情も表せます。孤独や切なさを伝える場面でも、「寂しい」をそのまま使えます。

2.「淋しい」は情感を込めたいときの選択肢

「淋しい」は、小説や詩、手紙などで、人恋しさや心細さを印象づけたいときに使われることがあります。基本的な意味は「寂しい」と同じです。

「あなたに会えなくて淋しい」
「別れ際の淋しそうな笑顔が忘れられない」
「一人きりの部屋で、淋しい夜を過ごした」

ただし、これらは「寂しい」と書いても自然です。
「あなたに会えなくて寂しい」
「別れ際の寂しそうな笑顔が忘れられない」
「一人きりの部屋で、寂しい夜を過ごした」

「淋しい」と書いたからといって、特別な意味が加わるわけではありません。「淋」という漢字から受ける印象を生かして、文章の雰囲気を整えたいときにあえて選ぶ書き方だと考えると分かりやすくなります。

また、「寂しい」は客観的な状態を、「淋しい」は主観的な感情を表す、と説明されることもあります。ただ、はっきりとした使い分けの決まりがあるわけではありません。「淋しい」のほうが必ず孤独感が強い、涙を伴うときにしか使わない、ということもありません。

気持ちをもっと具体的に伝えたいときは、「胸が締め付けられるほど寂しい」のように言葉を添えるのも、ひとつの方法です。

3. 常用漢字表では「寂」と「淋」の扱いが異なる

常用漢字表には、「寂」の読みとして「さびしい」が掲載されています。

【参照】「常用漢字表の音訓索引」(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/kanji/joyokanjisakuin/index.html

一方、「淋」は、漢字そのものが常用漢字表に載っていない「表外字」です。つまり、「淋しい」は、常用漢字表に漢字も読み方も載っていない書き方ということになります。

ただし、常用漢字表は、一般の社会生活で漢字を使うときの目安として示されたものです。創作や個人的な文章まで、必ず従わなければならないわけではありません。

そのため、仕事の文書や一般向けの記事、表記のルールが決まっている媒体では「寂しい」を基本にして、創作などでは表現したい雰囲気に合わせて「淋しい」を使うのがおすすめです。そうすると、場面に応じて無理なく書き分けられます。

4.「さびしい」と「さみしい」はどう違う?

「さみしい」は「さびしい」から変化した言い方で、基本的な意味は変わりません。また、「寂しい」は「さびしい」、「淋しい」は「さみしい」というように、漢字によって読み方を分ける決まりがあるわけではありません。

ただし、前にも触れたとおり、常用漢字表に載っている「寂しい」の読みは「さびしい」です。そのため、「寂しい」と書くと、一般には「さびしい」と読まれることが多いです。「さみしい」と読んでほしいときは、ルビを振ったり、ひらがなで書いたりすると伝わりやすくなります。